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コンピュータゲームの最初期、ゲームの多くは海外からやってくるものでした。パソコン、いえ当時はマイコンと呼ばれていた時代に、『ウルティマ』や『ウィザードリィ』といった名作が続々と上陸し、大きな衝撃を国内のゲームファンに与えます。
もちろん、国産の作品も負けていません。マイコン向けはもとより、1983年にはファミリーコンピュータが登場し、国内のゲーム業界も大きな盛り上がりを見せました。その後も海外からやってくるゲームは後を絶たず、互いに切磋琢磨する時代が続きます。
全てと言うわけではありませんが、海外から来るゲームは欧州産のものが多かったため、海外産の作品をまとめて指す“洋ゲー”という呼び名が定着。しかし、海外産=“洋ゲー”という認識は、時代の流れと共にイコールでは結ばれなくなりました。
ゲーム業界の発展と共に、日本や欧州以外で生まれた作品が次々と国外へ飛び出し、今や世界中でゲームが作られる時代へと変化。特に近年では、日本以外のアジア圏の躍進も凄まじいばかりです。
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発表直後から筆者が気になっていた『Dusk Diver 酉閃町 -ダスクダイバーユウセンチョウ-』も、台湾で生まれ、世界に飛び出した作品のひとつ。日本向けには、ニンテンドースイッチやPS4に加え、Steamでの配信も予定されています。
『Dusk Diver 酉閃町 -ダスクダイバーユウセンチョウ-』(以下、Dusk Diver 酉閃町)を始めて見た時、アニメ風のグラフィックが印象的でした。ビジュアルデザインも統一感があり、それでいて親和性も感じられ、今のゲーム・アニメ世代を引き込む強さを充分に備えているように感じました。
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ですが、本作に関する詳細が出るまである程度時間がかかったこともあり、『Dusk Diver 酉閃町』の存在がカジュアルなゲームファンにまでは広がっていないような印象もあります。そこで今回は、「東京ゲームショウ 2019」の試遊に臨み、そこで触れた魅力の一端を伝えるプレイレポートをお届け! おさらいも兼ねつつ、『Dusk Diver 酉閃町』の世界に迫りたいと思います。
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今回は、ニンテンドースイッチ向けの試遊版をプレイ。主人公の移動はLスティックで、視点移動はRスティック、攻撃はYボタン(弱)とXボタン(強)など、このあたりはアクションゲーム全般と共通する操作方法と言えるでしょう。このほかにも、ジャンプや回避、カメラリセットといったアクションがあるほか、守り神が敵を攻撃する「召喚攻撃」といった本作ならではの要素も。
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本作の構成は大きく分けると、探索パートとバトルパートの2つ。舞台となるのは、台湾に実在する「西門町」で、出展ブースにいた関係者の方曰く、街並みの再現度はかなり高いとのこと。日本で例えるならば、渋谷がゲームの中で再現されている、という感覚に近いそうです。
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筆者は足を運んだことがないため、残念ながら再現度の高さを実感することはできませんでしたが、現代風で洒落た街の装いは現実感がしっかりと存在し、初めて訪れた海外にいるような異国情緒を覚えました。アニメ調のグラフィックもむしろ馴染みやすさを促し、知らない場所だからこその楽しさが刺激に変換される感覚を促してくれます。
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そんな西門町で行うのは、前述した探索パートです。街並みを眺めつつ、まずは本作の主人公、ヤン・ユモの動きなどをチェック。入力に対するレスポンスに違和感はなく、機敏に反応してくれます。ダッシュ(移動中に回避ボタン)をすると上着の裾がめくれるなど、描写がしっかりしているのも好感触です。ちなみに、しっかりショートパンツを身に付けているのでご安心(?)ください! 躍動感がありながら、女子高生らしい柔らかな動作で、街中を駆け抜けてくれます。
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この探索パートでは、ゲーム中に再現された西門町を駆けめぐり、「龍脈石のカケラ」の入手を目指します。製品版ではここも充分なボリュームがありますが、今回の試遊版はバトルがメインなので、「龍脈石のカケラ」をあっさりと入手。この「龍脈石のカケラ」があると次元の亀裂に入ることができ、アクションパートの舞台「酉閃町」へと移動します。
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西門町と瓜二つながらも、敵が蔓延る酉閃町に到着。いよいよここから、バトルの幕開けです。ユモの攻撃は、Yボタンによる素早い連続攻撃や、そこからXボタンを押して派生する強攻撃を絡めたコンボ、そしてLをホールドしたままXボタンを押す「守り神特殊技」や同じくAボタンを押す「連携始動技」などがあります。
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本作ならではの「召喚攻撃」は、Aボタンで使用。この召喚攻撃はコンボに組み込むことができ、強攻撃から召喚攻撃に繋げると、その前に使った強攻撃によって技の内容が変化。状況に合わせて使いこなすと、戦闘をより有利に進められます。
頼もしさを感じる「召喚攻撃」ですが、発動にはSPゲージの消費が必須なのでご注意を。SPゲージは戦いの中で増えていきますが、敵が攻撃した瞬間に回避すると緊急回避状態となり、なんとSPゲージが3つも回復します。しかも、周囲の敵が遅くなるといった特殊な効果も。回避に自信がある方は、SPゲージをガンガン使って進むのがお勧めです。
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さらに、SPゲージが3つ溜まった状態でのみ使える「必殺技」もあり、こちらはRボタンで発動。ユモが守り神の武器を使い、敵をなぎ倒します。演出がかなり派手なので見応えもありますし、これで敵を倒しきった時の手応えはなかなかのものです。
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「召喚攻撃」や「必殺技」はSPゲージを消費して放ちますが、この他にも特別な攻撃が用意されています。「召喚攻撃」で敵を攻撃するとTPゲージが溜まっていき、このゲージが満タンになると「D武装」の発動が可能に。こちらは、攻撃力と攻撃範囲、防御力が強化される上に、SP吸収量も増加。一時的なパワーアップ状態も嬉しいですし、SPゲージを溜めやすくなるので、「召喚攻撃」「必殺技」の回転率を更に上げることができます。
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基本となる通常攻撃や回避でSPを溜めて、「召喚攻撃」を使って敵を撃破。そこでTPが溜まれば「D武装」でパワーアップし、SP効率も向上。そしてSPを稼いだ後は、再び「召喚攻撃」で蹴散らしてもよし、「必殺技」でトドメを狙うもまたよし。ダメージの増加を狙える2つのゲージを平行して使いこなすことで、戦闘のテンポはどんどんと上がり、手応えも倍増。機敏なモーションも相まって、この上ない爽快感を味わうことができました。
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試遊という限られた時間だったので、その全てを満喫するとまではいきませんでしたが、多彩ながら複雑過ぎない攻撃手段や、緊急回避状態からの反撃、それらを彩る演出の心地良さなど、アクションバトルの楽しさを基本から応用まで味わったプレイ体験となりました。
ちなみに、守り神はバトル中でも簡単に変更することができ、守り神ごとに「召喚攻撃」や「必殺技」などの攻撃が大きく変化します。「どれだけ色んな攻撃ができるんだ!」と、正直驚いたほど。早く、製品版でじっくりやり込みたい・・・!
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主人公が守り神たちと連携し、SPゲージとTPゲージの相互活用で次々繰り出せる技の数々。そこに、回避の判断や緊急回避状態からのリベンジなどが加わり、多彩なアクション要素でバトルを盛り上げてくれる『Dusk Diver 酉閃町 -ダスクダイバーユウセンチョウ-』は、期待を上回る魅力を垣間見せてくれました。発売まで残り一ヶ月ちょっとなので、日本にいながら台湾の街を駆け抜ける日々の到来を、あと少しだけお待ちください。