平安京エイリアン
発売日:1980年1月
機種:アーケード
販売元:電気音響
平安京をモチーフとした碁盤の目状のフィールドを舞台に、次々に現れるエイリアンを退治していくゲームです。開発を手掛けたのは東京大学の理論科学グループで、「現役の東大生が作ったゲーム」ということで話題となりました。
プレイヤーは主人公となる「検非違使(けびいし)」を操作して、平安京に現れたエイリアンを倒していきます。検非違使とは犯罪などの取り締まりを担当する官職のことで、平安時代の警察官のようなものです。舞台が平安京なので、このような名称を使ったのでしょうね。
ユニークなのがエイリアンの退治方法で、道に落とし穴を掘り、落ちたエイリアンを埋めることで倒すことができます。いかにワナを張り巡らせて敵をハメるかがポイントになるわけで、トラップを駆使するゲームの始祖的存在と言えるかもしれません。
必然的に「どこに穴を掘るか」が重要になります。自分の四方に穴を掘るという「待ち」の戦法が基本ですが、エイリアンは残り1、2匹になると、待っているだけではなかなか落ちてくれなくなります。さらに、あまり時間をかけすぎると、エイリアンが増殖してクリアが困難になるため、積極的に攻めにいく必要もあるなど奥の深いゲーム性がありました。いち早く2人協力プレイを取り入れたことでも有名で、ゲーム黎明期を代表する1本です。
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Rogue(ローグ)
発表年:1980年
機種:PC
販売元:-(※3)
※3:最初のバージョンはUNIX用のフリーのアプリとして開発
UNIXというOS向けのアプリケーションとして開発されたダンジョン探索ゲームで、「ローグライクゲーム」の始祖として知られています。
地下深くに隠された「イェンダーの魔除け」というアイテムを入手すべく、さまざまなモンスターが巣くうダンジョンを探索していきます。ダンジョン内で手に入る武器、魔法の巻物、薬などのアイテムを、いかに駆使するかが攻略のポイントとなりますが、これらのアイテムは1回使ってみないと、どんな効果があるか分かりません(特定の巻物で調べることは可能)。ダンジョンの構成もランダムで、しかも倒されたらイチからやり直しとなるため、非常にスリリングで何度でも楽しめるようになっていました。
のちのゲームに多大な影響を与えたマイルストーンというべき1本ですが、かつては日本での知名度はかなり低く、一部のマニアだけが知る隠れた名作となっていました。しかし、本作のシステムをベースにした『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』(チュンソフト:現スパイク・チュンソフト)がスマッシュヒットしたのをきっかけに、多くのゲームファンに、その名を知られるようになりました。
現在、1985年にEpyxがIBM PC向けに発売したバージョンがSteamにて配信中です。すべてが英字や記号などで構成された非常に原始的なゲームですが、今でも十分楽しめるだけの奥の深さがあります。価格も310円とリーズナブルなので、この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか。
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そのほか、アーケードでは3機のマシンをドッキングさせることでパワーアップしていくシューティングゲーム『ムーンクレスタ』(日本物産)がヒット。敵のマシンから逃げながらステージ内のフラッグを獲得していく『ラリーX』(ナムコ)も人気となりました。
アメリカではアップルII向けに発売された『ミステリーハウス』(シエラ・オンライン)が話題に。館を舞台にした謎解きゲームで、画像とテキストで構成されたアドベンチャーゲームの元祖と言われています。また、テキストだけでゲームを進めていく、テキストアドベンチャーの名作『ゾークI』も(インフォコム)も注目を集めました。
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最後に、この時期に絶大な人気を誇っていた、すがやみつるの『ゲームセンターあらし』についても簡単に触れておきましょう。1978年より小学館の「コロコロコミック」にて掲載された人気マンガです。主人公の少年あらしがライバルたちとゲームで対戦する熱血マンガで、実在するさまざまな人気ゲームが登場。炎のコマ、月面宙返り(ムーンサルト)、エレクトリックサンダーなどのキテレツな必殺技の応酬も見応えたっぷりで、子供たちのバイブル的存在になりました。
もちろん、今回紹介した『ゲーム&ウオッチ』、『クレイジー・クライマー』、『平安京エイリアン』なども登場。ことに『パックマン』は何度も登場していて、当時の人気の高さがうかがえます。『あらし』を読んで作中のゲームに興味を持ったという子供も多く、その後のゲームの隆盛に果たした役割は絶大なものがありました。資料的価値も大きく、黎明期のゲームを語る上で欠かせない存在となっています。