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立体的な表現を得意とするPlayStationの登場は、ゲーム業界に大きな影響を与えました。これまでにない描写や演出が可能となったことで、新たな発想や斬新なシステムなどが続々と登場。当時の作品を色濃く覚えている方も、決して少なくないでしょう。
そんな“プレステ時代”に欠かせない、印象深いソフトが、ちょうど20年前となる1998年8月27日に発売されました。そのソフトの名前は、『アストロノーカ』。農業をテーマとした、農作物育成シミュレーションゲームです。
農業をテーマにしたゲームといえば、例えばリアル系ならば『ファーミングシミュレーター』シリーズ、ほのぼの系ならば『牧場物語』シリーズと、多彩な広がりを見せています。そんな数々の作品と並べても決して劣らない存在感を放つ『アストロノーカ』は、非常に個性的な作品であり、今も根強いファンに支えられています。
そんな『アストロノーカ』の生誕20周年を記念し、今回は本作の特徴などについて振り返ってみたいと思います。
◆目指すは「宇宙一の農家」! 栽培と撃退の2本柱が、シンプルかつクセになる
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野菜を育てるゲームは数在れども、目的が「宇宙一の農家」で、舞台は「小惑星」という、SF要素満載な『アストロノーカ』。農業ゲームとしてはかなり異色な切り口となっており、画面上に展開するビジュアルもその衝撃を裏切らないセンスに満ちたものとなっています。
立体表現をふんだんに活かした「宇宙野菜」は、ステータスも桁違い。交配による品種改良を行うことで、サイズや重さなどが大きく左右します。このスケール感の大きさは、まさにSFならではといったところ。宇宙農家だからこそ、地球の概念に縛られることなく、より自由な交配が楽しめます。
良質な宇宙野菜を育てたら、次はコンクールに参加し、優勝を目指します。コンクールは様々なものが用意されており、ひとつずつ勝ち抜いていくことで宇宙農家としての手応えが感じられます。ちなみに、本作内には「アストロネット」というインターネットのような存在があり、ここで交配のヒントなどを得ることができます。
20年前と言えば、今ほどインターネットが身近ではなく、携帯電話も通話機能がメイン。ほぼパソコンが必須という状態でした。そのため、ゲームの情報を調べようと思ったら、雑誌や攻略本、プレイヤー同士の意見交換くらいです。「アストロネット」で情報を提供するという本作のスタイルは、時代に先駆けていた・・・と言えるかもしれません。
ちなみに本作は、宇宙野菜を育てるゲームですが、野菜の栽培・収穫だけでなく、害獣である「バブー」の撃退も大事な要素です。バブーは宇宙野菜を狙って襲来するので、撃退しないと農作物が深刻なダメージを受けてしまいます。農家として見過ごせるわけもないので、トラップを設置して迎え撃つことに。
ゲーム進行に応じてバブーが手強くなるので、油断は禁物。害獣が少しずつ賢くなっていくのは、現実世界でも頭の痛い問題ですが、それはゲームの世界でも変わりません。ただし、バブーが羽を落とすこともあり、このアイテムはなかなか重宝します。害獣も活用するのが、宇宙農家の嗜みと言えるでしょう。
本作でやるべきことは、宇宙野菜の栽培およびバブーの撃退。非常にシンプルなので取っつきやすい一方で、交配による品質向上は奥深くてやり甲斐があり、また宇宙スケールゆえの面白さも。そしてバブーとの戦いも、手応えを味わえます。こうした苦労を乗り越えて、コンクールで優勝する喜びを知ってしまうと、ついついプレイを続行。そんな、クセになる個性派農業ゲームが、『アストロノーカ』です。
◆体験版で『アストロノーカ』にハマった方も・・・今遊ぶならゲームアーカイブスもオススメ
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ヘルパーロボット「ピート君」と共に宇宙野菜と向き合う日々を楽しんだ方は多いと思いますが、その入り口は様々です。当時はダウンロード販売などはなく、パッケージソフトとしての発売でしたが、その前に体験版でハマった方も続出しました。
ダウンロード版も一般的ではない時代なので、体験版もインターネット配信などではありません。当時の体験版は、雑誌の付録であったり、店頭で直接配られたりと、その頒布方法も物理的かつ直接的でした。ちなみに本作の体験版は、『スターオーシャン セカンドストーリー』に同梱されていたので、このきっかけで本作に触れたユーザーも少なくないでしょう。
ユニークな設定と噛み合ったゲーム性、絶妙なバランスなどで好評を博した『アストロノーカ』。2008年6月25日にゲームアーカイブス版が配信されたので、「もう一度遊びたい!」「未プレイだけど興味が湧いた」という方々は、PS3やPSP、PS Vitaでプレイしてみるのもオススメです。
ちなみに、『ドラゴンクエストXI』などで知られている齊藤陽介氏は、本作の20周年を祝うコメントを自身のTwitterアカウントに寄せています。プロモーションについて「下手くそだったなぁ… すみませんでした…」と謝罪する一方で、「本当に面白いゲームに仕上がった」と、本作への率直な想いを明かしました。プレイしたユーザーのみならず、開発陣からも愛され続けている『アストロノーカ』。今後も、長く語り継がれていくことでしょう。
#アストロノーカ 20周年!
— 齊藤陽介 Yosuke Saito (@SaitoYosuke_Z) 2018年8月26日
当時はまだ若造すぎて、色々皆さんにご迷惑をお掛けしました。
プロモーションは下手くそだったなぁ… すみませんでした…
でも、一つ言えるのは、本当に面白いゲームに仕上がったということ。
改めて、
20周年おめでとう!
20周年ありがとう!! pic.twitter.com/t1AbX4Fj0W
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