
花芽すみれ、花芽なずな、小雀とと、一ノ瀬うるはが所属するVTuberゲーミングチーム「Lupinus Virtual Games」から始まり、現在はタレント12名を抱える規模まで成長を遂げたバーチャルe-Sportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」。
その所属メンバーは“ゲーム配信”をメインに活動をしており、全員が女性。過去5回に渡って実施された招待制の『Apex Legends』インフルエンサー大会「CRカップ」や、渋谷ハルさん主催のVTuber限定バトロワ大会「VTuber最協決定戦」といった数々のイベントで好成績を残しています。さらには姉妹サイト・Game*Sparkを含め、本サイトとも様々な配信施策を連携したことも。
そんな本プロジェクトは、2021年6月にYouTubeチャンネル登録者数が合計100万人を突破。それを記念し、過去に話題を集めたアニメーション「0.2秒の物語」や漫画展開のような、新しい試みを実施するというのです。これまでなかなか明かされなかった今後の展望などについてインタビューを行いました。
ゲームに留まらず、メンバーの努力を新たな価値として発信したい
──よろしくお願いします。最近ではDeToNatorさんと共催した「#ガレリアU25応援企画」などでご一緒しましたが、改めまして「ぶいすぽっ!」さんのご活躍は目まぐるしいですね。ストリーマーカルチャーの成熟によるものが大きいと思いますが、どう捉えていますか?
ぶいすぽ運営ありがとうございます。「インテル PC FES」では大変お世話になりました!確かに最近、多くの方からお話をいただくのですが、実は運営側は、そこまでは自覚していません。いち配信での同時視聴者数が50人くらいの頃に比べると、多くの方に応援いただけるようにはなりましたが、初期から変わらずに「ゲームの楽しさや本気でプレイする素晴らしさを伝え、見ている人が新しいチャレンジをするきっかけを作るプロジェクト」でありたいと思っています。たくさん見てもらえるのも非常にありがたく嬉しいのですが、新しい一歩を踏み出す方が1人でも2人でも多いプロジェクトの方が大事だなと思っています。
ストリーマーの文化に関しては、国を挙げてe-Sportsがプッシュされてきた韓国をはじめとする諸外国は、国内よりも大会の視聴者数が遥かに多く、成熟していますよね。そうした状況を考えれば、日本もまだまだ盛り上がっていくと考えてます。日本は外国と比べて、ゲームをプロゲーマーではなく“配信者(ストリーマー)が市場の中心を担う”という文化が形成されつつあると思います。マッチングの待機中など、視聴者とコミュニケーションする時間が確保されるバトロワ系タイトルが、その文化にフィットしていますよね。
──まさに「ぶいすぽっ!」さんは、そんなストリーマーが集まったプロジェクトですよね。こちらがスタートした背景はどのようなものだったのでしょうか?
ぶいすぽ運営『PUBG』のSCRIMから公式大会の運営、その他のゲームタイトルの運営も多く行っていたことから、ゲームの面白さをヘビーユーザーへは発信できていました。その上で、コンシューマハードやゲーミングPCを持っていないライト層にも「ゲームをやってみたいな」と、興味を持ってもらえるようなコンテンツを作りたいと考えたからですね。
──そこでストリーマーに注目したのですね。ではそのコンテンツに“女性VTuber”を紐づけたのは何故でしょうか?
ぶいすぽ運営“女性の活躍”については、リアルなスポーツでも求められるポイントですよね。それをe-Sportsに変換したとき、バーチャルコンテンツは高いシナジーが期待できそうだったんです。それと新しくプロジェクトを始めるにあたって「新たな価値観を発信できるプロジェクトでありたい」という考えを持っていました。
それと花芽すみれちゃん、なずなちゃんとの出会いは大きかったですね。まず、僕はゲームが初心者だったので、ゲームについて色々教えてくれましたし、プロジェクトについて「私が活躍することで、ゲーマーがゲームをしながら楽しく生活できたり、プレイしているゲームの素晴らしさを伝えていける。そんなプロジェクトになれば」と賛同してくれたのです。そこから徐々に具体的な方向性を定めていきました。

──その方向性について詳しく教えていただけますか?
ぶいすぽ運営若くして活躍するプレイヤーが多いストリーマーシーンですが、“入れ替わりの激しさ”がネックになっていますよね。配信者それぞれが生み出すストーリーは、ゲームタイトルに依存しがちで、「このゲームの配信は人気だけど、別のゲームだと視聴者が集まらない」なんてケースは少なくありません。
そして「FPS」「バトロワ」は流行の変化が激しく、特定のタイトルを舞台にし続けるのが少し難しいジャンルと言えますよね。より配信者本人に対してファンが付くようになれば、良いカルチャーになっていくんじゃないかなと。運営側としてもそのようなサポートをしていければと、常に考えています。
──なるほど。「ぶいすぽっ!」さんはアニメや漫画など、IPのメディアミックス展開にも積極的ですが、そのような意図があってこそなんですね。

ぶいすぽ運営前述の通り、“ゲームの楽しさと本気でプレイする素晴らしさを伝え、誰かが新しいチャレンジをするきっかけを作ること”がプロジェクトの目的です。どんなエンタメも「有名になってチヤホヤされる」で終わるだけのコンテンツではダメだと考えているので、常にそのプロジェクトの価値を意識した展開を心がけていますし、メンバーにも共有しています。
例えば最近、メンバーの活躍を見てくださった方より「頑張っている姿を見て、受験や就活を頑張ろうと思った」といったコメントをTwitterで拝見しました。そのようなゲームに留まらない形で、「やってみよう」や「またやろう」という一歩を踏み出すお手伝いができたら嬉しいですね。
続々と新メンバーが登場、さらなる拡大を遂げる活躍シーン
──“プロジェクトを入口に、新しい何かにチャレンジしてほしい”という明確なビジョンがあるんですね。“ゲームの楽しさを伝える”という意味では「FPS」「バトロワ」以外のジャンルも今後カバーしていくのでしょうか?
ぶいすぽ運営はい、拡げていく予定です。現在は常設オーディションを設けてメンバーを増やしています。例えばAKB48さんのように、色んな個性を持つメンバー誰かのファンがグループ全体のファンになることがあると思うんですよ。様々なジャンルのゲームと、そのファンに対してアプローチを重ねることで「ぶいすぽっ!」の存在感を高めていきたいですね。
──常設オーディションのお話があがりましたが、求めるタレントはどのようなものでしょうか?
ぶいすぽ運営考え方やカルチャーに合致する方ですね。ゲームの腕前は問いませんが、長時間に渡ってゲームを遊んでいたり、プレイスキルを磨いていたりする方が結果的に合うのは間違いありません。少し前ですが、なずなちゃんの『CS:GO(Counter-Strike: Global Offensive)』配信を、大勢の海外ユーザーが視聴してくださったことから、ゲームタイトルによっては「この価値観は日本以外にも伝えられるのではないか」という実感もありますので、将来的には国外向けのメンバーも増やしたいなと。
実は国内でさらに2名の追加メンバーが決まっていて、それを機に徐々に参加発表を増やしていく予定です。加入するのは、とあるタイトルで強い子でして……。あっ、『Apex Legends』では無いですよ(笑)。
──それは楽しみですね!しかし振り返ると、ミッションに共感できる人を集めた結果が、個性派タレントばかりの現在の形なんですね。



ぶいすぽ運営個性派……そうですね(笑)。初期からはLupinus Virtual Gamesの4人が在籍し、そこからIris Black Games(胡桃のあ/橘ひなの/如月れん)と、Cattleya Regina Games(兎咲ミミ/英リサ/空澄セナ)の2チームが増え、全体統合して「ぶいすぽっ!」となり、年始には神成きゅぴちゃん、4月には八雲べにちゃんが加入しました。最近加入のメンバーは活発な子ばかりで、ファンの方に“汚笑い”とよく言われるメンバーもいるのですが、別に意図したわけじゃないんですよね(笑)。
なお今回も変わらず、当初の考え方に沿った選考をしました。我々が目指す方向性について、しっかりと答えられる子が加入するので、楽しみにしていただければと思います。
──それと国外向けのアプローチも気になります。言語圏はどこを想定されているのでしょうか?
ぶいすぽ運営まずは中華圏と英語圏を考えています。VTuberは中国の動画配信サイト「bilibili」で、なおも人気の根強いカテゴリですし、昨今は英語圏からの絶大な支持を集めるバーチャルタレントも増えてきています。国境を越えて、日本のキャラクターIPが受け入れられやすくなっているという所感がありつつ、ゲームというコンテンツは言語を超えられるので、色んな言葉が喋れるわけではない現在のメンバーも、ゲームを通じて世界中のファンを繋げるブリッジになって欲しいですね。
「0.2秒の物語」が全12話のアニメに!?
──新しいメンバーも海外展開も非常に気になりますが、実は今回はアニメーション展開に関してビッグニュースがあると伺っています……!これはもしかして2020年2月に発表された「0.2秒の物語」の続報でしょうか?
ぶいすぽ運営はい!やりたいと思っています。全12話で!
──え!?
ぶいすぽ運営尺も地上波放送のアニメと同じくらいの、1話あたり約20分以上で全12話のストーリーを予定しています。時期については2023年~2024年の間を目処にしていただければと。
──1クールのアニメーションとは……!想定以上のビッグプロジェクトに驚いています。こちらは所属メンバーが全員登場するという認識で大丈夫でしょうか?
ぶいすぽ運営そうですね、その認識でいます。ただ、メンバーには無理をさせたくないので、そのタイミングになったら出演者を募ろうかなと思っています。彼女たち以外のオリジナルキャラクターも登場予定ですし、それには事務所所属の声優さんにCVをご担当いただく予定です。「ぶいすぽっ!」メンバーは、配信活動の中で今まさに色んなエピソードを積み重ねているので、その内容も少し組み込みながらストーリーを描いていくイメージです。
なお、制作にあたって掛かる費用は制作委員会方式を採り、基本的には弊社が権利のマジョリティを持つことで、プロモーションとして投資する形で考えてます。ぶいすぽっ!はまだまだこれからのプロジェクトなので、応援し続けてくださる方々に対して「こんなことができるようになったよ」と示したいですね。もはやメンバー限定での公開でも良いのかなと考えていたり……まだ座組みについては決まっていません。というのと委員会方式である以上、僕だけで決められる話でもなく、誰かに怒られると嫌なのでこの辺で(笑)。詳細については続報をお待ちいただければと。
──「こんなことができるように」の水準が非常に高いですね(笑)。ところで「0.2秒の物語」もそうですが、アニメーション展開にこだわられるのは、何か理由があるのでしょうか?
ぶいすぽ運営少々メタな話になってしまい恐縮ですが、VTuberの本質的な魅力は、アニメに登場するキャラクターのような神格的な存在が「僕と私と話してくれる」という体験にあると考えています。僕自身も初めてVTuberを見た時、こんな可愛いキャラクターが話してくれるっていうのにとてもワクワクしたのを覚えています。しかし現状では、そうした要素が少し薄まってしまっていますよね。アニメで感動させてくれたかと思えば、YouTubeではコメントに反応してくれる。そんなプロジェクトの魅力を高めることが運営側として役割であると思いますし、その文化にいるプロジェクトに課せられた使命なのかなとも思います。
それとシンプルに、やったことないことにチャレンジするのがワクワクします。
この数年でぶいすぽっ!のメンバーが大会や配信を頑張っているのを観ながら、 大会などで負けたとしても、それまでの練習での努力やチャレンジなど”過程”を見て応援してくださる方がたくさんいることを知りました。 何かにチャレンジして失敗することになれば、もしかしたら誹謗などを受けるかもしれませんが、 それ以上に応援してくれるファンがたくさんいることを知っているので、気持ちに余裕を持ちながら思いっきりやれるのも大きいですね。今回のアニメ以外にも、ファンと一緒にたくさんのことにチャレンジしていきたいです。
──ファンとの信頼関係に基づくチャレンジ、素晴らしいですね!個人的には、VTuberのステップアップとしては、2Dモデルが3Dモデルに……などが分かりやすい例なのですが、それを飛び越えられてしまうことに驚きです。
ぶいすぽ運営飛び越える……とも限りません!そちら方面でも動いていますのでご期待ください(笑)。
──本当に新展開がてんこ盛りなんですね!それでは期待いっぱいのファンに向けて、最後にメッセージをお願いします。
ぶいすぽ運営「ぶいすぽっ!」は“ゲームの楽しさや本気でプレイする素晴らしさを伝え、見ている人が新しいチャレンジをするきっかけを作ること“を目指しているプロジェクトです。
タレントそれぞれが自分自身で考えながら配信を行っているグループであり、運営としてはアニメーションなど様々な取り組みにチャレンジしていきます。中には失敗することもあるかも知れませんが、メンバーはその全てに一生懸命取り組んでくれて、プロジェクトの可能性を拡げようとしてくれています。そんな姿を応援してくださると嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします!
飛躍を続ける次世代バーチャルe-Sportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」。インタビュー内では、初期の同時視聴者数の話なども訊くことができましたが、2021年3月15日に実施された花芽すみれさんの新衣装お披露目配信は、万を超える人数が見守るまでになりました。
新メンバーに、海外展開、アニメーションに3Dモデルと、今後に控える新展開の数々に目が離せませんね。