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2月7日、東京・渋谷ヒカリエにて、株式会社ディー・エヌ・エーによる技術カンファレンス「DeNA TechCon 2018」が開催され、「ディー・エヌ・エーが切り拓くAI」、「ディー・エヌ・エーのチャレンジ」、「ディー・エヌ・エーを支える技術」、「ディー・エヌ・エーのゲーム開発」というテーマを軸に、20以上のセッションが開催されました。本稿では、代表取締役社長兼CEOの守安功氏による、基調講演の内容を紹介します。
オープニングの挨拶では、同社の執行役員 システム&デザイン本部長の木村秀夫氏が登壇。「オールディー・エヌ・エーによる、技術チャレンジの総決算」をコンセプトとするTechConは今回で3回目。この催しでディー・エヌ・エーの等身大の姿と飽くなきチャレンジの姿勢を知っていただき、そして、少しでも技術振興に貢献できればと語りました。
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続いて守安氏が登壇し、基調講演「エンジニアが引っ張るディー・エヌ・エーの“モノづくり”」がスタート。まず言及されたのは、2017年に再定義されたという社内でのビジョンについて。同社が今後も歩み続けるうえで掲げるべきミッションを「Delight & Impact the World(世界に喜びを驚きを)」と定義し、それを実現するためのビジョンとして、インターネットやAIを今以上に活用していきたいと語りました。
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その具体例として、話は同社が歩んできた主力事業の変遷に。ラフな区切り方と前置きしつつも、まず最初は守安氏自身もエンジニアとして参画していたEコマースを主力とした時代があり、次にモバイルゲームを主力にした時代、そして今はさらに多角化が進み、主力事業が5つになっていると説明。
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そして、講演のテーマとも絡むものとしてまずは氏の来歴が語られました。学生時代は東京大学大学院で航空宇宙工学を専攻し、マッハ10で飛べるスクラムジェットエンジンの研究に余念がなかったという守安氏。こう言うとプログラミングに深く打ち込んでいたと思う人もいるかもしれないが、研究室には先人達が残した“秘伝のソースコード”が大抵あって代々受け継がれるものだから、それ以外のことに専念できたとのことです。
1999年、卒業後に新卒で入社したのが日本オラクル株式会社。ERP(編注:Enterprise Resources Planningの略。企業の経営に必要な資源を一元管理する基幹システムのこと)をさまざまな企業に導入してカスタマイズする業務に従事しました。当時、世はITバブルの真っ盛り。その盛り上がりにいても立ってもいられなくなった守安氏は起業も考えたそうですが、資金面の難しさからDeNAに転職。社員番号は9番だったそうです。
当時のディー・エヌ・エーは、インターネットオークションサービス「ビッダーズ」を立ち上げたばかりの頃。突貫工事でまだシステムが不安定だったゆえに夜間でも誰かが有事に備えて待機ししている必要があったそうで、入社間もない守安氏は夜勤でその作業に当たったそうです。
1~2か月先行してサービスが始まっていた「Yahoo!オークション」の前に大苦戦だったという「ビッダーズ」は、機能面とトラフィックで大きく譲り、しかも、広告収益がある「Yahoo!オークション」は無料で利用できるのに対し、「ビッダーズ」は対価を取らなければやっていけない苦しい出だしだったと述懐。転機が訪れたのは2001年でした。「Yahoo!オークション」が有料サービスへ移行したのを機に、利用料が無料になるキャンペーンなどで勝負をかけた「ビッダーズ」。これにより利用者数を大幅に増やし、黒字化に成功しました。その後、モバイルでの使用を主眼に置いたサービス「モバオク」が始まることになり、守安氏はその事業責任者に抜擢されました。
守安氏は「ビッダーズ」の反省点を「タイムリーにサービスを変えていくことができなかった点」にあると分析。モバオクはもっと柔軟に運営しよう、そしてそうするには、要件定義設計、コーディングをすべてエンジニアをやるべきではないかという思いで相談したのが、当時アルバイトとしてディー・エヌ・エーに在籍していたという、現取締役の川崎修平氏。「自分1人でやりたい」という川崎氏の提案を飲んで一任したのが功を奏し、利用者がほしかっているサービスを構築してくれたと語りました。
守安氏はこの成功体験から、川崎氏の能力が飛びぬけて高かったのもあるが、1人、もしくは少数のエンジニアがサービスを考え抜いてモノを作っていくスタイルが理に適っていると考えている、との思いを明らかにしました。
そして2009年10月からは『怪盗ロワイヤル』を始めとした「Mobage」のソーシャルゲームの大ヒットでトラフィックが激増。半年間で1日あたり約6億ページビューから24億ページビューに増えたとのことで、その影響力たるや、とある携帯キャリアから「トラフィックが多すぎてサービスを利用できない人が出てしまいかねないので、なんとか一時サービスを止めてもらえないか」とまで言われたとのことです。
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直近の事業でのAI活用例としては、今春からサービス開始予定のタクシー配車アプリ「タクベル」に言及。こうしたサービスを実現するにはタクシーに搭載されたタクシーメーターとの連携が必要不可欠ですが、メーターひとつを取っても提供しているメーカーが複数存在するので、多くのタクシー会社に訴求するために、多くのメーターと連携できる設計から手掛けているとのこと。空車を減らし、利用されている時間を効率的に増やすことで、タクシー会社にとっても利用者にとっても便利なアプリを作っていきたいと語りました。
また、車外と車内にカメラを設置して、周辺の地形や歩行者、そして運転手自身をモニターすることで事故率を減らしていこうというプロジェクトが動いていることも明らかにされました。将来的には人の手を介さない完全自動運転が実現するかもしれないが、そうなる前に事故率を大きく減らせればよいインパクトとなると強調。今は、リソースに制限がある中で、いかに効率的にモニタリングするかという省エネ技術の確立に取り組んでいるそうです。
「お客様に喜んでいただけるサービスを作るには、コードを書けるエンジニアがサービスを考えるのが一番理に適っている。弊社はこれからも、サービスを理解できるエンジニアを中心に据えてよりよいサービスを作っていきたい」――守安氏は、そう講演を結びました。
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