「プレステは僕の青春」正統派ラインナップ
真ゲマ:
ガブリエルさんはどんな作品をチョイスしましたか?
伊藤ガブリエル:
僕は思い入れのあるゲームばかり選びました!「僕の青春はここから」ラインナップです。
- ARMORED CORE
- エースコンバット3 エレクトロスフィア
- SDガンダム G GENERATION-F
- 影牢 ~刻命館 真章~
- クロノ・クロス
- 攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL
- サイレントヒル
- 聖剣伝説 LEGEND OF MANA
- ZERO DIVIDE 2
- ソウルエッジ
- テイルコンチェルト
- ハーミィホッパーヘッド ~スクラップパニック~
- PANZER FRONT bis
- ブシドーブレード
- ブレイヴフェンサー 武蔵伝
- 女神異聞録ペルソナ
- リモートコントロールダンディ
- レガイア伝説
- ロードオブモンスターズ
- ロックマンDASH 鋼の冒険心
SHINJI:
『影牢』!『ブシドーブレード』!『クロノ・クロス』とは懐かしい!
実はプレステアクション必修科目?『攻殻機動隊』
葛西祝:
ガブリエルさんも『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』をチョイスしてますね。
伊藤ガブリエル:
『攻殻機動隊』はプレイステーションを遊ぶ上で必須科目だと僕は考えてます!
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真ゲマ:
『攻殻機動隊』は原作漫画をベースにしたゲームですよね?
伊藤ガブリエル:
そうですね、原作漫画版をベースにしているので、少佐がすごくやんちゃなんです。劇場版やTVアニメ版よりもやわらかい印象なんですよね。いろいろ冗談を言ったり、表情も豊かで。
SHINJI:
気のいい姉さんみたいなノリの少佐が見られると。で、少佐の声に違和感を覚えるまでがセットですね(笑)(※劇場版・TVアニメでは草薙素子の声を田中敦子さんが務めたが、プレイステーション版の声を務めたのは鶴ひろみさん。)
葛西祝:
原作の士郎正宗氏の絵柄を唯一再現した『攻殻機動隊』との話もありますね。
伊藤ガブリエル:
ですね、僕が知る限りでは原作漫画を忠実にしているのはこれしか知りません。ゲームとしては主観視点のシューティングゲームです。荒巻課長率いる公安9課の新人として、フチコマと呼ばれるAI戦車のパイロットに任命されます。
フチコマは壁や天井に張り付くことができるので、非常に移動が楽しいんです。そんなアクションを活かしたステージデザインがまた素晴らしいんですね。
ステージクリア型で、港や倉庫を捜索したかと思ったら、高速道路や海上を高速移動しながら敵を倒すステージがあったりと、1ステージ1ステージがとても凝っているんですよ。箱庭型のステージだったら、どこから敵を倒していけば効率が良いだろう?なんて考えたりもできます。
葛西祝:
原作の再現とゲームデザインの両方を兼ねているのが良かったですね~。
SHINJI:
へー!ちゃんとプレイヤーキャラクターの特性を活かしたステージ構成になっているんですね!その相乗効果でよりおもしろい!みたいな。
伊藤ガブリエル:
そうなんですよ!ぼくが驚いたのは、下水道の中だったか、大きなパイプの中でボスと戦うシーンがあったことです。そこでパイプの壁に張り付くことができるので、ぐるぐる周りながら敵の攻撃を避けて戦えるんです。
SHINJI:
おおおー!まるで360°シューターみたいな。
伊藤ガブリエル:
原作の魅力を活かしつつ、ゲームとしても面白く仕上がった作品だと思います。また音楽もテクノミュージック界で非常に著名なアーティストが起用されているので、気になったらぜひ見ていただければ……!
葛西祝:
電気グルーヴの石野卓球氏をはじめ、デトロイトテクノの代表者であるデリック・メイ氏がサウンドトラックに加わっているという、これもまた音楽とゲームが接近したひとつですね(笑)
巨大ロボットを動かす夢のはじまり
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葛西祝:
同じロボットものだと『リモートコントロールダンディ』もチョイスされていますね。
真ゲマ:
ロボットの操作が面白いゲームなんですよね。
SHINJI:
『リモートコントロールダンディ』は過小評価されてるゲームだと思いますよ。コントローラーデバイスの発展を活かしたタイトルですよね。
伊藤ガブリエル:
『リモートコントロールダンディ』は端的に言えば、正義のロボットを操作して迫り来る悪のロボットたちを倒していくという内容です。操作系統が非常に独特で、歩くのに十字キーやスティックは使わないんです。
ロボットの左足がLボタン、右足がRボタンに割り当てられていて、一歩一歩Lボタン、Rボタンと交互に押すことでロボットを歩かせるんです。
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SHINJI:
「鉄人28号」シミュレーターみたいな(笑)
伊藤ガブリエル :
そうですね! 幼心に描いていた大きなロボットを操る夢をこのゲームは叶えてくれますね。ボタンを押すたびにズシーンと大きな音を鳴らしながら歩くロボットを見たら、興奮するしかないです!(笑)
葛西祝:
『リモートコントロールダンディ』のスタッフがその後、サンドロットを設立して本当に『鉄人28号』のゲーム化もやっちゃうんですよね。
SHINJI:
ええええええ!すごい!デベロッパーの少年時代の夢をゲームが叶えたみたいな格好ですね(笑)
伊藤ガブリエル:
きっとスタッフたちも『鉄人28号』を作れて感激していたに違いない……!(笑)ただ『鉄人28号』はより多彩な動きができるようになった分、操作系統は方向キーでの移動になってしまったんですよ。
なので、その『鉄人28号』が作られる原点になったであろう『リモートコントロールダンディ』を今の子どもたちに、そして子どもの心を持った大人たちに遊んでほしいと思ってチョイスしました!
シリーズのイメージを変えた『ロックマンDASH』
真ゲマ:
ロボットといえば『ロックマンDASH 鋼の冒険心』もそうですよね。こちらはいかがですか?
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伊藤ガブリエル:
僕はロックマン大好き人間なんですけど、『ロックマンDASH 鋼の冒険心』はロックマン=横スクロールアクションというイメージを、良い意味で大きく壊してくれたゲームだと思っています。
一つの島の中で、ダンジョンに潜ったり悪党たちを倒したりと冒険を繰り広げ、本当にその世界に没入させてくれるというか。ロックをはじめとした主要メンバーや街の住民たち、悪党たちもしっかり生きているんだなあ……という、素敵な感覚を味わえた作品でした。まさしく冒険活劇でしたね。
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真ゲマ:
やっぱりヘルメットを装着していないロックマンが印象的でした。
SHINJI:
ああ、髪型とかも結構かっこよく見えたりして印象的ですよね。
伊藤ガブリエル:
一応ヘルメットも装備品として付けられるのですが、ゲームをやっていると逆に違和感を感じてしまうという。
伝説となったドリームプロジェクトの続編
真ゲマ:
『クロノ・クロス』も選ばれていますね。あの『クロノ・トリガー』の続編でしたが、前作と雰囲気ががらりと変わった部分もあって。当時、その評価は賛否で分かれていました。
伊藤ガブリエル:
僕の周りでも賛否両論で、否定が多めって感じでした。
真ゲマ:
『クロノ・トリガー』の正統的な続編としてみたらうーんって思うけど、一つの作品としてみたら良いものだと個人的に思いますね。
葛西祝 :
スタッフ的に見れば『クロノ・トリガー』の続編は『ゼノギアス』のほうが近かったりしますしね。
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伊藤ガブリエル:
僕は『クロノ・クロス』は『クロノ・トリガー』の続編としてもありだと思っています。
真ゲマ:
『クロノ・トリガー』はタイムスリップで、『クロノ・クロス』はパラレルワールドを題材としてるんですもんね。
伊藤ガブリエル:
ホームとアナザー、ふたつの世界を行き来しますからね。その冒険の過程で描かれる、あり得たかもしれない人と人との交流や、世界のあり方などがとても心に残るように作られていると思います。
そうしたifや、パラレルワールドの魅せ方・見せ方という面も含めて『クロノ・クロス』が大好きですね。たとえ別の世界があったとしても、良くなるわけじゃあ決してないよ、というか……きっとビターな感じが好きなんでしょうね、僕。(笑)
SHINJI:
山猫になっちゃった瞬間のびっくりとかすごかったですよー!あとマルチエンディング形式でしたね。
伊藤ガブリエル:
『クロノ』シリーズならではの、パラレルワールドのマルチエンディングですよね。仲間集めやストーリー分岐、戦闘システムも含めて、難しい部分もあるけれど、とても遊び応えのあるRPGでした。
真ゲマ:
戦闘システムも独特だった記憶があります。
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SHINJI:
あの頃はどこも新しいシステムを模索していた時期で、『クロノ・クロス』もそういった複雑な要素を持っていましたね。エレメントシステムなどなど。
伊藤ガブリエル:
最初、エレメントシステムをあまり理解しないまま進めてしまって、道中のボスで詰むということを何度か繰り返してました……(笑)
『クロノ・トリガー』が『FF』でお馴染みのアクティブタイムバトルだったのに対して、『クロノ・クロス』はクロス・シーケンス・バトルと呼ばれる、スタミナが残っていれば誰でもどの順番であっても行動が可能なものになっていて、エレメントと呼ばれる6属性の魔法の相性を考えながら、戦う必要があるんです。
葛西祝:
『クロノ・クロス』の1999年くらいから、ビジュアルやストーリーテリングが発展する一方で、日本のRPGが新しいゲームのルールを作りだすのにすごく苦労していく時代になった印象もありますね。
SHINJI:
ですね。ところで余談ですが、『ファイナルファンタジー』や『クロノ・クロス』で動く背景、ムービーを背景にしてキャラクターを動かせるシーンをご存じでしょうか?
あれって実はスクウェアの特許なんですよ。『ファイナルファンタジー』や『クロノ・クロス』以外であれを見なかったのはそういう事情ですね。これ本日のビーンです。
伊藤ガブリエル:
そうだったんですか!特許だったとは知らなかった……素晴らしいビーンありがとうございます!
最後は『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』
真ゲマ:
最後に1本語りましょう。3人全員が『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』 を選んでいます。唯一重なったタイトルなので、皆さんがどこに惹かれたのかをお願いします。
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SHINJI:
やっぱり『聖剣伝説』シリーズののカリスマ性を決定的にしたのが『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』な気がしますよ。
葛西祝:
一方で『聖剣伝説』シリーズの最後の煌めきだったのかなあ……とも思ってしまうという。
伊藤ガブリエル:
『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』は時間を忘れるくらい遊んでいました。
真ゲマ:
ランドメイクシステムという、自分でワールドマップを作り上げていくシステムは斬新だなあと思いましたね。
葛西祝:
ランドメイクシステムをベースにした、ストーリーテリングの方法が異様でしたね。プレイヤーが世界を作るゲームプレイなんですが、町の牧師と会話するとその事実を否定してくるんです。他のキャラクターは、世界は最初から存在しているものだと思っているけど、プレイヤーだけがそうじゃないという。
フリーシナリオ的でもあり、『サガ』っぽいと当時言われてましたけど、『サガ』とは違う、重層的な物語の作り方に惹かれていましたね。
伊藤ガブリエル:
世界の作り上げ方によっても、楽しみ方が多方向に広がるのは非常にリプレイ性があってよかったですね。
葛西祝:
そうですね。一方で、箱庭療法(※箱庭を作る遊びや表現を通したセラピー)のみたいなゲーム体験だなとも思ってました。
SHINJI:
世界が広がるのが視覚的にもプレイでも実感できるんですよね。
真ゲマ:
あと忘れてはならないのが天野シロ先生のコミック版『聖剣伝説 レジェンドオブマナ(エンターブレイン)』。ギャグありシリアスあり涙ありで面白かったです。また本編とは異なる独自の解釈もあって。ゲーム本編と一緒に楽しんでほしい作品です!
まとめ
真ゲマ:
さて、まだまだ語り足りないと思いますが、今回はここら辺で。プレステクラシックに関しては本当にプレイヤーによって遊ぶゲームが異なるので、SIEには今回だけで終わらず色んなバージョンを出して欲しいところですね。
SHINJI:
今回の座談会ですが、収録時間が数時間にも及んだほどなので、読者の皆さんもお友達やゲーム仲間とプレステ時代のゲームについて話せば朝まで語り合えるはず!そしてそれは思い出を見つめたり共有したりする体験になると思います。ゲームプレイだけじゃ終わらない、たまにはゲームトークもどうぞ!
葛西祝:
今回の座談会を読まれればわかる通り、ひとりひとりのプレイステーション観はかなり異なると思われ、ギャップを楽しめるのでおすすめです。