そんな本作最大のウリは、ゲームの舞台となる島を好きなだけ自分好みにカスタマイズできる、無限ともいうべき自由度の高さ。TVCMに流れる「何もないから、何でもできる」という言葉通り、まさに十人十色な島を作ることが可能です。
抜群のセンスと類い稀なマイデザインで、美しくコーディネートされた島。名作ゲームなど、その人が好きな世界観を徹底的に再現した島。昨今の情勢によって延期になってしまった東京オリンピックになぞらえて、「五輪島」を作られた方もいました。そのどれもが素晴らしく、まさに“神島”と呼んで差し支えないでしょう。
しかし、筆者はここで声を大にして言いたいことがあります。脚光を浴びる神島の影で、いくつもの“挫折島”と呼ぶべき島が存在するのではないか、と。
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振り返れば筆者は小学生の頃から、計算ドリルのタイムアタックはめちゃくちゃ好きでバリバリ手を動かしていたのに、図工や美術の授業では何を作ればよいかまったく分からず、ただただ唸って時間が過ぎ去るのを待つ性格をしていました。
練習や努力によって、できることが増えると嬉しい。だから頑張れる。ただし、練習や努力の方向があらかじめ示されないと、どこに向かって走ればよいのか分からない。そんな感じだったように思えます。
何を隠そう、筆者の島はまさに挫折島と評するにふさわしい、中途半端な状態です。この数ヶ月、『あつまれ どうぶつの森』を起動して自分の挫折島を訪れるたびに、何とも言えないモヤモヤを抱えてきました。「…ゲーム自体は楽しいのに、島がイケてねぇ…」なんて、悶々としていました。
ところが最近、そんな気持ちが一回りしたのでしょうか。「挫折島も大切な、第二の故郷」と自然に思えるようになってきたのです。気持ちも軽くなり、「ありのままの島を見せるのよ♪」なんて、鼻唄も飛び出す始末。せっかくなので、そんな自慢の挫折島の一端をご覧ください。
“小学生男子”的な島の入り口
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「イースター」イベントで作った飾りを飛行場の出入り口に置いたはよいものの、なにか締まらんなと思って、和式トイレを置きました。長旅でお腹痛くなった人がいたら大変かなと思って…。まんま発想が、小学生男子です。
1日1体、増えるはずだったレスラー
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1日1体、レスラーが増えたら面白いかなと思ってせっせと並べ始めたのですが、数日で途方もない虚無感が押し寄せてしまい、放置しました。島のカブ価が爆上がりしてフレンドを招いた際、その一人がレスラーを増やしてくれたのが良い思い出です。
レスラーが戦うはずだった怪獣
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前述のレスラーは力を合わせて怪獣を倒すという脳内設定がありました。レスラーの数が足りていないので、まだまだ怪獣には勝てなそうです。レスラー急募。
延々と寄付を待ち続けるハニワくん
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筆者がケチなので、延々とハニワくんが寄付を待ち続けています。 いなくなると逆に寂しいので、ずっといてほしい。インサイドにて先日、「橋の建設に必要な寄付金が集まらないまま1ヶ月経ったハニワくん、島に対して何を思う?」という大喜利記事を公開しましたが、発想の元ネタは彼です。
タヌキ商店前に布団
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毎日のカブ価チェックが楽しくて仕方なかった頃に設置しました。カブ価が下がった際、まめきち&つぶきちにプレッシャーをかけようと思ったのですが、イマイチ効果はありませんでした。ですよね。
とにかく賑やかにしたかった、雑多エリア
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賑やかさが欲しいと思い、その時持っていたモノを無造作に置いたらこうなりました。特に画面右側のお花は、最初は少ししか咲いていなかったんですが、気付いたらいっぱい増えてました。植物の生命力がひしひしと感じられる、島内でも珍しい観光スポットです。
人が人であるため、トイレは大事
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人間が文化的に生きて行く上で、トイレはとても重要です。“開放感”を最優先した結果、この配置になりました。でも、もっとも重要視すべきだったのは屋根だったと反省しています。雨が辛い。
何かあった感のある意味深な石碑
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筆者の挫折島は、もともとあった自然がほぼそのまま活かされていますが、ここだけ人工的な雰囲気にしています。意味深な石碑と、咲き乱れるお花。きっと何か、後世に伝えなければならないことがあったのでしょう。なお石碑の裏には隠し財産が埋まっています。
…改めて島内を振り返ると、神島を作っている皆様がどれだけ時間と労力をかけて頑張っているのかが分かり、その素晴らしさに頭が下がる思いです。
『あつまれ どうぶつの森』は7月3日、大型アップデートを迎えました。夏要素がてんこ盛りとなり、世の中の神島も夏の装いになるのでしょう。しかし、我が挫折島はきっと、たぶん、ずっとこのままです。もしかしたら、扇風機ぐらいは増えるかもしれませんが。
「何もないから、何でもできる」。そこに一言加えるならば、筆者は「いつでもできる」という言葉を選びます。島は逃げません。いつでも好きな時にカスタマイズできます。無理に周囲と比べても、辛いだけ。神島を作りたくなるその日まで、筆者は気ままに新しい生き物を捕まえたり、住人との会話を楽しんだりする生活を楽しもうと思います。
ああ、今年も夏が来ますね。
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