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『モンスターハンター』シリーズの醍醐味といえば、やはり複数人での狩り。オンラインでフレンドと集まり、ボイスチャットを繋げながら、休みの日にはうっかり朝までプレイしてしまう…なんてこともあるでしょう。
ところで皆さんは、ボイスチャットツールが発達していなかった時代のオンラインプレイをご存知でしょうか?今とは違い、コミュニケーション一つ取るにもちょっとした工夫が必要だったのです。
テキストチャットと格闘する毎日
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今ではゲーム内のボイスチャット機能やLINE、Discordなどの外部ツールで連携を取るのが定石。しかし、シリーズ1作目の『モンスターハンター』や『モンスターハンター2』が発売された頃は、もっぱらプレイステーション2に繋いだキーボードによるテキストチャットが主流でした。
また当時は、テキストチャットを打つ際に一旦コントローラーから手を離す必要が。ただ、クエスト中のコミュニケーションといえば「回復薬が欲しい」「シビレ罠を仕掛ける」などと、多くの場合大型モンスターとの戦闘中に迫られるもの。
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そのため、キーボードを打ち込んでいる最中にうっかりモンスターから攻撃を受けて破茶滅茶な状態になってしまうこともしばしば。そこで、当時のハンターたちはチャット一つ打つためにも一工夫を凝らす必要がありました。
チャットの工夫こそが勝利への近道!?
たとえば、『モンハン』シリーズにおける伝統的な罠「落とし穴」のことをアルファベットの「O」と省略。他にもモンスターの目眩ましに役立つ「閃光玉」は「S」といった具合に、一文字に置き換えることでチャットの簡略化を狙ったのです。
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こうした工夫は不便さゆえのものであることに違いありませんが、一方でその不自由さこそが一つの醍醐味だったとも言えるでしょう。また、副産物としてパーティの連携力が極まり、最終的にはチャット無しでも意思疎通を図れるようになるハンターたちもいたのだとか…。
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それから時代は移ろい、プレイステーション・ポータブルで発売された『モンスターハンター ポータブル』シリーズからはリアルで集まって狩りを行うようになりました。また『モンスターハンターポータブル 2nd G』以降は、オンラインサービス「アドホック・パーティー」が登場。これにより、昼はオフで集まり、夜は自宅からオンラインへ集結するといったようなハンターライフが実現しました。
さらに、この頃には無料の音声通話サービス・Skypeが台頭。それから現在に至るまで、ボイスチャットによるコミュニケーションがメインに。ちなみに、テキストチャットも定型文が追加されたことで、文字の置き換えといった工夫は必要なくなっていきました。
シリーズを辿っていくと、その時代のゲーマー史そのものを紐解くことができる『モンハン』。きっとこの先も様々な歴史を紡いでいってくれることでしょう。