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さらに、二次創作が盛んで、同人誌や同人ゲーム、同人音楽、トレーディングカード、その他グッズなど多岐に渡って展開。世界最大級の同人即売会コミックマーケットで一大ジャンルを築いたり、『東方Project』オンリーの同人即売会「博麗神社例大祭」が東京ビッグサイトで定期開催されたりするほどの人気を博し、登場キャラクターに扮したコスプレイヤーの姿が今も多く見られます。
実はお隣の中国でも日本と同じかそれ以上の人気があり、“東方レイヤー”と括られるほど熱量の高いコスプレイヤーがいます。その一人である女子大生の翠翠suiseikoさん(@chitandaneko)は、夏コミ(コミックマーケット94)でも霧雨魔理沙の完成度の高いコスプレを披露。大人気スマートフォン向けゲーム『ドールズフロントライン』の公式コスプレイヤーも務める彼女に、『東方Project』やコスプレへの想いを訊きました。
眩しい画像を一気見する(全30枚)
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――コスプレを始めたきっかけを教えてください。
翠翠suiseiko
小学生くらいから日本の漫画やアニメに触れて来ました。当時は『カードキャプターさくら』や『美少女戦士セーラームーン』に登場するキャラクターが本当に可愛くて大好きでした。自分も桜のような可愛い魔法少女だったらどんなに良かったかと、夢想するぐらいです(笑)。
だから自然とコスプレに興味を持つようになって、中学3年生の時にアニメ部に入りました。そこでできた友達と一緒に、動漫展(※1)にコスプレ初参加してから続けていて、大学受験などで休止期間を挟みましたが、大学入学以降はコスプレを今まで以上にしています。
※1 中国の同人即売会
――どんなゲームやアニメが好きですか?
翠翠suiseiko
コンシューマーゲームとスマートフォンアプリのどちらもよく遊びます。『ゼルダの伝説』『東方Project』『ドールズフロントライン』がとくにお気に入りですね。『ゼルダの伝説』はグラフィックが本当に美しくて、村や町などの世界観に自分が没入できます。中学生の時から抱いた冒険心を満足させてくれるんです。
アニメは色んなジャンルの作品を観ますが、SFが多いかも知れません。『PSYCHO-PASS サイコパス』や『Re:ゼロから始める異世界生活』ですね。京都アニメーション作品も大好きで、『氷菓』や『響け! ユーフォニアム』も好きです。絵が本当に綺麗ですし、キャラクターの内面描写が丁寧で、青春時代の感覚を思い起こさせてくれます。
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――自分ならではだと思うコスプレの表現はなんでしょうか?
翠翠suiseiko
『東方Project』が大好きなので、登場するキャラクターのポーズは良く研究していますし、得意にしたいと思って頑張ってきました。表情は可愛らしくて愛嬌がある中学二年生をイメージして、近づけられるようにしています(笑)。『東方Project』のフランドールのような表情を一つの理想にしているんです。
――コスプレに関する印象的なエピソードはありますか?
翠翠suiseiko
コスプレ撮影は一筋縄ではいかないので、毎回印象に強く残っています(笑)。12月に杭州で『東方Project』博麗霊夢のコスプレ撮影をした時、大雨が降って気温が0度くらいまで下がり、とても寒かったです。顔だけでなく身体中が硬まってしまい、自分ではどうポーズを取ったら良いか分からなくなりました。撮影してくれた网管菌(MOUKUDA)さんともう一人のアシスタントの方が、ポーズや表情を指示してくれたので撮影を終えることができました。終わってみると写真に風情があって、満足する一枚になったと思います。
――『東方Project』が大好きだそうですね。中国では人気が高いのでしょうか?
翠翠suiseiko
『東方Project』は中国でも歓迎されているコンテンツです。国内でもたくさんイラストレーターや、サークルが二次創作活動をしています。私も中学時代に日本で『東方Project』がとてもブームだと知り、興味があって遊び始めてから大好きになったんです。
これまで何度も『東方Project』のコスプレをしてきました。世界観やキャラクター、音楽が本当に大好きで、そこから派生する小説や漫画作品も読んでいます。こんなに素敵な作品を生んでくれた原作者のZUNさんや開発に関わった人達に感謝しています。
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――自分が広く知られるきっかけになったコスプレは何でしょうか?
翠翠suiseiko
大学生になったばかりの時に参加した上海コミカップ(※2)で披露した『東方Project』パチュリー・ノーレッジのコスプレがweibo(※3)で多くの人の目に留まったことがきっかけだと思います。私も受験が終わったことで、本格的にコスプレ活動をするようになり、weiboを通じて知り合ったコスプレイヤーと併せ撮影などSNSでの露出機会が増えていきました。
2017年は友達と一緒にTwitterも始めて、自分のコスプレ作品を投稿しています。日本でもたくさんの人に写真を見てもらえて嬉しいです。
※2 中国版コミックマーケットとも言われる国内最大級の同人即売会
※3 中国版Twitter
――中国コスプレ界隈で有名なカメラマンの1人・网管菌(MOUKUDA)さんに撮影してもらう機会が多いようですね。改めて网管菌さんの凄さを教えてください。
翠翠suiseiko
网管菌さんはとても想像力と技術を持ったカメラマンです。彼に撮影してもらうとまるで作品の世界を切り取ったような素敵な写真になるんです。何度か撮影をしてもらっているうちに、お互いが目指している作品の方向性が共通したので、以来、撮影をお願いすることが増えました。撮影では同じ構図やポーズであっても、納得するまでひたすら反復して、1つの作品写真に時間をかけています。
――『ドールズフロントライン』の公式コスプレイヤーを務めていますが、作品のどこが面白いと感じていますか?
翠翠suiseiko
10月に中国で『ドールズフロントライン』のコンサート「Girls Frontline ORCHESTRA 人形与彼岸花」が開催され、私やほかの公式コスプレイヤーも参加させて頂きました。素晴らしい演奏会の中にいることができて光栄でした。
『ドールズフロントライン』は配信開始して以来、多くの方が遊んでいる人気ゲームですが、私はどの人形にもストーリーが用意されていて、深く掘り下げられているところがとくに好きです。
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――コスプレを続けている理由は何ですか?
翠翠suiseiko
一番の理由はコスプレが好きだからです。作品写真が完成した時の喜びと達成感は何物にも代え難いです。私の写真に「いいね」してくれたり、「リツイート」してくれたりする皆さんの存在も大きな原動力になっています。
私はもうすぐ大学を卒業します。まだどんな仕事に就くかは決まっていませんが、コスプレは続けて行きたいです。この2年間は自分のコスプレが大きく変化したと感じていますし、もっと進歩したいと思っています。そして、今まで日本には2回行ったことがあって、内一回目はコミックマーケットへの参加ができました。できるならば、日本のコミックマーケットに参加する機会を増やしていけたらと願っています。
インタビューの回答が本当に丁寧で、自分の考えをしっかり伝えてくれた翠翠suiseikoさん。改めて日本の漫画やアニメ、ゲームは国境を超えて人に多大な影響を与えていることに驚かされました。ぜひまたコミックマーケットに参加して欲しいですね。
■コスプレイヤーインタビュー連載について
『Fate/Grand Order』や『グランブルーファンタジー』など、近年は数多くのソーシャルネットゲームが世に出ています。スマートフォンで手軽に遊べることに留まらず、フェスなどのリアルイベントが開催されることも人気を後押ししています。イベント会場では、作中に登場するキャラクターに扮(ふん)したコスプレイヤーが登場することが増えてきました。
インサイド編集部ではゲームのプロモーションなど、今後ますます活躍が予測されるコスプレイヤーに注目。とくに世界最大規模のゲーム市場を持つ中国など海外のコスプレイヤーも含めて、一人ひとりを定期的に紹介していきます。
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画像提供:翠翠suiseiko( Twitter: @chitandaneko 、weibo:@河野華)
取材協力:寒黙( Twitter: @nigellizhe )