「ポケモン捕まえるの楽しーっ!」って思いながら毎日野山を駆け巡っている今日この頃、みなさんも『ポケモンレジェンズ アルセウス』楽しんでいますか? このゲーム、あっちで木の実を拾い、こっちの茂みに隠れ、むこうに見たことのないポケモンがいれば任務も忘れて捕まえに行ってしまうという感じで、まるで小学生の虫取り状態で夢中になります。
どうしてそんなに夢中になれるのかといえば、もちろんポケモンを捕まえる楽しさがあるわけなんですが、それ以外にも、ゲームのテンポの良さがあるでしょう。テンポが良くて、プレイが快適だから、ますます夢中になって遊び続けられるのです。
そしてこのテンポの良さは、明らかに狙って作られたものだと思われます。細かいところでテンポを損なわないように気が使われていて、それがとてもエライ! 今回はそんなほんのちょっとした、でもとてもエライところをご紹介してみたいと思います。
■拾うモーションがない
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これは本当にちょっとしたことなんですが、でも実はすごく大きなポイントで、アルセウスでは落ちている草だったりとか、キノコだったりとか、アイテムを拾う場面が非常にたくさんありますが、その時モーションもなければ、テキストがでてもそれで動きを止めることもありません。
もし、ちゃんと腰をかがめて拾うモーションや、アイテム発見の演出があったとしたら、最初はよくても、長時間遊んでいるとかなりテンポが悪くなるはずです。シリーズ本編の純粋なRPGであるポケモンの方ではテキストと共に効果音が流れて動きが止まります。これはアイテムが拾えた嬉しさを強調する演出なんですね。
『アルセウス』ではアイテムをどんどん拾う遊びを楽しませるために、そういった嬉しさの演出よりもプレイのテンポを選択していると思われます。これはよく比較される『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』と同じで、『ゼルダBoW』もすごくテンポよく遊ぶことができました。
■ポケモンボールを投げても、自分は動ける
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木の実をとる時などは、ポケモンボールを投げてポケモンに取ってもらいます。その時はボールをなげて、ポケモンが出てきて、そして木の実をとるというような演出が入るわけですが、ボールを投げた後も、演出のために止まることはなく、プレイヤーキャラクターはそのまま動けます。
なので、最初のころは木の実を取るポケモンを眺めて「よしよし」と思ったりしてるんですが、そのうち慣れてくるとボールだけ投げて走り去るようになります。なんなら、ボールは複数投げられるので、あっちの木にボールを投げたら、すぐに方向を変えてこっちの鉱石に別のポケモンを投げて、自分はすぐまた走り去る、というようなプレイもできます。ポケモンが出てくる演出を入れつつも、テンポを失わないように配慮されているんですね。
■画面を切り替えずにポケモンを選べる
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本編の方にもぜひ導入してほしいこの機能。『アルセウス』では、ポケモンと戦う時にポケモンボールを投げて戦闘を開始しますが、その際にどのポケモンが入ったポケモンボールを投げるかは、メニュー画面に切り替えずにLRボタンを押して切り替えることができます。
これが本当に快適で、次々と敵の弱点をつけるポケモンや、攻撃に耐性のあるポケモン、あるいは“みねうち”で捕獲しやすいポケモンなどを状況に応じて次々切り替えて投げることで、テンポよく戦えるうえに、トレーナー気分も高まります。
■戦闘後のリザルト画面がない
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戦闘に入るのもテンポが良ければ、戦闘が終わるのもテンポいいのが『アルセウス』。戦闘後のリザルト画面というものがありません。経験値などは画面左に表示されていて、戦闘後すぐ動くことができます。いえ、もっと言えば、戦闘中もトレーナーは動けるので、1発で倒せるとわかっていれば、ポケモンに指示を出して自分は走り出す、みたいなプレイすら可能です。
戦闘後のリザルト画面がないため、進化も戦闘後に自動では起こらず、進化できるようになったら自分の好きなタイミングで進化させられるようになりました。ここら辺は本当に、今までのポケモンの常識に捕らわれずに、テンポの良さを意識して作りこんでいることが分かります。
■笛の音はなるけど吹きはしないライドポケモン呼び出し
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『アルセウス』はテンポよくゲームをプレイしてもらうために、細かい工夫がされていますが、その中でも特に素晴らしいと思ったのは、ライドポケモンです。ライドポケモンに乗るためにはプレイヤーキャラクターは笛を吹きますが、笛の音は鳴るのにモーションがありません。ライドポケモンがやってくるようなこともなく。ボタンを押した瞬間笛の音が鳴ったと思ったらもう乗っています。
これ、気にしなければ何とも思わないかもしれませんが、作る側からすれば、笛を吹いてポケモンを呼ぶなら、笛のモーションを入れますし、ポケモンが画面外からやってきたり、それに乗るモーションを作ったりするのは自然なことです。それ、全部ありません、全部。これをみんな無くしてボタンを押した瞬間乗っているのはめちゃくちゃエライと思います。
不自然じゃないか、とか、手抜きに思われないか、とか、作る側にはいろんな考え方があると思いますが、完成されたゲームを遊んでみると、快適そのもの。しかも、ライドポケモンの切り替えは十字キーの横でこれも演出なしで一瞬、なんなら地上から水に入った瞬間に別のライドポケモンに自動で切り替えてくれます。ライドポケモンに乗ったまま水に飛び込む気持ちよさよ。
■次世代ポケモンにも繋がっていくかも?
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もし、ゲーム全体が演出に乏しい簡素な作りだとしたら、単にいろいろ省いただけかもしれません。でも、例えば進化の演出や、バトル時のポケモンの技はすごくかっこいいんですよね。ですから、魅せる演出もありつつ、ゲームのテンポを崩すような場面ではそれらを徹底的に排除しているんだとわかります。
1つ1つは本当にちょっとしたことだと思いますが、もしこれが全部逆で、アイテムを拾うたびに足を止め、ポケモンボールからポケモンが出る演出を毎回見なくてはならず、戦闘に入る前にメニューに切り替えて先頭にいるポケモンを変えて、戦闘後はリザルト画面があって、ライドポケモンに乗るときは笛を吹くモーションの後にポケモンがやってきてそれに乗るモーションもあるとしたら……今遊んでいる『アルセウス』のような快適でテンポのよいプレイ体験は実現できていないと思います。
もちろんこれは、オープンワールドを走り回ってアイテムをたくさん拾ったりポケモンを捕まえまくる『アルセウス』というゲーム性をふまえてこうなっているとは思いますが、前述したとおり、メニューを切り替えずに出すポケモンを選べる点などは、従来型のポケモンでもぜひ欲しい機能です。
次世代ポケモンに向けていろいろ試しているようにも感じられる『アルセウス』。今後これがきっかけで、ポケモンがさらなる進化を遂げる、ということもあるかもしれませんね。