早いもので今年もとうとう7月になってしまいました。いよいよ真夏、生き物好きとしては気温に負けないくらいテンションも上がってくる季節です。
なぜなら野山に行けば、あるいは『あつ森』を起動すればあいつらに会えるんですから!
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そう!クワガタです。
いつの時代も子どもたちの憧れであり、夏の風物詩でもある昆虫ですね。
僕も子どもの頃は夏休みになると毎日のように友だちと山へクワガタ採りに行ったものでした(大人になった今でもちょいちょい行ってますけど)。
ちなみに、日本には数十種類(!)ものクワガタが分布しています。
その中でも比較的捕まえやすく、かつ体が大きくカッコいい「ノコギリクワガタ」はクワガタ界のアイドル的存在と言えるでしょう。
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ノコギリクワガタは北海道から沖縄にまで分布しており、生息環境も人里を好みます。コクワガタと並んで日本でもっとも出会いやすいクワガタなのです。
『あつ森』でも(移住先を北半球に設定した場合)7,8月限定でノコギリクワガタが出現します。『あつ森』に登場するクワガタは全部で7種類ですが、やはりその中でもノコギリクワガタは遭遇率が高め。こういうところ忠実ですよね『あつ森』。
しかし、さすがは人気者。よく見かける割に売値は2,000ベルとなかなかに高価です。現実でもこの時期になるとホームセンターやペットショップで販売されているところをよく見かけますね。
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ノコギリクワガタはオスでは全長(大アゴの先端からお尻までの長さ)7センチを超える大型のクワガタでありながら、スラリと脚が細長くスマート。さらに日本産のクワガタにしては珍しく体が赤みがかっていて華やかさも兼ね備えています。
しかも性格も活発で日中に活動することもあるなど、ペットとして飼育するにも都合の良い要素が満載なクワガタなのです。
しかしなんといっても!彼らの最大の魅力を秘めているのはあのイカしたオスの大アゴでしょう。
牛の角のように湾曲し、たくさんのギザギザ(「内歯」といいます)が並んだ大アゴはノコギリクワガタという和名の由来にもなっています。
大アゴのかっこよさについてはゲーム内でも言及されていますよね、「アゴの曲がり具合が~」とか「カーブがかかった大きなアゴは、水牛とも呼ばれて~」とか。
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だがしかし!実際は必ずしもすべてのノコギリクワガタ♂がそんなにご立派な湾曲した大アゴを備えているわけではないのです。
ノコギリクワガタの大アゴは大きく分けて3種類、「大歯型」「中歯型」「小歯型」に分類されます。体が大きなものほど大歯型に、小さなものほど小歯型になる傾向があります。
この中で特にフータさんのいう「水牛」の称号を得るのは「大歯型」のグインと大仰に反りうねったアゴを持つ個体に限られます。
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なお、水牛という呼び名は西日本を中心に多く用いられる俗称で、他にも「オオノコ」だとか「ウシ」といったローカルな呼び名で区別している地域もあります。クワガタ界隈、奥が深いですね。
ちなみにクワガタの体格の大小は幼虫時代の栄養状態によって決まるため、小歯型の個体ががんばってのちのち大歯型に成長する…ということは起きません。残念ながら。
とはいえですよ!たしかに価値観が「デカい=正義」な子どもたちの間では水牛であることこそがひとつのステータスなのかもしれません。
しかし、よくよく見てみると中歯型や小歯型にもそれぞれの良さがあるものです。
たとえば中歯型のまっすぐに伸びたアゴはノコギリクワガタの備える活発さや俊敏さをもっともよくあらわしています。
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そして小歯型はなんといってもその可愛らしさ!
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ちょこちょこと木の幹を歩き回る様子はある種のマスコットのようでもあります。
また、小歯型のアゴを注意して観察すると細かな内歯が密に並び、まさにノコギリの刃のよう。
ノコギリクワガタという名は意外とこうした小歯型の個体にこそふさわしいのかもしれません!
おっと、少し熱く語りすぎてしまいました。虫好きの悪いところが思いきり出ましたね。クワガタという虫にはそれだけ人を熱中させる何かがあるんです。
それではあつ森でもプレイして頭を冷やすことにします。
よし、今日中に必ずオオクワガタ採るぞ~!!
『あつ森』博物誌バックナンバー
■著者紹介:平坂寛
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Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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