あらためて『FF15』の評価とは?
真ゲマ:
あらためて皆さんは、『FF15』にゲームとしてどのような感想を持っていますか?
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G.Suzuki:
月並みですが、「仲間との冒険生活が楽しかった」です。昼夜のサイクルのなか野営/宿泊地を決め、イグニスの料理を食べ、プロンプトの撮った写真を選ぶ……これだけでもプレイヤー個人としてのストーリーが出来上がっているなと自分は思いました。
葛西祝:
自分は一言でまとめると「謎の体験」。G.Suzukiさんと基本の感想は一緒で、旅の体験を思い出に強く残すゲームデザインは素晴らしいんです。
でも、どう考えてもノクティスたちの格好とか車は野外で探索したりキャンプするものじゃないだろ!シャンパンタワーやるための格好だろ!とか思ったり、首都が襲われてるのに修学旅行みたいなことしてる場合じゃないだろ!と突っ込みたくなる、メインストーリーからかけ離れたゲームプレイのせいで、ずっとシリアスな笑いがあるんですよ。
真ゲマ:
一部のゲーマーの間で揶揄された「ホストファンタジー」という言葉が頭をよぎりますね。
葛西祝:
そうなんです!でも、疑問があってもキャンプでみんなでご飯を食べていたらなんでもよくなる気がするので、「まあいいか」ともなるという。
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真ゲマ:
シリアスかつほのぼのみたいな感覚ですね。プレイを中断してしまったSatoさんはどのような感想を持ちましたか?
Daisuke Sato:
プレイした感じだと、最初に想像していたよりはずっと『ファイナルファンタジー』していたなと。ノクトたちのビジュアルに関しても、これまでのRPGにはない感じなので私的にはアリでした。ただ、コンセプトデザインが出来上がってからゲームの完成までに時間がかかりすぎて、若干今の感覚には合わない部分が出てきていたのかなと。
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オープンワールドのシステムに関しては、想像していたよりも自由さが足りない印象を受けました。特にレガリアでの移動が道路の上だけしかできなくて、運転していて車での移動がぜんぜん面白くないという。『GTAV』みたいに、山の中でもどんどん行けちゃうのがオープンワールドのいいところだと思うので。
RPGの醍醐味はストーリーの部分も大きいのに、先へ進めようとするにも移動に時間を費やさないといけないのが個人的には残念でしたね。あと、物語の重要な部分をゲームから切り離した映画でやっちゃったのも、一本のゲームとしてみるとなんだかなーと。
葛西祝:
たしかにメインの車であるレガリアで、道路の外を運転できないのは「つれぇわ」と思ってましたね。
真ゲマ:
一応、発売当初のバージョンでもゲームクリア後に「TYPE-F」という、車を飛行機に改造して空を飛べることもできましたし、のちのアップデートで「TYPE-D」という道路の外でも運転できるオフロード仕様のものが登場しました。
Daisuke Sato:
オフロード仕様のものを最初から遊びたかったですね~。
真ゲマ:
オフロードもどこでも自由に走れるというわけではなくて、海や湖の奥に突っ込んじゃうとゲームオーバーになるし、帝国軍の基地を爆走できないなど制限はいくつかありましたね。
葛西祝:
飛行機も停める場所を間違うと即ゲームオーバーになったりとか(笑)。これも本編クリア後のおまけではなく、メインストーリーに絡む形で使いたかったですね。帝国軍が空中戦艦を持っていたわけですし、空での戦いもプレイしたかったですよ。
シリーズ初のオープンワールドはどう評価したか?
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真ゲマ:
シリーズ初のオープンワールド要素はどのように感じましたか?
葛西祝:
オープンワールドの作りこみ自体は、正直言ってスカスカで良くないです。しかし「仲間と旅をして、キャンプで思い出を残す」という体験に生かされたのは、他のオープンワールド作品を思い出しても比類ない点でしょう。
近い体験があるのが、最近リリースされた『Red Dead Redemption 2』くらいという。ほら、アーサーも日誌で思い出を残していますし。
Daisuke Sato:
私は先ほど述べましたが、もっと自由度が欲しかったなと。やっちゃいけないこともできるとか。
G.Suzuki:
僕は、開発が難航していた『ヴェルサス』を、ナンバリングタイトルとして再構成してから発売までの間によくここまで作り上げたなと。欲を言えば、当初の構想にあった現実の様々な都市をベースにした、数多くの街をめぐりたかったですね。
今でも「砂漠やジャングル、大小様々な島が存在して仲間と旅が出来たら……」と考えてしまいます。サブクエストも『FF15』の世界観を広げるものが多くて、結構好きでしたね。サニア・エイゲル先生のカエル収集クエストとかは楽しかったです。
戦闘のアクションRPG化はどう見たか
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真ゲマ:
本作ではアクションRPGになりましたよね。バトル中に時間を止めてコマンド式RPGのように戦えるオプションも用意されていたとはいえ、これはシリーズファンにとっては大きな変更点だと思います。
G.Suzuki:
シリーズが2Dから3Dへ、そして出来ることが次第に増えてきたから……というよりは、より多くのプレイヤーの、アクションへの適応に信頼を置いて舵を切ったと感じましたね。田畑氏が関わった『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』や『FF零式』を順当に成長させたように受け取りました。
葛西祝:
自分としては『FF15』のアクションRPG化は、シリーズがリアルタイムでのバトルシステムを求めた帰結だと思ったので、それほど違和感はなかったです。
『FF』シリーズは『4』のアクティブタイムバトルの時点で「プレイヤーにリアルタイムで戦闘する緊張感を味わってもらう」という方針だったと思います。初のMMORPG化となった『FINAL FANTASY XI』からオフラインの『FINAL FANTASY XII』と続いて、探索パートとシームレスにリアルタイムで戦闘を行う方向性はあったと思います。『FF13』から派生したシリーズでも、『ライトニングリターンズ』などもアクションRPG的になっていましたし。
Daisuke Sato:
田端氏がディレクターを担当した『零式』もアクションRPGだったので、この進化は自然と受け入れることができました。『ダークソウル』のように歯ごたえのあるアクションではありませんが、アクションが得意ではない人でもプレイしやすいところは、ハクスラの『Diablo III』や女性ファンの多い『アサシンクリード』などに近いのかなと。ただ、武器を3種類使い分けるのは戦闘を無駄に複雑にしちゃった感じを受けました。
葛西祝:
もともとは野村哲也氏がディレクターの『ヴェルサス』からアクション化って決まってたんでしたっけ?『キングダム ハーツ』の流れもあるのかなとは思ったんですが。
Daisuke Sato:
最初期の頃のシステムに関しては言及がないですが、『Skyrim』を強く意識していたのでアクションRPGになっていったのではないかと。
G.Suzuki:
2006年の『ヴェルサス』制作発表当時のニュースで、野村氏はアクション性を盛り込むことに言及していますね。
釣りなどの“寄り道”の楽しさはどうだった?
真ゲマ:
釣りやチョコボレースをはじめとした寄り道要素、やり込み要素はどう感じましたか?これはオープンワールドと上手く融和していたでしょうか?
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葛西祝:
融和って意味では、特に大きかったのはプロンプトの撮る写真でしたね。あれでゲームプレイのすべてが大事な思い出になる。釣りやチョコボといった個別のミニゲーム自体はそれほど印象深いものではなかったんですけど、それらを思い出にしてしまうゲームデザインは感じたことのない体験でした。
そして思い出がまたラストシーンにも繋がるわけだから、ささいな寄り道でもストーリーにうまく絡んだものになったと思います。単なるミニゲームも、記憶や思い出として演出されるシステムは本当によかったです。
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G.Suzuki:
釣りは良かったですね!ノクト個人の趣味趣向を掘り下げつつ、ゲームにするのが上手かったと思います。
葛西祝:
大物を釣ったらみんなで取り上げにきてくれるとか(笑)
G.Suzuki:
そうですね!そういうのもあって仲間の存在感がありました。記念写真を撮りに行くミニクエストをやると、そこでしか見られない景色が待ち受けてるんです。寄り道したくなる良さがあって面白かったですね。チョコボレースはあまりプレイしなかったから正直わからないかな……。
問題となったメインストーリー
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Daisuke Sato:
途中までしかプレイしていないので私はやり込み要素をほとんどやってません。1日の限られた時間でゲームをやってると、物語を先に進めたくなるんですよね。物語の展開としても早く誰かに会わないといけなかったり、助けに行かないといけないのに、そんなことやってる場合かと(笑)
真ゲマ:
そうそう。ここでストーリーについて皆さんの評価を聞きたいですね。
葛西祝:
メインストーリーだけで見るとかなり厳しいですからね……基本的なゲームプレイの体験は最高。メインシナリオはひどいという二律背反の大きさも、AAAタイトルで類がないレベルだったと思います。『FF15』は発売当初から、「ゲームは体験するもの派」と「物語を追っていく派」でかなり評価が割れたと見ていますね。
Daisuke Sato:
ゲームの主人公のロールプレイという点でも、ノクティスにはあまり感情移入できなかったですしね。
葛西祝:
オヤジに車をもらって、故郷が襲撃されている間にお前なにしてんだよみたいな(笑)
G.Suzuki:
メインクエストだけだと物足りないし厳しい……というのは少しわかる気がします。メインクエストは、物語として必要な部分しか描写しないため、どうしても物足りない感覚は残ってしまいます。
ただこの気持ちは、『TES』シリーズなどでも経験したため「オープンワールドのゲームデザインが抱える、そもそもの問題」なのかもしれません。移動も確かに、序盤のころは愛車レガリアのチューンナップパターンも少ないため速度も遅いし、ファストトラベルなどのロード時間も長いと批判されていましたね。
Daisuke Sato:
ストーリーという点では、盛り上がりのシーンを映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV(以下、キングスグレイブ)』でやっちゃってるのがもったいなかったなと。
あれがプロローグにあって、しかもプレイ体験として提供できたら、序盤の印象は変わっていた気もします。クリアしていないので、スタート時になんでノクティスがおっさんになっていたのかも未だにわかってない……。
葛西祝:
たしかに発売前に公開された映画『キングスグレイブ』が重厚すぎて、本編と緊張感に格差がありましたからね。でもヒロインのルナフレーナの顔が映画と本編で違うから、あれはパラレルワールドだったんだ……ということで自分の中で無理やり納得してました。
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G.Suzuki:
自分はサブクエストをプレイし、アニメとCG映画の映像作品も観て、この世界を可能な限り理解していることを前提とした評価になります。「仲間や身内が傷つきつつ希望を託され、使命や人々の未来など重いものが肩や背中にのしかかり、最終的に世界を守るために対消滅する」というのはハードで辛いけれど、仲間との体験を含めて決して悪いものではなかったなと思います。やっぱり思い返してみても、ノクトの決断の事を思うと胸が締め付けられますね……。
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