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約2年前、10人ほどのスタッフによって運営された『アズレン』は大ヒットし、今では約70人にまでスタッフが増えて大きなオフィスに移転。李氏は「ユーザーの皆様からの優しいコメントが多い。大変感激している」と、あくまでもユーザーあっての成長だと謙虚な姿勢でした。
李氏は会社設立当初から目標は一貫して「会社が生き残ること」であり、来季においてもそれは変わらないと語り、セールスランキングにおいても、「100位に入れば大ヒット」と考えていることを明らかにしました。
■2本目の運営タイトル『Epic Seven』配信開始、2019年はどんな年だった?
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その考えから、同社が11月に配信開始した2本目の運営タイトル『Epic Seven』においても、大ヒットだと満足しており、「運営において派手なことはしていないけれど、売り上げは好調」だと語りました。
韓国発の同ゲーム運営はグローバル版を遊んでいた同社の若いスタッフが「作り込みが素晴らしい」と絶賛し、李氏に勧めたことがそもそもの始まり。当時は、すでによそのパブリッシャーが決まっているかもしれないと考えたものの、「打診して見るのはタダだから」とダメ元で問い合わせて韓国を訪れた結果、非常に良い感触を得ることができたとのこと。
新タイトル運営への取り組みの背景には、『アズレン』=Yostarのイメージが定着していることに対する、「本当にそれでいいのか?ゲームを作っているのは僕らじゃないのに」というパブリッシャーとしての危機感もあったそうです。
ここで、中国や韓国のゲームを日本向けにローカライズするにあたって、3つのことを大事にしていると語った李氏。「日本独自の決済方法など法律面のチェック」を第一に、「プライバシーポリシーなどの面で反感を買わないこと」、「ユーザーを喜ばせるにはどうしたらいいか」を続けて挙げました。
また、2019年のYostarはスケジュール通りにいかないことが多かった年だと感じており、『Epic Seven』にしても夏の配信予定が延期してしまったと振り返りました。理由としては、開発のSmilegate Megaportが韓国の会社であったため、言葉の面でネイティブなやり取りや、大企業ならではやり方に合わせるのが難しかったと語りました。
■2019年は『アズレン』がPlayStation4ソフトとして発売、アニメ化も
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PS4向けソフト『アズールレーン クロスウェーブ』は予想を上回る反響だったことが明かされました。「シナリオやキャラクターの監修は『アズレン』ゲーム本編に携わる同社スタッフがしっかりチェックしたため、李氏は「アドベンチャーパートはギャルゲーに近い感じで、ユーザーも微笑みながら遊んでくれるゲームになっている」と満足な仕上がりだと語りました。
一方で、アニメ化については、「良い勉強になった」とのこと。『アズレン』開発会社とアニメ制作会社を窓口として取り持ちつつ、制作に関わりながらも、「どんなアニメなら良い評価を得られるのか、作り手側の視点として判断しづらい」と心境も明かしました。
また、原作となるアニメやコンシューマーゲームが先にあるIPと違い、『アズレン』はスマートフォンゲームから始まっており、アニメやコンシューマーゲーム化を目指していくスタンスであるため、どのように展開していくのがベストなのか模索するのが大変だそうです。しかし、根底にあるのは、お金を稼ぐという考えではなく、会社のスタッフ全員がいかに楽しめるかを大事にして決定しているとしています。
■いよいよ上陸する『アークナイツ』
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11月20日に事前登録が開始した『アークナイツ』は、中国のHypergryphが開発した新作スマートフォンゲーム『明日方舟』の日本語版です。中国では2019年4月30日に配信されて間もなく大ヒットを記録したことについて、李氏は「要因の一つは他のビックタイトルと配信時期が被らなかったのが大きい。ローンチタイミングの運は大事」だと分析。
日本では2018年夏のコミックマーケットで初めて告知してから、2020年末冬のコミックマーケット出展予定も含めると、企業として配信前に4度も宣伝しているという異例の状況に苦笑しました。
日本での配信が遅れた背景には、中国で新作ゲーム配信の許可が降りづらい時期に、同作を先に日本で配信しようという計画があったものの、中国で配信可能となり、大ヒットしたことでHypergryphが対応に追われたと明かしました。
同作が日本でどれだけの人気を獲得できるのかについて、李氏は「セールスランキング100~50位に入るポテンシャルはある」と期待を寄せました。「低く見積りすぎなのでは?」と問われても、「数字を追いかけすぎる考えはダメです。予想以上の結果になったら良いことですが、50位以内なら十分満足します」と一貫して堅実な姿勢は崩しません。同作は2019年度内には配信開始できる見込みです。
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最後に来年の抱負について、「数字は後から付いてくるものであり、しっかりと基盤を作って一つ一つ積み重ねたから今のYostarがある。アークナイツも無事に配信して、ユーザーに愛されて成長できればと思う。そうすると、3本柱になるが、もし4本目のゲームタイトルが決まれば嬉しい」と明かしました。