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変貌した狩猟笛は『モンハンライズ』としての「ひとつの完成形」―辻本P&一瀬Dインタビュー

『モンハンライズ』では狩猟笛がメジャー武器に仲間入りをはたすか!?辻本Pと一瀬Dに最新事情をうかがいました。

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変貌した狩猟笛は『モンハンライズ』としての「ひとつの完成形」―辻本P&一瀬Dインタビュー
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2007年にPSPで『モンスターハンターポータブル 2nd』が発売された日でもある2月22日、ニンテンドースイッチ『モンスターハンターライズ』の辻本良三プロデューサー、一瀬泰範ディレクターへのメディア合同インタビューが行われました。再登場が話題を呼んだフルフルにまつわる話や、狩猟だけに留まらない遊びの話、2021年1月に限定配信された体験版への反響など、話題が多岐にわたったオンラインインタビューの様子をお届けします。

――体験版リリース後の反響を教えてください。また、それを受けて調整や変更が施されている箇所などはありますか?

辻本まず反響ですが、大勢の方にプレイしていただけて、いい反応がいただけたと思っています。翔蟲を使った新アクションや、フィールド上での遊びなど、いろいろ体験していただけたんじゃないかと思います。

武器種でいうと、やはり反応が大きかったのは狩猟笛ですね。これまでのシリーズでは使用率がかなり低かったのですが、体験版では使用頻度も上がり、かなり話題にも上がってくれているなぁと。

また、体験版では不具合や、一部の数値面に意図していない挙動などもありましたが、製品版ではきちんと修正しております。ここからアクションが変更されるようなことはありません。

――今作からの登場となる翔蟲とオトモガルクのコンセプトや、導入の経緯を教えてください。

一瀬翔蟲は、従来の『モンスターハンター』のアクションに、システムの部分で遊びを加えたいという思いがあり、導入したものです。オトモガルクは、かねてプレイヤーのみなさんから「オトモアイルー以外のオトモもほしい、アイルーは猫(型獣人)なので、犬がいい」というお声をよくいただいていましたので、今回オトモガルクという形で実現しました。

翔蟲もオトモガルクも、「軽快に気持ちよく移動できること」を念頭に調整しました。"移動も楽しいハンティングアクション"というのが、ひとつの大きなウリになるかなと。

移動でも狩猟でもハンターの大きな助けとなってくれるオトモガルク

――従来の"乗り"に代わる新システム・操竜についても教えてください。

一瀬"乗り"の仕組みも新しくしたいねと企画メンバーと話していたところ、モンスター担当の企画から「モンスターに乗って操れるようにしたらどうか」と提案があり、フィールド上の環境生物や他のモンスターを利用して狩猟を行うというシステムとうまくマッチしそうだと感じ、今回の操竜というシステムに従来の"乗り"を落とし込みました。

――『モンハン』シリーズの書籍「ハンター大全」などでは系統樹の分類名として掲載されていましたが、ついにゲーム中でもフルフルに「奇怪竜」という別名が付きました。また、『モンハンライズ』のフルフルはビジュアル面も大幅に強化されています。奇怪竜という名称を正式に採用した経緯や、フルフルへのこだわりがあれば教えてください。

辻本これまで(ゲームの中では)フルフルだけ別名がありませんでしたが、フルフルが登場したシリーズ1作目からもう17年も経ちますので、このタイミングで付けようか、と。この機会に、奇怪竜という名前をしっかり浸透させたいです(笑)。

一瀬本作は使用しているゲームエンジンが内製のRE ENGINEになったことで、従来の携帯ゲーム機のモデルから大幅に向上できました。開発当初のフルフルの質感とかは今よりもグロかったので、大分おさえてもらったくらいです(笑)。もちろんフルフルだけでなく、他のモンスターたちもより豊かな表現にできました。たまには狩りの手を休めて、彼らをじっくり観察などもしていただけたらうれしいです。

――翔蟲とオトモガルクはとても軽快で、狩りがしやすくなりました。それにともないゲームスピードも上がったように感じられますが、これも意図的なものでしょうか。

一瀬制作にあたり、辻本から「携帯ゲーム機ならではの軽快さやテンポ感を大事にしてほしい」とオーダーを受けていましたので、そこまで見越して調整しています。

――鉄蟲糸技の登場で、各武器の立ち回りの幅が飛躍的に広がりました。コンセプトとしては、各武器が持つ弱点をカバーするためのものなのでしょうか?

一瀬それもありますし、逆に、より伸ばせる長所を鉄蟲糸技で補っていることもあります。「この武器はどうすれば遊びの幅が広がるか」を念頭に置いて検討・調整しています。

同様に、大型モンスターの一部の挙動も翔蟲を意識した面はあります。たとえば、足元を薙ぎ払うような攻撃は、翔蟲を使って上空にかわしてもらうことを意識しています。

とはいえ、そういう攻撃はガードしてもいいですし、後ろに下がってかわしてもらってもよいです。翔蟲を使うことで遊びの幅が広がっているモンスターもいますので、そういった部分も込みで遊んでいただければと思います。

翔蟲を活用すれば、大型モンスターとの立ち回りの幅がより広がります

――新登場モンスター・ビシュテンゴについて教えてください。どのようなところから着想を得たのでしょうか。

一瀬ビシュテンゴは、分類としては牙獣種になります。今作のモンスターは、和風やアジア的な雰囲気を持つことや、実在の生き物だけでなく妖怪などの特徴もかけ合わせた複合的なデザインにすることをコンセプトにしています。

ビシュテンゴのモチーフは、猿や天狗ですね。また、尻尾を軸に回転する動きは、生き物ではなくコマがモチーフになっています。

猿やコウモリ、天狗などをモチーフに生み出された新モンスターのビシュテンゴ

――鉄蟲糸技は、『モンスターハンタークロス』シリーズの狩技のような印象も受けます。システムとしては似た立ち位置になるのでしょうか?

一瀬狩技は"必殺技"をイメージしたものですが、鉄蟲糸技はそれと比べると通常技の延長といいますか、それよりは高い頻度で使って攻撃に変化を付けるためのもの、という位置付けですね。大剣のタメ斬りに近い、とも言えるかもしれません。

――いわゆるトレーニングエリアとなる修練場は、とても使い勝手がよいと感じました。これは公式大会の「狩王決定戦」を意識されてのことでしょうか?

一瀬集会所があるシリーズ作品では、複数のプレイヤーが集まれるのは集会所のみでしたが、今回はカムラの里を自由に移動できます。それにともない、友人同士で集まってマルチプレイする際も、誰かが準備している間に修練場に行ってちょっと遊んだりできるようにしました。こうすれば、待ち時間も苦にならないかなと。

辻本今はこういう状況(コロナ禍)ですので「狩王決定戦」の開催についてお話できることはまだ何もないのですが、もちろん、みんなでタイムアタックをして遊ぶ…という遊び方もできると思います。

――本作はカムラの里で流れる曲が歌になっているなど、歌も印象的です。里ではいわゆる"モンハン語"バージョンの歌が使用されていますが、今後日本語バージョンのものが聴けることはありますか?

一瀬基本的に"モンハン語"バージョンのみになります。カムラの里で流れているのは里に伝わる百竜夜行の伝承の歌で「カムラ祓え歌」といいます。ちなみに体験版のタイトル画面で流れているものは、ヒノエが歌っているのが「カムラ祓え歌(陽の慧)」。ミノトが歌っているのが「勇まし狩人(水の杜)」です。狩猟に出かけるハンター達の無事と成功を祈願した唄になります。

食事場でヨモギが調理中に歌っているのは「うまうまおだんごのつくり歌」という歌で、これはそのまま、"お団子の作り方"みたいな内容の曲です。絵描き歌のようなイメージですね。里では1番を、集会所では2番を歌っています。日本語の歌詞はあるので、何か機会があればお披露目できればよいですね。

また、今作はサウンド担当と「本作ならではのキャッチーな要素がサウンド面でもほしい」と相談し、声を盛り込んでいます。声を楽器のひとつに見立て、ほとんどの曲に何かしらの形で声が入っていますね。もちろんすべてが歌というわけではなく、曲によってはコーラスのような形だったりします。

――カムラの里でさまざまなキャラクターと話していると、キャラがしっかり立っており、今作はストーリー性も強く出しているのかなと感じました。そこもウリのひとつでしょうか?

一瀬世界観や、NPCたちのキャラクター性もより豊かなものにしようと、各人に名前を付け、より個性が出るようなセリフ回しは意識しました。

――環境生物についてお聞きします。総数はどのくらいでしょうか? また、辻本氏と一瀬氏おススメの環境生物も教えてください。

一瀬正確な数はお話できませんが、体験版に登場した環境生物がすべてではありません。大型モンスターがそうであるように、特定のステージ・地域にしか生息していないものもいたります。

辻本お気に入りの環境生物というと、僕はやっぱり大型モンスターをおびき寄せるエンエンクですかね。モンスター同士でなわばり争いをさせられるので(笑)。

一瀬やっぱりそこですよね(笑)。僕も、エンエンクと同じような特徴を持つ子泣キジが好きです。環境生物は、あらかじめ準備してきた武器やアイテムだけで狩るのではなく、その場にある自然のものも利用しながら狩猟できたら……という思いで誕生しました。

――冒頭でも言及がありましたが、今作で狩猟笛に大きく手を入れた理由を詳しく教えてください。

一瀬狩猟笛はこれまでの作品でも少しずつ変わってきてはいましたが、モンスターとの立ち回りの中で、より演奏が効果を発揮するようにしたい、そういった部分をより尖らせたいという思いがありまして、思いきって変えてみました。

立ち回り方は大分変わったと思いますが、「『モンハンライズ』としての、ひとつの完成形」という感じにできたかなと思います。

――フィールド上でアイテムを拾ったらフレーバーテキストが増えるような要素がありましたが、アイテムを集めて物語などを読み解く楽しみもあるのでしょうか?

一瀬はい、そういうのも探索時の楽しみのひとつとして入れています。ただ、あくまでもプラスアルファのものであって、それがストーリーの続きやクエストの開放に関わることはまったくありません。"探したくなったら、探してもいい"というものだとお考えください。

――「水没林」のフィールドは『モンハン3G』以来の復活となります。大きく変えたところや、リメイクにあたって気を付けたことはありますか?

一瀬モンハンライズ』はマップがシームレスですので、まったく同じマップというわけにはいきません。シームレスになる前は、エリア間でロードが入る関係上、省略などしているところもありましたので。

そんな中で、過去のマップの印象をいかに残すかには気を使いました。たとえば、そのフィールドを象徴するシンボルのようなものはほぼそのまま残っていたりします。

また、翔蟲を使えば過去作では行けなかったようなところにも行けたりしますので、狩猟だけでなく、そうした探索も楽しんでもらえたらと思います。

――今作では、なかなかお目にかかれない珍しい環境生物もいるようですが、捕まえるとどのようなメリットがあるのでしょうか?

一瀬捕まえることができれば、とある恩恵を受けられます。詳細は後日あらためてお知らせしたいと思いますので、続報をお待ちいただければ!


そして、合同インタビューの最後に、辻本氏からPC版『モンスターハンターライズ』が2022年初頭のリリースを見込んで開発中であると発表されました。現時点では、それ以上の詳細は不明です。PCで『モンスターハンター:ワールド』をプレイされた方、ゲーミングPCを所有しておられる方は、続報にご期待ください。

モンスターハンター』シリーズ最新作『モンスターハンターライズ』は、ニンテンドースイッチで2021年3月26日に発売予定です。


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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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