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「マリアの家もヴァンパイアハンターなんだよ。だからともだちね!」
『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻(ロンド)』に登場するマリア・ラーネッドは、ピンクのドレスがキュートな12歳の女の子です。ゲームスタート時点では囚われの身となっていますがステージ2で条件を満たせば救出でき、主人公のリヒター・ベルモンドに続く2人目のプレイアブルキャラクターとなります。
救出されたマリアはリヒターに向かい、自身の出自であるラーネッド家もベルモンド家と同様にヴァンパイアハンターの家系であり、「わるいおじちゃん(=ドラキュラ伯爵)」を倒しにきたが捕まっちゃった…と話します。ノリが軽い!
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それを聞いたリヒターは「君にはまだ無理だ。それはお兄ちゃんに任せておけ」と優しく諭しますが、負けず嫌いな彼女は「マリア、平気だもん!」とおかんむり。それを見たリヒターは、晴れやかに笑うのでした。ゴシックホラーである本作において、ほんのひと時の心安らぐシーンです。
ベルモンド家の沽券に関わるレベルで強い!
そんなマリアを演じるのは鉄炮塚葉子さん。本作の半年後に発売された『ときめきメモリアル』の朝日奈夕子役でも知られる鉄炮塚さんによるあま~いアニメ声での演技や、上記の言動も相まって、マリアはどこからどう見ても「世間を知らないお嬢ちゃん」キャラです。
しかし、実際に操作してみると、彼女の言葉には何らウソがなかったことが明らかになります。跳べば空中制御が効く2段ジャンプ、動けばスライディングや飛び込み前転などの高速移動手段を持ち、白いハトを飛ばす攻撃は移動しながら行えるほか、無条件で2連射可能。極めつけは、格闘ゲームのようにコマンドを入力すると前方に「ガーディアン」が現れ、拳による連撃で大ダメージを与えるなど、やりたい放題の強さです。
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唯一、耐久力だけはリヒターに軍配が上がりますが、それ以外の差があまりに大きく、ジャンプ、移動、攻撃と何から何までリヒターを上回るので「あなたを捕らえた敵とは、一体どのような大物だったのですか」と敬語で聞きたくなるレベルでした。
少女マンガから飛び出してきたかのような愛らしさに相反するかのような強さがあまりに印象的なので、本作を知るプレイヤーはマリアのセリフをもじって「マリア、兵器だもん!」と称えました。
プラットフォームのウリに合わせたアニメタッチ
マリアに限らず本作はキャラクターデザインがアニメタッチなので、『ドラキュラ』シリーズファンの中には、もしかしたらそれを鼻白く感じてしまった方もいるかもしれません。
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しかし、PCエンジン SUPER CD-ROM2が発売された1991年は初代PlayStation発売よりまだ3年も前のことで、当時はポリゴンを用いた3Dのゲームはほとんどありませんでした。1992年に『バーチャレーシング』、翌93年の『スターフォックス』や『バーチャファイター』などのリリースで、ようやくポリゴンの本格的な時代が幕を開けていきます。
それらに先駆けていたSUPER CD-ROM2の大きなウリは畢竟、CD-ROMならではの大容量を生かしたアニメムービーや、CD-DA(Compact Disc Digital Audio)音源を生かした豪華なサウンド、声優陣によるボイスとなり、初期はそれらを前面に押し出したゲームや、「サウンドやボイスがついたマンガ」に近いジャンルである「デジタルコミック(デジコミ)」などが多くリリースされました。
本作のキャラクターデザインも、SUPER CD-ROM2のそんな特徴にきっちり合わせてのものであったのでしょう。
本作『血の輪廻』だけで大きな驚きを提供したマリアですが、1997年に発売された続編『悪魔場ドラキュラX 月下の夜想曲』では、リヒターともども再登場。イラストレーターの小島文美さんの手によるマリアたちは、作中の5年という歳月以上のものを感じさせる耽美なタッチで描かれており「空白の5年間に何があったの!?」と再びプレイヤーたちを驚かせるのでした。
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