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中国式子育て『Chinese Parents』は大学受験で人生が決まる!─金メダリストを目指して体を鍛えまくる、ただ娯楽に耽る先に待つ未来とは?【プレイレポ】

幼少期から鍛えまくる、恋に生きる、すべてを諦めて娯楽に耽る……さまざまな人生がたどり着く結末を見届けよう!

任天堂 Nintendo Switch
中国式子育て『Chinese Parents』は大学受験で人生が決まる!─金メダリストを目指して体を鍛えまくる、ただ娯楽に耽る先に待つ未来とは?【プレイレポ】
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8月20日にニンテンドースイッチで『Chinese parents』がリリースされました。もともとPC向けに発売されており、今回ニンテンドースイッチでも発売される運びとなりました。

いわゆる育成シミュレーションゲームで、決められた期間内に主人公のステータスを成長させ、その人生を成功へと導く作品です。タイトルの通り中国が舞台。中国の文化や価値観と、日本のサブカルチャーの小ネタも織り交ぜられた非常に独特な作品となっています。

今回はそんな本作を実際にプレイし、様々な人生を送ってみました。

大学受験こそが人生を決める


本作は生誕から大学入試までの期間をかけてキャラクターを育成します。その間にどのような人生を送ったかが結末を決めます。大学こそが全て。ゲーム全体に漂う学力偏重の意識は、現代中国の雰囲気を若干の誇張を含めて再現しているようです。

家族の笑顔に祝福されて生まれてきた主人公。
果たして家族のこの笑顔はいつまで続くことやら…。

毎ターン、ステータスに応じて与えられる「行動力」と「理解力」というポイントを消費してキャラクターを育成していきます。まずは「カケラ」というシステムを使用。マス目上のアイコンを選択し、そこで「行動力」を消費すると、その周囲8マスが開示されていく仕組み。『ファイナルファンタジー10』の「スフィア盤」や、『ファイナルファンタジー12』の「ライセンスボード」、『ドラゴンクエスト11』の「スキルパネル」をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

盤面は毎ターン新しいものになり、内容も毎回ランダム。
運も実力のうち。

「カケラ」の盤面でステータスを成長させたら、今度は「学習」の画面で「理解力」を消費して技能を増やしていきます。IQが一定値に達していれば「話す」スキルを習得できますし、体力が足りていれば「歩く」を習得できる、といった要領です。ターンの終わりに習得したスキルを選んで「予定」を実行。この予定実行時にさらにステータスが成長します。

パネル解放でステータスアップ→スキル習得→スキル実行でステータスアップ
→ステータスに応じたポイントを取得→次のターン再びパネル解放……という流れでゲームが進行します。

これをひたすら繰り返し、キャラクターを育成して理想の人生に導いていくというゲームです。好きな人と結婚することか、プロスポーツ選手を目指すことか、中国最高峰の北京大学に入学することか、何をゴールにするかはあなた次第。

ただし、どこを目指そうとも変わらないのは、親や学校の先生からの勉強への圧力です。とにかく勉強で成果を出すことが全てであるという強迫観念がゲーム全体に漂っています。あらがいながら、恋愛やスポーツに注力するためには、かなり強いハートが必要です。

こんな恐ろしいことを言われながら送る高校生活は果たして楽しいものなのでしょうか。

大学入試を迎えるとゲーム終了。これまで培ったスキルとステータスに応じて、入学する大学が決まり、その後の就職先とキャリアが決まります。

受験が終わるとエンディングが始まります。

大学卒業後の職、キャリアは文章での説明のみ。

本作に充満する空気は、自分の大学受験期を思い出させます。この作品ほど厳しい環境ではありませんでしたが、ゲームを進めるにつれてなんだが胃の奥底がキリキリ痛むような感覚を覚えました。

様々な人生を送れる本作。この機会に目標を立てて過ごしてみることにしました。

勉強なんかそっちのけ、体力に振り切って育てる!


普通に一度プレイした後、まずは体力偏重プレイに挑戦。周りはとにかく勉強を押し付けてきますが、その言葉をスルーして体力アップに集中。

カケラは体力だけを集め、予定では体力を上げるものだけを選択していきます。

ゲーム途中にはなんどか将来の夢を尋ねられる場面もあり、これが最終的な職業に大きく影響します。今回は「金メダリスト」を選択。そのほか、スポーツに関わる内容を集中して選択していきます。

幼少期から体力に集中して育成。早速その成果が出ているようです。

体力重視で進めていると途中で発生するイベントにも変化が。バスケ部に友人ができ、彼との交流を深める展開が進みます。主人公自身もバスケの選手になりたいと決意を固めていく様子がうかがえます。

モテるためにバスケ選手を目指す主人公。
僕はe-Sportsも良いと思いますけどね。うん。

これがバスケ仲間。小学生から大学生になるまで容姿の変わらない謎の人物です。

やがて「プロバスケット」の技能を習得。高校生ながらプロ選手になれたというところでしょうか。

体力偏重に育てると、意外にすんなりこの技能習得にこぎつけられました。

終盤なると体力のステータスが頭打ちに。体力ステータスを上げられないため、仕方なくほかのステータスにも割り振ることにしました。その結果、全体のステータスが割と高く、中でも体力がずば抜けているという結果に。中途半端にいろいろなステータスに割り振るよりも高い性能に仕上がってしまいました。

画面の左端がステータス。もっと極端に偏った状態になるかと思いましたが、想定していたよりもバランス良し。

大学受験などではあまり成果を出せませんでしたが、エンディングでは何ともあっさりと金メダリストに。体力のステータスが頭打ちになっているということは、この世で最も高い体力を有していることにほかなりません。金メダリストも妥当なところでしょう。体力に振り切るだけでこんなに簡単にメダリストになってしまうとは、ちょっと拍子抜けしました。

「就職し、金メダリストに」、という謎の一文。
まあ確かにオリンピック選手はどこかの企業に所属しているはずなので、間違いではないでしょう。たぶん。

とにかく女性を口説きまくる!恋愛にかける青春


本作は中学以降、異性との恋愛要素が加わります。異性との恋愛はゲームクリア後の結婚に影響を及ぼします重要な要素です。好感度を上げておくと、お見合いのフェーズで、その女性が選択肢に登場。高い確率で結婚を成就できます。

異性との関係性が、エンディングの際に影響してきます。

ということで、次は異性を口説きまくるプレイを実践してみました。幼少期から小学生までの間はとにかく満遍なくステータスを上げることに注力。女の子たちはそれぞれ好みがあり、特定のステータスが一定値以上でないと、こちらの問いかけてに応じてくれません。

冷たい女の子たち。この辺は一般的な恋愛シミュレーションと似ていますね。

小学生までの間に十分力を蓄えた少年は、中学から女の子に猛アタックを開始。狙いはメッシュと三つ編みがトレードマークの「シー・メンライ」ちゃん。好感度0からのスタート。基本は相手と会話し、出てくる選択肢から適切なものを選ぶだけです。

選択肢があいまい過ぎてどんな内容なのか予想できないのが難点。
はじめはとにかくトライアンドエラーを繰り返すのみ。

選択肢が不明瞭なため、好感度は簡単に下がってしまいます。女の子によって好みの会話とそうでないものが決まっているようで、パターンさえつかめばおそらく簡単なのでしょう。

あっさり好感度が下がっていくところはショック。
乙女心は掴みづらい。

好感度を上げていくとどんどんその子のパーソナリティが明らかに。
それぞれに悩みを抱える女の子たちの素性を知り、唸ってしまう場面も。

慣れてしまえば結構簡単なもので、何とか好感度を100%にすることに成功。しかし、特に何もなし。彼女とのストーリーは一定の着地を見せましたが、恋人になったりキスをしたりといった進展もなく、好感度が最大になっただけで、それ以上の展開はありませんでした。

無事100%を達成。ラッキースケベなイベントも一つもなかったのは残念。

あくまで全年齢作品、ということでしょうか。少年少女には、健全なプラトニックなお付き合いを求めているという価値観の現れかもしれませんね。いずれにせよメンライちゃんとの好感度は最大に。彼女を口説く以外に何もしない学生時代でしたが、彼女との恋愛がどのように人生に影響を与えるのか見ものです。

入試を終えると普通にエンディングを迎えます。大学入学し、卒業し、仕事につき、お見合いイベントに到達。この時ついに、候補にメンライちゃんが登場。成功確率80%と他とは段違いの成功率を見せつけます。

成功確率80%のメンライちゃん。これはおそらく成就できるでしょう。

結果プロポーズ成功。めでたく子供が産まれます。この時、配偶者であるメンライちゃんのステータスボーナスが加算された子供が誕生。本作は、自分と配偶者のステータスボーナスを引き継いだ子供を産んで、その子をさらに育てられるのです。『俺の屍を越えてゆけ』のように、どんどん高い性能を引き継いだ子孫を残せますよ。

メンライちゃんのステータスボーナスが加算された子供が誕生。
これが本作における結婚システムの肝となります。

結局、異性との恋愛は結婚の確率を高くするためだけの要素だったようです。結婚自体も、次の世代のステータスボーナスのための要素であり、それ以上でも以下でもないといったところ。ちょっとドライな感じがしますね。エンディングでメンライちゃんとの素敵な1枚絵のCGなどが見れたら良かったのですが、そういうご褒美はないようです。

意外に選択肢が難しかったため、複数女性を同時には口説けませんでした。ハーレムを目指して進めてみると、また違った展開がみられるかもしれません。

勉強もしないし運動もしない……ただ娯楽に耽る人生


プレイを繰り返すと嫌になってくるのは、親や教師の言葉。勉強への強い圧力が筆者の心を苦しめます。こうなったら思い切ってそれに抵抗してみせる。思い立って次は「娯楽」しか選択しない人生に挑戦。「学習」に分類される項目には一切手を付けないプレイに挑みます。

ステータス振りは通常通り、ひたすら良いものを満遍なく取得していきます。スキル獲得の際も、「学習」に分類されるものも一応入手していくことに。しかしターンの最後に実行する「予定」では「娯楽」の分類にあるものしか行わないこととしました。

娯楽とは、このように遊び要素のこと。
若干ステータス上昇もありますが、基本は主人公のストレス軽減が目的です。

対する「学習」は歩くことや話すことはもちろん、
国語算数理化社会英語の五教科やスポーツ音楽なども該当します。

娯楽ばかりやっていると、ステータスはちゃんと成長していくのですが、習得できる「学習」の欄に何も上がってこないことに気づきます。この「学習」の項目は、ほかの学習を実行することによって増えていきます。

例えば「歩く」という学習を繰り返すことで、「走る」ことを学習できるようになる、といった形。つまり全く「学習」をしないでいると、新しい技能を身に着かないのです。

数ターンであっという間に空になってしまった学習項目。
何も学習しないでいることは、何も習得できないということ。

「娯楽」の項目は売店で購入できます。売店にはゲーム機や、ミニ四駆のパロディ商品、ヨーヨーなどの玩具がたくさん。購入することでその娯楽を実行できるようになります。購入するにはお金が必要。このお金は毎ターン一定額もらえますが、一番良いのはお手伝いやバイトをして稼ぐことです。

日本人にも馴染みのおもちゃがたくさん並んでいます。

しかし、お金稼ぎの際にも学習していない弊害が。何も習得していない状態では、単価の低い「床掃除」と「皿洗い」しかできません。「四則演算」を習得して「買い物」の手伝いができるようになったり、「中国地理」を習得していれば「ツアーガイド」のバイトができます。つまりは、技能を持たない人は単価の高い仕事ができない、という現実に直面します。

床掃除と皿洗いしかできない状態。

遊び惚け、バイトもろくにできない生活を送っていると、何のイベントも発生しません。スポーツ選手を目指していたころのような友人との切磋琢磨や、恋愛に注力していたころの、人間関係の悩みも何もありません。どちらも淡泊ではありましたが、しっかりとこのゲームを盛り上げる要素になっていたのだなと気づかされます。

遊んでばかりいるせいか、「ヒマ」というイベントが発生。
その間、母から罵声が飛ぶことも当たり前。

ステータスは決して低くありませんが、「国語」や「算数」の学習をしていないため、テストの点数は最低。親からもひどい罵声を浴びせられる日々となります。結局大学には入れず、ニートになってしまうという結末を迎えることとなってしまいました。

ニートの合格通知書。もう何がなんだかよくわかりません。

何も起こらない人生を過ごしたというエンディング。
背景が工場のような場所なのはちょっと謎。

恋愛もうまくいかず、よくわからない人と結婚した、という結末に。
結婚しただけマシ、と考えるのは筆者だけでしょうか。

興味深いのは最終ステータス。パネルの解放はちゃんとやっていたので、ステータスは体力以外、決して低くない水準になりました。しかし魅力とメンツが圧倒的な低さ。特にメンツはマイナスに振り切っています。

また、学習のために消費する「理解力」をまったく使わなかったため、異様な数値の理解力が残っています。「才能はそこそこあり、理解力は非常に高いのに、何の技能も持たなく魅力もないニート」が完成してしまいました。

改めて見ても、IQから記憶力までは決して悪くない数値。
「理解力」も高いので、変に知恵のついた人生経験の淡泊な人物、になってしまったように思います。

基礎ステータスが高くても、理解力があっても、何にも挑戦しなければ何にもなれないという教訓なのでしょうか。デジモンでいうところの「ヌメモン」だけが「もんざえモン」になれる、というような一発逆転があるかと期待して挑戦しましたが、ただただ残酷な現実を見せつけられたような気持ちになりました。

人間の生き方の残酷さを突き付けられるゲーム


キャラ育成の要素はランダム性もありつつ戦略性もあり、のめり込む要素十分。子から孫へとどんどん育成の成果を引き継げるため、子孫繁栄をさせる楽しみもあります。数代にわたる一大家系を築くことも可能です。

非常に面白いゲームなのですが、一方で人生の過酷さを味わうという感覚もあります。特に最後のニートプレイは冗談のつもりで挑戦しましたが、非常に苦々しい感情を筆者の中に残しました。

親や先生の言葉の辛辣さは、受験期を悪い意味で思い出させます。現状に満足している大人たち、当時の思い出を笑い飛ばせるようになっている人なら楽しめることでしょう。しかし、学生時代の辛い過去を引きずっている人、現状の自分の生き方に納得できていない大人たちにとって、このゲームは想像以上に辛いものを突き付けてくることになります。

単純にゲームとして割り切れる人ならば良し。「メンツバトル」という自分の子供の自慢話でマウント取り合うバトル要素などもあり、ステレオタイプな中国観が良く出ているような気がします。他にも、日本人にもなじみ深いサブカルチャーの小ネタも満載なので、それらの面を楽しむ上では非常に良い作品となっています。

選択肢一番上は、ちょっと懐かしい日本の漫画の小ネタ。これ好きだったな~。
なんとこれ、もう8年も前のアニメらしいですよ…。

ちなみに、主人公は男の子と女の子の2パターンあります。このゲームは元々PC用のゲームだったのですが、リリース当初、主人公は男の子のみで後から女の子も追加されたようです。

一人だけ別世界の住人のようなかわいさ。

かわいい女の子が画面に映ると、それだけでもプレイのモチベーションが上がります。

後から追加されたというだけあって、女の子のデザインは抜群のかわいさ。この子目当てでプレイするのもお勧めです。小ネタ満載、ゲーム性も十分、数世代の渡る家系を作るロマンもある。魅力たっぷりのインディー作品です。これからの自分の子孫繁栄の人生設計のテストプレイとするも良し、失われた過去の栄光を取り戻すも良し。いずれにしても、感情移入しすぎないで、楽しむことをお勧めします。
《竜神橋わたる》
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