小さな頃は大好きだったのに、いつのまにか年齢を重ねるにつれて「ポケモン」シリーズから離れてしまって、幾年。そんな筆者の目に飛び込んできたのが、『New ポケモンスナップ』の新作情報でした。
子供のころ欲しかったけど買うことができなかった『ポケモンスナップ』が、新しく生まれ変わる。『New ポケモンスナップ』のティーザー映像を見ながら20年前の少年時代を思い出し、またポケモンの世界に戻ってみようかなと思うようになりました。
というわけで、今回は新作の予習も兼ねてNINTENDO64版『ポケモンスナップ』を入手。実際にプレイしながら、作品の魅力を振り返ってみます。
実際に64版を購入!今となっては驚くような配慮が
早速ゲームショップで中古の64版『ポケモンスナップ』を購入。箱なし、説明書なしでソフトだけが裸で売られていました。ソフトの表面を見てまず驚いたのは、「なまえ」と「でんわ」を書く欄が用意されているということ。確かに当時は友人の家にソフトだけもって遊びに行ったり、貸し借りをしたりすることがよくありました。そのため紛失や入れ違い、友人宅への置き忘れなどが頻繁に発生していたものです。
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筆者も実際に自分の『ヨッシーのクッキー』と友人の『ヨッシーのクッキー』が入れ替わってしまう事件や、『ポケットピカチュウ』を友人宅で紛失するトラブルを経験。『ヨッシーのクッキー』はどっちがどっちでも問題ありませんでしたが、『ポケットピカチュウ』はちゃんと名前を書いておけばよかったと今でも後悔しています。
『ポケモンスナップ』の名前欄は、そんな社会情勢を反映させた任天堂の配慮でしょう。とは言え、個人情報保護が叫ばれる現在の感覚ではちょっと理解しがたいもの。20年で世の中の常識が大きく変容しているのだなということを実感できました。
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ソフトを本体に挿入し、電源を入れるも反応は無し。何度か挿し直したり、電源などケーブル類の繋ぎなおしを試したりするも改善されません。最終的に、端子へフーフー息を吹きかける作戦を実行。経験上、これが最も効果的だと判断しました。十数回に及ぶフーフーの結果、見事起動に成功。現在ではこの方法はよくないとされていますが、やはり過去の経験に勝るものは無いなとひとり納得したものです。
ポケモンたちの暮らす世界が目の前に広がる
実際にプレイスタート。中に入っていたのは、なんと隠しステージまですべて出し尽くしたデータでした。隠しキャラであるミュウの撮影にも成功しており、本当の意味で全クリ状態。せっかくなのでこの状態で一つ一つのステージに挑戦してみました。
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ご存じない方のために改めて説明すると、本作はとある島でポケモンの生態を研究するため、オーキド博士の指示の下その姿を写真に収めることが目的。「ゼロワン号」という乗り物に乗車し、島の所定のルートを移動。移動は全自動であり、その乗り物に乗ったままうまくポケモンをカメラで撮影する必要があります。「ポケモンフード」、「イヤイヤボール」、「ポケモンの笛」の3つのアイテムを駆使することで、シャッターチャンスをうまく作ることが重要です。
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実際にコースに入ると、粗い3Dで表現されたポケモンたちがお出迎え。粗いと言っても20年前のソフトですから、当時でいえばかなりのクオリティだと言えるでしょう。ポケモンフードに駆け寄るピカチュウ。華麗に空を舞うバタフリー。ポッポを捕まえんと追いかけるニャース。ポケモンたちが本当にここで生活を営んでいるかのような光景。じっくり立ち止まって、自分のペースで島を歩いてみたい気持ちにかられます。
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ステージごとに登場するポケモン、登場するタイミングは固定なので、繰り返し挑戦してパターンを覚えることが重要なようです。「ゼロワン号」は自動でどんどん先に進んでしまうので、周囲をしっかり見まわしてどこにポケモンがいるのかしっかり観察する必要があります。1巡ですべてを看破しきるのは難しいでしょう。思いもよらないところから飛び出してくる驚きと、隠れたポケモンを発見できた喜びに満ちています。
1つのステージはそれほど長くなく、数も7つしかありません。ボリューム不足に見えますが、それを補うように細かい仕掛けが用意されているのもポイント。渦潮のようなところにイヤイヤボールを投げ続けたらカイリューが出てきたり、火口にリザードを落とすとリザードンに進化するなど、細かい隠し要素がたくさん。
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ポケモンたちのリアルな暮らしぶりが見えるような気がします。
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個人的に良かったのは、コイルとゴースト。コイルはカメラを向けられると電磁波を放ち、普通の方法で撮影することができません。ゴーストは、目視ではぐるぐる周囲を漂う紫色の靄にしか見えず、撮影してリザルト画面を見たときにはじめて何が映っていたかがわかるという仕組み。このあたりはそれぞれのポケモンの特徴をよく反映させた面白い仕掛けでした。
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それから特によかったのはロコン。本当にあざとくて悔しいけれど、胸に湧き上がるトキメキにはあらがえず、連写してしまいました。
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ポケモンとの一瞬の出会い、ポケモンスナップ特有の魅力
このゲームの魅力は「ポケモンがそこに暮らしている」ことを実感できるということ。野生のポケモンが営む暮らし、作り上げている生態系の一端を垣間見ることができます。おそらくVRなどになると、本作の良さが最大限発揮されることでしょう。
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獲物を待ち構えているのでしょう。
自分で好きなように歩き回れないもどかしさは誰もが感じる問題。先程のイーブイやロコンなどはあまりにもかわいくて、カメラを投げ捨てゼロワン号から降りてずっとその場で眺めていたい衝動にかられます。しかし、視界と移動が制限されているからこそ、本作は何度でも繰り返し遊びたくなる魅力を保っているとも感じます。
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どういう状況かわかりませんが、プリンが泣いているようにも見えます。
本作がポケモン世界を自由に散歩するゲームだったならば、おそらく全く違う評価になっていたことでしょう。ポケモンの生き様を体験しながら、ゲーム性もしっかり担保するという見事な折衷案。ポケモンとの遭遇が刹那的だからこそ、うまくカメラに収めることができたときの喜びが格別なものになるのだと感じました。新作『Newポケモンスナップ』でもこの点をしっかりなぞり、64版の持っている面白さを継承するという考えがあるように思えます。
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それぞれが互いの縄張りを侵すことなく、絶妙な距離感で共存しているように見えます。
どんなポケモンが登場するのかも注目!
64版の発売時は、金銀すら発売されていなかったため、当時存在したポケモンは151体。その中から厳選された数十体が『ポケモンスナップ』に登場していました。記事執筆時点のポケモンの総数は896体とのこと。すべてのポケモンに登場してほしいと思うのが自然なファン心理というものですが、どうでしょうか。
誰もが自分のお気に入りのポケモンに登場してほしいと願うもの。個人的にはポケモンの中で最も見た目が映えるのは虫タイプだと思っています。初代のバタフリーなどはもちろん、ヤンヤンマやヘラクロスなどにも心が躍りました。バルビートやイルミーゼなどまさに写真に収めてこそ、その真価が発揮されるでしょう。チョイスが古すぎるのはご愛敬。
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※画像はポケモン公式サイトの「ポケモンずかん」より
そんな筆者の一押しはなんといってもレディアン。初めてあのデザインを見た時のトキメキは忘れることができません。
レディバから育て、進化したときのワクワクした気持ち。根気よく育てているうちに生まれる「あれ、もしかしてこの子弱い…?」という小さな不安。それが徐々に大きくなり、レベル30前後のときそっとボックスにしまいこみ、そのまま忘れ去ってしまうという結末。時々ボックスを見て、レディアンと目が合い、「あっ」と思いながらも無言でそっと閉じることもしばしばでした。その悲しい思い出すべてひっくるめて、一番好きなポケモンと言っても過言ではありません。
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※画像はポケモン公式サイトの「ポケモンずかん」より
本記事を書くにあたっていろいろ調べたところ、いまだにレディアンは本編で苦しい立場に置かれているとのこと。この子が活きる道は派生作品以外にないでしょう。ぜひ『New ポケモンスナップ』で、美しさとかわいさとカッコよさが共存する姿を存分に見せてほしいものです。
ポケモンは戦うための道具ではなく、仲間。弱くて目立った特徴がなくても「見た目が好き」だとか、「記憶に残るエピソードがある」など、人によって様々な思い入れがあることでしょう。そんなポケモンにもスポットライトがあたるのが『New ポケモンスナップ』であることは間違いありません。今のうちから、推しポケモンの写真が撮れる日を楽しみに待ちましょう。
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ちなみにティーザー映像の中で目を引いたのはやっぱりホエルオー。最大のポケモンという肩書は伊達ではなく、迫力満点でカメラ映えしそう。あとは、ピチューたちがドダイトスの上で休んでいるところは、今だからこそ実現可能な映像でしょう。ポケモン同士が寄り添いあい、共生する様を見せられるとワクワクがどんどん膨らんできます。正直なところティーザー映像だけでおなか一杯になるほどの満足度。程よく妄想を掻き立てるショットの数々に脱帽です。
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“ポケモン復帰勢”な筆者は、映像に出てくるポケモンの半分ほどしか分からなかったのですが、それでも十分楽しめそうだなと感じました。
すでにポケモンを卒業してしまったというあなたも、『New ポケモンスナップ』を機にまたこの世界に戻ってきてみてはいかがでしょうか。筆者もそのつもりで続報を待ちたいと思います。