◆自社さ連立内閣が発足
前年の衆議院選挙で大敗し、野党となっていた自民党が非自民連立政権を離脱した社会党と連合。これに新党さきがけが加わり、社会党の村山富市委員長が総理大臣に選出されました。社会党から総理大臣が出るのは47年ぶりのことで、自民党と社会党という対極的な二党の連立は驚きをもって迎えられました。
◆松本サリン事件が起きる
6月27日深夜、オウム真理教の信徒が長野県松本市の住宅街に猛毒サリンをまき、8人が死亡、約600人が重軽症を負うという前代未聞のテロ事件が起きました。このとき長野県警は第一通報者の河野義行さんを犯人視。メディアもこれに追随し、河野さんを犯人扱いする報道が相次ぐなど警察とメディアによる人権侵害も大きな問題となりました。
◆F1レーサーのセナ選手がレース中に事故死
「音速の貴公子」とうたわれたF1レーサーのアイルトン・セナ選手が、イタリア・イモラで行われたサンマリノGPにてレース中の事故で死亡しました。日本でも絶大な人気を誇ったセナ選手の訃報は大きなニュースとなり、多くの人たちが世界的英雄の死を悼みました。
◆1994年のおもな流行
ヒット曲:『innocent world』(MR.CHILDREN)、『恋しさと せつなさと 心強さと』(篠原涼子 with t.komuro)、『ロマンスの神様』(広瀬香美)
映画:『シンドラーのリスト』、『クリフハンガー』、『ゴジラ対メカゴジラ』(※1)
マンガ:『るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~』(和月伸宏)、『みどりのマキバオー』(つの丸)、『MONSTER(モンスター)』(浦沢直樹)、『MAJOR (メジャー)』(満田拓也)
アニメ:『機動武闘伝Gガンダム』、『マクロス7』、『魔法騎士レイアース』
※1『ロマンスの神様』は93年12月1日リリース、『クリフハンガー』と『ゴジラ対メカゴジラ』も93年12月公開です。
◆次世代ゲーム機戦争始まる
1994年を語る上で欠かせないのが「次世代機戦争」の勃発です。メガドライブの後継機となるセガの「セガサターン」(以下「サターン」)、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の「プレイステーション」、松下電器(現パナソニック)の「3DO REAL」、PCエンジンの後継機となるNECの「PC-FX」といった新ハードが相次いで発売。ソニー、松下という大手電機メーカーが参入したこともあって、一般のニュースでも大きく取り上げられました。
【1994年発売のおもなハードと発売日】
3月20日 3DO REAL(松下電器)
6月14日 スーパーゲームボーイ(任天堂)
9月9日 ネオジオCD(SNK)
9月23日 プレイディア(バンダイ:現バンダイナムコエンターテインメント)
11月22日 セガサターン(セガ)
12月3日 プレイステーション(SCE)
12月3日 スーパー32X(セガ)
12月23日 PC-FX(NEC)
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この次世代機戦争はまずサターンとプレイステーションが優位に立ちます。サターンはアーケードで大人気となっていた3D格闘ゲーム『バーチャファイター』(セガ)を本体と同時発売。これがスマッシュヒットとなり、もっとも早く実売100万台に到達するなど順調な滑り出しを見せました。
一方、プレイステーションはローンチタイトルのひとつである3Dレースゲーム『リッジレーサー』(ナムコ:現バンダイナムコエンターテインメント)などがヒット。サターンにやや後れを取ったものの、こちらも翌95年5月に実売100万台を達成しています。このサターン、プレイステーションと96年に発売された任天堂の「ニンテンドー64」が、次代の覇権を争っていくことになります。
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それではこの年発売された名作・話題作を紹介していきましょう。
ときめきメモリアル
発売日:1994年5月27日
機種:PCエンジン
発売元:コナミ
言わずと知れたギャルゲー人気の火付け役にして、恋愛シミュレーションを人気ジャンルへと押し上げた名作です。発売当初はほとんど注目されていませんでしたが、徐々に人気に火が付き、スーパーファミコン、プレイステーション、セガサターンに移植。関連グッズも多数発売されるなど一大ブームとなったのはご存知のとおりです。
もちろん藤崎詩織をはじめとするヒロインたちの魅力も大きかったのですが、人気となった最大の要因はシステムが画期的だったことではないでしょうか。女の子ではなく主人公のパラメータを上げ、意中の女の子に好かれるような男子に育て上げていく。女の子たちの不満を爆弾で表示する……いずれも当時は非常に斬新で本作の面白さのキモになっていました。
1回のプレイが比較的短く、試行錯誤しながら何度も繰り返しプレイできるのも魅力のひとつと言えます。進め方によってまったく違う高校生活になるなど自由度が非常に高く、かなり攻略のしがいがあるので、ギャルゲーは苦手だけど本作にはハマったという人も少なくありませんでした。
余談ですが、本作の基本システムはのちに『実況パワフルプロ野球』シリーズのサクセスモードに取り入れられ、こちらも大成功をおさめています。PCエンジン末期を飾る名作にしてゲーム史に燦然と輝く1本です。
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バーチャファイター2
発売日:1994年11月
機種:アーケード
発売元:セガ
前作『バーチャファイター』に続いて一大旋風を巻き起こした3D対戦格闘ゲームです。前作はまだまだキャラクターの造形が甘く、広い空間に闘技場だけがあるなど背景もちょっとチープでした。しかし、本作はグラフィックのクオリティが大幅にアップ。キャラクターたちが驚くほどカッコよくなり、背景もしっかり描き込まれるなど非常に見応えのあるものになっていました。
さらに目を見張ったのがキャラクターのアクションです。フレームレートが秒間30フレームから57.5フレームになったことで動きが驚くほど滑らかになっており、わずか1年でのすさまじい進化に格闘ゲームファンは狂喜しました。
かくして本作は前作以上の大ヒットとなり、全国のゲームセンターで連日熱い対戦が繰り広げられました。その人気は圧倒的で翌95年にセガサターンに移植。累計出荷本数130万本(※2)を記録するなど、こちらもスマッシュヒットとなりました。
ちなみに今プレイするならプレイステーション3もしくはXbox360版がおすすめです。ダウンロード専用ソフトですが初期版のバージョン2.0とゲームバランスなどを調整したバージョン2.1の切り替えが可能。もちろんオンライン対戦も楽しめ、価格も非常にリーズナブルなので大変お買い得です。
※2:数字はいずれも一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会発行の『2019 CESAゲーム白書』より
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