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――技術面でのこだわり部分をぜひ教えてください。
茨田:音の部分ですが、VRの立体音響は、「Resonance Audio」を使っています。どの位置から音が出るかを設定できるので、足元に足音を付けたり、口元に音声を付けて、ビッキーが近づいて来たり離れたりする実際の空間での距離感を計れるようにしていました。
――ビッキーのビジュアルに関してはいかがでしょうか?
茨田:なるべく原作に近づけたかったので、ユニティちゃんトゥーンシェーダ((C) UTJ/UCL)、通称「UTS」と呼ばれるものを使いました。リアルに陰影をつけてしまうと気持ち悪くなってしまうので、色の塗り方をベタ塗りにして、なるべく色を減らしました。光物だけは、光を反射するようにしています。
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――印象がかなり変わりますね。あと近くで見るときちんと服を着ている感じがして、思わず服にも見入ってしまいました。
三木:今回初めて3Dにするということもあって、チープには絶対したくないと思ったんです。初心者だからと妥協するのも嫌だったので、端末でギリギリ表示できる最大ポリゴン数で調整しました。イラストのデザインを完全に再現しているモデルになっていますが、服のちょっとした空間や重なりは気にしましたね。あとは王子なので、服の質感に高級感ができるように気を付けました。
木原:一体しか出ないので、6万ポリゴンを使用してフルコミットしようと。ポリゴン数で言うとPS3辺りのキャラクターよりも多いんですよね。結果立体感が出て、ちゃんと服を着ているというのが分かるようなものになったと思います。
――肉体の厚みもこだわってるなと思ったのですが、そのあたりはどうでしょうか?
三木:元のキャラクターデザインが華奢なのですが、そのまま作ると女性よりも華奢になってしまうんです。とはいえ体格を良くしすぎると既存のデザインから離れてしまうので、そこの兼ね合いは難しかったですね。
茨田:動きに関しては、結果的には俳優さんを起用しモーションキャプチャを使用しましたが、最初は自分たちでできるんじゃないかと思っていたんです。
三木:やってみたいという気持ちもあって……撮ってみて初めて分かりました。素人がやったらまずいなと(笑)。
茨田:そこでイケメンの動きはやっぱりイケメンじゃないとできないということになって、奥山敬人さん(協力:ソリッド・キューブ)という方にモーションアクターをお願いしました。
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三木:実際に作っていると、男性ということもあって激しめのアクションをさせたくなるんですよね。でもビッキーにはしっかり設定があり、そのキャラクターらしい動きを演じてもらいました。
――動きが多かったり特徴的だと、そっちに注目してしまいますからね。
三木:舞台であればそう感じないかもしれないんですけど、今回は至近距離なので。控えめで品のある動きを意識しました。
――そこまでイケメンにこだわっている皆さんですが、普段どんな方をイケメンと思ったりするのでしょうか?二次元も含めて、ぜひ教えていただきたいです。
三木:私はギャップに対してイケメンを感じます。ストーリー追っていくことで思っていたことと違ったり、その人が本音を見せてくれたり、そういう進展していく過程でイケメンを感じるというか……そういうギャップがあると、見た目が多少イケメンとは言えなくてもイケメンに見えちゃうみたいなところがあります。
――内面的なところに惹かれるんですね。
三木:あとは『夢100』だとハク、『A3!』だと碓氷真澄が好きなんです。ちょっと病んでるっぽいキャラが好きなのかもしれません。
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木原:僕はピンポイントですが、「ターミネーター」のラストのシーンが好きなんです。言葉じゃなく、仕草でもないんですけど。あの瞬間って手だけなんですよ。でもその男気あふれる姿がなんかかっこいいなぁ!と。
――言葉はないけど、彼の生き様がそのシーンに集約されてますよね。すごく説得力があります。三木さんとはまた別の、内面的な部分のイケメンさですね。
木原:あとは「北斗の拳」のケンシロウが好きです。またピンポイントな話になるんですけど、サウザーと戦う時の「シュウー!」って言ってる時のケンシロウがかっこいいんですよね……!
茨田:自分は歴史ものが好きなので、誰かしらを引っ張っていくカリスマ的な人。武将とかにかっこよさを感じますね。特に「三国志」が好きで、劉備はかっこいいなと思います。あとは「バカとテストと召喚獣」の坂本雄二というキャラですね。周りには見せないところで、実はめちゃくちゃ努力しているやってるみたいな感じが好きです。陰の立役者ポジションと言うか。
――みなさんバラバラのイケメン感をお持ちですが、そんな皆さんのイケメン感がVRに結集されてるんですね……。話は変わって、既に体験会を実施されていますが、ユーザーからの反応はいかがですか?
茨田:体験会でみなさん一番最初に出てくる意見は「近い!」という喜びの声でした。あと男性と女性で違うのが、女性はビッキーを注視するんですけど、男性は周りを見渡している方が多かったです。音の違いやとか、周りの雰囲気を観たりしていて、見方が違う印象を受けました。
三木:複数回体験する方もいらっしゃいましたね。
茨田:マチアソビでは自分が登壇して開発秘話など色々と話したのですが、その後に内容を知って改めて体験したお客さんもいて、そのすごさが分かったという意見もいただきました。
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――私も緊張して内容が全く頭に入らなかったのですが……朗読はオリジナルストーリーなんですよね?
三木:完全オリジナルです。実は最初の段階でキャラクターが動きまわることを考えていなかったんですけど、朗読で3分の尺ができたので動きを付けていきました。この尺がなければ、全然違った内容になっていたかもしれません。
――近づいてくるから、より意識しますよね。こっちを見て笑いかけられると、ハッとします。
三木:あれは朗読がない部分での工夫だったんですけど、お客様には好評だったので良かったです。「ちゃんと聞いてるの?」と言われてるような……そんな想像力をかきたてられるといいますか。
――余白を想像力で補うのは得意ですからね!でも、それはしっかり世界観が作られてるからこそだと思います。
三木:そうですね。『夢100』自体に世界観があったからこそ「これは違う」という判断ができましたが、オリジナルでやっていたら収拾がつかなくなっていたかもしれません。お客様も『夢100』やビッキーが好きだからと体験に来てくださり、中には涙を流していた方もいらっしゃいました。オリジナルのイケメンだったらそこまで心を動かせなかったと思うので、良かったなと思っています。
――でも、あの最後は……?
三木:これはやってくださった方のお楽しみで、ご想像にお任せします。
――次の展望もあれば教えてください。
三木:次の企画はまだお話できないのですが、イケメンをよりイケメンに、今まで体験した事のないイケメンを提供できるように考えていきたいと思っています。
――最後に、イケメンを追求していくうえでの意気込みをお願いします。
茨田:今回作ってみてイケメンと空間の関係性、重要性がよくわかったので、今後もそのあたりに力を入れられたらなと思います。
三木:今後も、頭の先から爪の先までこだわってイケメンを作って行きたいなと思っています。
木原:ナンバーワン、イケメンのてっぺんを取ります!
――ありがとうございました!
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