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3月17日、ディファ有明にてコーエーテクモゲームスの制作チームであるω-Force(オメガフォース)の20周年記念ライブが行われました。本イベントは2月8日に発売された『真・三國無双8』を購入したユーザーを対象に抽選で無料招待をしたもの。会場には同ブランドを愛するファンが詰めかけました。本稿ではその様子をレポートいたします。
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20年の歴史が詰まっています。
◆アクションゲームのノリを大切にした『真・三國無双』の楽曲
ライブは『真・三國無双』、『戦国無双』、『討鬼伝』の3部構成で進行されました。『真・三國無双』ライブの開幕を飾ったのは呂布のテーマの原曲となる「DYNASTY WARRIORS」。本作を象徴する曲ということもあり会場のテンションは一気に盛り上がります。ライブパフォーマンスには『真・三國無双』シリーズのサウンドディレクターのMASA氏もギターで参加。本ライブのために自ら選曲した名曲を披露しました。演奏中は終始笑顔。楽しくて仕方がないという様子が伝わってきます。
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会場が温まったところで本イベントMCの竹本英史氏(『戦国無双』シリーズ石田三成・柴田勝家役)、伊藤かな恵さん(『真・三國無双』シリーズ王元姫役)が登場し場を盛り上げます。
トークのあとは「CYCLONIZED TYPHOON」(『真・三國無双7』)、「SLASH THE DEMON」(『真・三國無双5』)、シリーズ屈指の名曲「ARENA」(『真・三國無双2』)、「SLASH IT; THRASH ALL」(『真・三國無双8』)、「GREAT RED SPIRIT」(『真・三國無双4』)が披露。なんとも贅沢なセットリストです。元々『真・三國無双』の楽曲はハードロック調なのでライブ演奏との相性は抜群。生演奏により臨場感がより深まったといえるでしょう。
MCでは鈴木亮浩プロデューサーも登場し、作曲秘話も披露されました。『真・三國無双』の楽曲はその前に作られた格闘ゲーム『三國無双』のダンスっぽいノリを踏襲した形になったのだとか。歴史ゲームを作っているのではなくてアクションゲームを作っている点にこだわり、あえて中国っぽい楽曲にせず、盛り上がる曲にしたのだと語ります。
また、MASA氏によると「DYNASTY WARRIORS」は一番最初に作曲したとのこと。今は呂布のテーマソングのようなイメージがありますが、元はゲームの「顔」となる楽曲として考えていたのだそうです。
なお、本ライブではベース担当の榎本敦さんが全ての曲のライブアレンジを加えており、古い曲はデータがなかったり譜面がなかったりしてかなり苦労をしたと一言。それも20年という長い歴史があってこその苦労ではないでしょうか。
◆和楽器を取り入れて『戦国無双』らしいサウンドを
続いては『戦国無双』シリーズのライブパフォーマンスが披露されました。ここからは尺八の中村仁樹氏もバンドに加わります。
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まずは『戦国無双』の「姉川」。先ほどの『真・三國無双』とは一転、重厚なライブサウンドに尺八の甲高い響きが交じり、シビアな戦場の気配が会場を包み込みます。続いては同じく『戦国無双』から「川中島」。3曲目はみんなのトラウマ「忠勝のテーマ」(『戦国無双 猛将伝』)。続いては「小牧長久手」(『戦国無双 猛将伝』)、「手取川」(『戦国無双2』)、最後に『戦国無双3』を代表する名曲「勝機」が演奏されました。
『戦国無双』サウンドを彩る尺八。ライブ中、中村氏はせわしなく尺八を持ち替えてさまざまな音色を奏でていました。この後に演奏された『討鬼伝』の楽曲と合わせるとなんと15本もの尺八を使いこなしていたとのこと。
ライブ後のトークではコーエーテクモゲームス代表取締役社長兼『戦国無双』IPプロデューサーの鯉沼久史氏、『戦国無双』サウンドディレクターの吉松洋二郎氏が登場。『戦国無双』は『真・三國無双』の後に作られたということもあり、「らしさ」を出すために和風にこだわったと鯉沼氏。戦闘中のドラマパートを際立たせるため聴きやすさも重視したのだそうです。吉松氏は今回のライブの選曲にも携わり、初代からアレンジを重ねて愛されている楽曲を中心にチョイスしたと語りました。
◆作曲家・坂本英城氏も演奏。今後の情報も飛び出した『討鬼伝』ライブ
『討鬼伝』ライブは作曲担当の坂本英城氏(株式会社ノイジークローク代表取締役)がゲストキーボードとして参加。坂本氏は無双シリーズを全てプレイしている筋金入りの無双ファン。しかも『信長の野望 覇王伝』にハマり過ぎて仕事がおろそかになってしまった過去もあるのだとか。
演奏されたのは『討鬼伝』から「鬼討ツモノ」、「ゴウエンマ」「ヒノマガトリ」、『討鬼伝2』から「カシリ」、「烈火」。「ヒノマガトリ」以降は尺八の中村氏も再びステージに登場し楽曲を彩りました。和風でありながらも先ほどの『戦国無双』とは異なるテイストが特徴の『討鬼伝』サウンド。恐怖心をあおる、うねりにうねったサウンドが展開されます。
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「ゴウエンマ」は一番最初に作った曲であると語る坂本氏。コーエーテクモゲームスにとって初のハンティングアクションであるということで、他と差別をするため「とにかく気持ち悪い和音を入れた」のだとか。また、数多くの鬼のテーマ曲を作るにあたり、鬼の設定を参考にしたと坂本氏。ゴウエンマは重量感を低音で表現し、ヒノマガトリは羽ばたきのような旋律を取り入れたと語ります。最後に演奏された「烈火」はベーシストのKenKen氏との共同作曲。互いに刺激しあって気持ちよく作曲できたと振り返ります。
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ライブ後のトークではω-Forceブランド長兼『討鬼伝』IPプロデューサー小笠原賢一氏が登場。『討鬼伝』はω-Forceの久々の新規IPだったため、三國・戦国無双とは違った雰囲気が欲しかったと小笠原氏。そこでオーケストラを使って壮大な世界観を表現できる人を探していたところ坂本氏の名前が第一候補としてあがり、そのままオファーしたのだそうです。
一方、坂本氏は和楽器の音階と自身の「調」との相性が悪い点に苦労したとのこと。まずは自分のテイストを大事に曲を作り、そこに和テイストを乗せていったのだそうです。ライブで演奏するうえで難しい楽曲になってしまったと坂本氏。「自分で演奏することになるならこんな難しい曲にはしなかった」と振り返ります。とはいえその世界観がライブでしっかりと表現されており、演奏者のレベルの高さを感じました。
最後に小笠原氏から意味深な発言が飛び出しました。曰く、『討鬼伝』コアメンバーが別のプロジェクトに携わっているとのこと。このプロジェクトが終わり次第、『討鬼伝3』の制作に取り掛かるとのことです。『討鬼伝』シリーズの新作も楽しみですが、別のプロジェクトも気になるところです。
◆まさかの『無双OROCHI3』発表!
ラストは『真・三國無双3』より「THE WALL OF FATE」、『戦国無双4』より「戦神」、『討鬼伝』より「英雄ノ進撃」のメドレー。名曲で締めくくられたのちも会場のテンションは冷めやらず、アンコールが巻き起こります。
そのさなか、ステージのスクリーンには謎のムービーが映し出されます。さまざまな年代の、さまざまな国の建物……これはまさか。スクリーンに映し出される趙雲と真田幸村が対峙するビジュアル。そして『無双OROCHI3』と「2018」の文字が! その瞬間、会場はファンの歓喜で包まれました。発売は2018年中ということで詳細は一切未定ですが、楽しみに今後の情報を待ちましょう。
感動冷めやらぬままアンコールに突入。『無双OROCHI Z』より「THEME OF OROCHI -REBIRTH MIX-」、『戦国無双』より「花の都」、『真・三國無双6』より「CRUSH'EM ALL」のメドレーが披露されました。
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全23曲、2時間の大ボリューム。ω-Forceの20周年を記念したスペシャルライブは長い歴史を物語る充実の内容となりました。また、サプライズで告知された『無双OROCHI3』もω-Force20周年を飾るに相応しい納得のタイトルでした。
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今回のライブは招待制でしたが、小笠原氏はトークの中で今後もライブ形式のイベントを行っていきたいと語っており、こちらの情報にも注目が高まります。2018年中はω-Forceから目が離せそうにありません。