今年も今日から5月17日まで、今年も「ナイスネイチャ・バースデードネーション」を行ないます。
— 引退馬協会 (@rhainfo) April 16, 2021
JAIRSの助成金対象になっている引退繁殖馬に加えて自身が支給対象でなくても、産駒が重賞を勝っている引退繁殖馬まで支援を拡げてご寄付を募ります。
よろしくお願いいたします。https://t.co/HDxgIBGWgZ
認定NPO法人「引退馬協会」の広報部長を務めているのは、元競走馬の「ナイスネイチャ」。今年で33歳を迎えるナイスネイチャですが、その誕生日を記念して行われる「バースデードネーション」が、今回も実施されました。
バースデードネーションとは、自分の誕生日にプレゼントやお祝いをもらう代わりに、支援したい団体や対象のために寄付を募ること。祝福の気持ちだけ受け取り、社会に還元する──こうした仕組みは海外で広まっており、国内でも呼びかけが増えつつあります。
これまで4回に渡って、ナイスネイチャの誕生日に合わせたバースデードネーションが開催されており、多くの支援を集めてきました。その目的は、引退した元競争馬を支援するため。分かりやすく表現するならば、引退後の馬たちが健やかな余生を送るために使われます。
残念な話ですが、余生を全うできる競走馬は決して多いとは言えません。多くのライバルがひしめく中で、十分な結果を出せる競走馬は一握り。好成績を収めれば繁殖馬になれますが、その枠に入れなかった場合、乗馬などの道に進めた馬を除けば、大半が行き場のない馬たちとなります。また繁殖馬になれたとしても、子供達の成績が良くなければ「用途変更」になるケースも。
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行き場のない馬たちがどうなるかと言えば、大半は殺処分です。「引退馬協会」公式サイトで寄付を呼びかけているページには、「競走馬にするために年間約7000頭の馬が生産され、それとほぼ同じ数の馬たちが殺処分されています」と記されており、引退馬たちの厳しい現状が垣間見えます。
引退馬の殺処分について、憤りを覚える方もいることでしょう。その感情はもちろん間違いではありません。一方で、毎年7000頭近い引退馬たちを受け入れるだけの物理的余裕となると、途方もないリソースが求められます。感情に任せた正論だけを口にしたところで、救われる馬が増えることもまたありません。
引退馬たちの余生について、人手・場所・費用のいずれも足りていないのが現実です。しかし、その状況に立ち向かう競馬関係者やファンも多く、引退馬を支援する活動が徐々に広がりを見せているのも事実。ナイスネイチャによるバースデードネーションも、そうした取り組みのひとつです。
今年の4月16日で、33歳の誕生日を迎えたナイスネイチャ。この日に合わせ、今回も新たなバースデードネーションが始まりました。今回は、引退繁殖馬支援に加え、助成金の対象にならない繁殖馬のうち、「産駒が重賞を勝ったことのある馬」も支援対象に含める形に。
今回、最初に設定された目標金額は200万円でした。受け入れ先への長期移動に備える施設への預託料(1ヶ月)、この支援の受け入れ先であるホーストラストまでの馬運代と入厩する際の保証金、里親(フォスターペアレント)が集まるまでの期間(半年)を想定した経費など、その全てを含めて100万円と見積もり、2頭分の支援を想定したものでした。
このバースデードネーションを始めたところ、同日だけで200万円を突破。この動きに対し、公式サイトなどで感謝を述べながら、300万円を新たなゴールとして再設定しましたが、支援の動きは更に急速な伸びを見せます。
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なんと、公式Twitterで支援を求めてからわずか24時間後には、1,320万円を突破。ちなみに昨年のバースデードネーション(32歳時)は、160万円を目標に約1ヶ月募集したところ、176万円ほど集まりました。昨年も十分な成果を見せていますが、今年はわずか1日で予想を遥かに超える寄付が寄せられています。
その後も支援の勢いは収まらず、記事執筆時点(4月17日 20時)では1,647万円に膨らみ、支援者も8,100人超え。1頭100万円の見積もりで考えると、既に16頭分を賄える額になります。しかも、募集はまだ始まったばかり。受付期間は1ヶ月ほど残っているので、最終的にどこまで金額を伸ばすのか大きな注目が集まるところでしょう。
一昨年(31歳時)のバースデードネーションは108万円だったため、この取り組みが年々関心を集めていることが分かります。ですが、それにしても伸び幅がかなり大きく、驚いた方も少なくないでしょう。
4月11日に行われた「第81回桜花賞」では、白毛馬の「ソダシ」がコースレコードを叩き出して勝利。しかも、無傷の5連勝、白毛のクラシックホースは史上初と、話題性満点のレースでした。こうした活躍もあり、競馬界全体への注目が高まっている追い風が、この寄付に好影響を与えたものと思われます。
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また、競走馬たちをモチーフとした「ウマ娘」たちが活躍するコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー」も、支援を力強く後押しした可能性があります。この冬から春にかけては、TVアニメ第2期が行われたほか、ゲームアプリもリリース。SNSでは連日のように、「ウマ娘 プリティーダービー」の話題を見かけるほどの人気ぶりです。
この「ウマ娘 プリティーダービー」には、バースデードネーションの看板を背負うナイスネイチャをモチーフとした同名のキャラクターも登場。そのため、アニメやゲームを通して競走馬の世界を知ったユーザーが、今回の支援の一端を担ったことでより大きな流れになったのかもしれません。支援の受付先「Syncable」の応援メッセージにも、「ウマ娘がきっかけ」といった声が届いています。
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支援の内訳や影響の割合などは、現時点では分かりません。ですが大事なのは、競馬関係者やファン達の努力によって、ナイスネイチャのバースデードネーションが今も続いていること。この支援に助けられ、余生を過ごせる引退馬がいること。どのようなきっかけであれ、この活動を応援する方が増えたこと。今回のバースデードネーションの躍進は、関係している誰もが喜ぶ結果を見せつつあると言えるでしょう。
「ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション」は、前述の通り約1ヶ月間にわたり、支援を受け付けています。寄付額は500円から行えますし、Amazon Payも利用できるため、クレジットカードが使えない方も気軽に参加可能。興味を持った方は、まず「Syncable」内の告知ページをチェックしてみてはいかがでしょうか。
■ナイスネイチャ・33歳のバースデードネーション(Syncable)
https://syncable.biz/campaign/1589/
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