■実際の撮影現場を直撃
「Comicup25」では、kuma桑熊さんによる『アークナイツ』公式コスプレイヤーの宣材写真撮影現場を直撃しました。中国内で人気ゲームアプリとあって、知名度が高いコスプレイヤーが多く起用されていました。
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同イベント会場はスペースの余裕を持たせて複数のホールが使用されていました。基本的には、屋内であれば人がいない箇所、また屋外でならどこでも撮影して良いため、明確なNGはありません。
そんな中でkumaさんが撮影場所に選んだのは、一般参加者が近づくことがないとあるホール2階の一室。中国では公式カメラマンの撮影であっても、一般来場者が撮影に割って入るため、静かに撮影できる環境を見つけることが必須です。
日本でもコスプレイヤーさんの信頼を得られるならば、撮影イメージを実現しやすい場所に移動して撮影をするべきでしょう。
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撮影中、撮影アシスタントが数人いました。基本的にはウィッグや衣服をひらめかせる役割です。動きがあるだけで写真の見栄えが大きく変わります。こういったチームプレイは最近、日本でも良く見られるようになりました。
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kuma桑熊さんは様々な小道具を用意していましたが、基本的にはストロボ2灯と被写体の顔にLEDライトを当てて撮影に臨んでいました。前面にストロボを使わないのは、拡散させたい後ろのストロボ光を打ち消してしまうのを避けるためです。
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今回、kuma桑熊さんは赤と青のカラーフィルターを使用しました。一般的なカラーフィルターよりもずっと大きいサイズを使ったのは、色がついた光の拡散量を増やす狙いです。kuma桑熊さんの写真は、ストロボの光が、画面全体に広がっていたり、背景全てを強く覆っていたりすることが特徴。そうした写真を撮りたい時にカラーフィルターは最適なアイテムのようです。
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撮影中は被写体が再現できる動きに合わせて色んな角度から撮り、修正や追加でポーズの指示を出していました。
また、被写体に撮りたい写真のイメージを事前に伝え、撮った写真を見せて理解してもらうことを徹底していたのも印象的でした。
とりあえず筆者も少しでも理解しようと、kuma桑熊さんにほぼゼロ距離で密着して同じ目線と方向を追いかけました。形から入るのは大事ですが、イベント現場で同じようなことを他のカメラマンにしたら、確実に邪魔になるのでやめましょう。
■上達するのに大切なもう一つのこと
中国ではコスプレカメラマンの競争が日本以上に激しいのですが、kuma桑熊さんは2016年末くらいからコスプレ撮影を始め、常に撮り方を工夫してきたことで急成長しました。自らの経験を踏まえた上で、「信じたスタイルで撮ることが大事。ひたすら練習を繰り返して」と語っています。
kuma桑熊さんの言う通り、ここで伝えたいのは、kuma桑熊さんの撮影スタイルは選択の一つであり、絶対の正解ではないことです。
実際に撮影現場を目撃し、完成した写真を見た後は「おおおっ!」となりました。しかし、これはkuma桑熊さんの頭の中にある絵を現実に取り出している手法なので、同じように撮ろうとしても上手くいくとは限りませんし、応用は難しいです。
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練習を繰り返す上では数をこなすだけでは良くないとのアドバイスも。「自分のスタイルを確立する上でも、良いと思った撮り方をしているカメラマンから学ぶ」ことが重要になります。
ただし、教えてもらうのではなく、そのカメラマンが撮った写真を分析して、自分の中に落とし込んでいく試行錯誤の過程で新しい技術も身につきます。インスパイアして、練り上げることで自分ならではの独創性が生まれていくという考えです。コスプレ撮影の道は険しいですね。
コスプレイヤー撮影:kuma桑熊
kuma桑熊撮影:乃木章