2022年6月23日(Steam版は6月25日)にリリースされる新作アドベンチャーゲーム『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』。不可解な殺人事件を中心に、夢の世界と現実世界を行き来しながら事件を解決に導いていく本作のシナリオは、『Ever17』や『ZERO ESCAPE』シリーズで知られる打越鋼太郎氏が担当しています。
“不可解な殺人事件”が起こる……と聞くと、「重苦しいストーリーはちょっと……」「グロいのは苦手!」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、本作はシリアスに全振りしたゲームではなく、カジュアルに遊びたい方やどっぷり世界観にのめり込みたい方まで、幅広いゲーマーにおすすめできるタイトルです。本稿では、そんな本作の“10の魅力”をご紹介します。
序盤から怒涛の展開!テンポ抜群のシナリオ
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殺人事件を巡る物語でありながら、本作は導入部から早速コメディータッチのシナリオが展開します。警視庁・特殊捜査班のルーキーである“龍木(りゅうき)”と高校生捜査官“みずき”の二人を軸に、ゲーム序盤からテンポ良く物語が進行していきます。
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ここまで挿入した2枚のスクリーンショットは「クイズ番組の収録に参加するシーン」「夜の競技場で操作するシーン」であり、主人公もロケーションも語られるストーリーのトーンも、すべてまったく異なるもの。しかしながら実際にはプレイ序盤10分程度の展開であり、プレイヤーを困惑させるようなテンポ感を見せてくれます。突拍子もない出来事が次々と発生する怒涛の展開……ともすれば「プレイヤーが置いてけぼりになる」とも感じられますが、これこそ『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の大きな魅力のひとつです。
メインとなる事件は、「ある日突然現れた“左右真っ二つの死体”の片割れが、6年後に真新しい状態で見つかる」という、普通に考えればありえない事態です。手がかりとして動画共有サイトにアップロードされたVHS風の奇妙な映像(実際にYouTubeでも観ることができる)も現れ、とにかく謎が謎を呼び、物語の奥行きを深めていきます。
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アドベンチャーゲームには事件が起きて物語が盛り上がるまで時間がかかる作品がありますが、本作は最初からあえて困惑させるような展開で、続きが気になるようプレイヤーを惹きつけます。「これはいったいなんなんだろう」と考えてテキストを読み進めていると、数分後に新たな謎とぶつかることも多々あります。
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また、脈絡がなくナンセンスで、なんならその後の物語にまったく関係がなさそうなイベントも豊富。そういった「?」に首を傾げながら、まずは頭を使わずテンポの良いシナリオの流れに身を任せていくのも、『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の楽しみ方のひとつといえるでしょう。
ADVとしてはリッチなグラフィック表現!3Dで広がる空間やキャラクター
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本作ではキャラクター同士の会話劇を主体としてストーリーが語られていきますが、前作同様にグラフィックスには3Dのモデル/マップを採用。「テキスト主体のアドベンチャー」とは一線を画したドラマのようなカメラワークで物語を体験できます。
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また、いわゆる「立ち絵」に当たるイラストも3Dで作られているため、口パクや瞬きなど、細かな表現が印象的。豪華声優陣によるフルボイスの掛け合いを豊かなビジュアルで楽しめるため、ストーリーへの没入感やキャラへの思い入れが段違い。まるで上質なごちそうを食べている気分にさせてくれます。
ライトゲーマーからやりこみ派まで、全力サポートする便利機能
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キャラクターや謎めいたシナリオなど魅力の多い本作が気になっている方の中には、今までアドベンチャーゲームをあまりプレイしたことがない!という方もいるでしょう。ただテキストを読んでボタンを押すだけでなく、本作にはQTE(クイックタイムイベント)や時間制限付きのパートも登場するので、ハードルの高さを感じるかもしれませんが……そんな方でもご安心ください。本作には、初心者を全力サポートする便利機能が数多く存在します。
本作からの新機能として、時間制限のある局面やQTEが発生するシーンにおける「難易度設定」が可能になりました。QTEを含む「捜査パート」、時間制限のある「ソムニウムパート」のそれぞれ難易度設定ができるため、「捜査パートは通常難易度で大丈夫だけど、ソムニウムパートはあまりやり直ししたくないな……」というケースにも対応可能。後から変更可能な柔軟さも嬉しいポイントです。
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また、画面上部でスクロールしているTipsも、本作の初心者お助け機能のひとつ。固有名詞や前作に登場した用語が出てきても、常に画面上部で紹介されているため、プレイを中断せずにチェックできます。
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また、各キャラクターをプロフィール形式で紹介する「登場人物リスト」や、ゲームの流れをおさらいできる「手引書」などドキュメント要素も豊富に用意されており、困ったときはメニューからいつでもアクセスできます。「こいつは特に物語に深く関わらないのでは……?」と思える人物にも、妙に凝った設定やプロフィールが用意されていて、世界観への没入度を高めてくれます。
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本作にはルート分岐が用意されており、各シーンの選択や行動によってシナリオの展開が変わります。そのため、本作を気に入った方には「全部のルートを見たい!」と思う人もいるでしょう。
本作に搭載されたフローチャート機能は、どんなシーンでも戻りたいシーンを細かく指定して遡れます。フローチャートが用意されていても特定のシーンからしか遡れない作品も多く存在しますが、本作のフローチャートは快適に使えます。また、各シーンのあらすじも確認できるため、「このシーン、なんでこうなったんだっけ……?」とド忘れしてしまったときでも快適に2周目を始められます。
前作未プレイでも問題なし!シリーズ初挑戦の方にも嬉しい配慮
本作は『AI: ソムニウム ファイル』の続編ということで、「捜査パート」「ソムニウムパート」を繰り返す基本的なゲームプレイはもちろんのこと、前作をプレイした方ならハッとするキャラクターや固有名詞などが登場します。
本作のプレイ前に各プラットフォーム向けに発売中の『AI: ソムニウム ファイル』を予習としてプレイするのも当然おすすめですが、新作を遊びたい気持ちを抑えながらクリアに数十時間かかるADVを遊ぶのって結構大変ですよね。しかし本作は、前作未プレイの方が本作から入っても問題ない、嬉しい配慮が施されています。
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本作はゲーム開始直後に「前作をプレイ済みかどうか」という旨を尋ねられます。ここで正直に「未プレイ」と答えれば、前作の物語の核心には触れずに本編が進行。本作で起こる事件は前作の核となる事件との直接的な繋がりはないとされているため、問題なくプレイできます。
そのため、まず本作をプレイして、気に入ったら過去の話を体験するために前作をプレイする……という流れでも十分に『AI:ソムニウム ファイル』シリーズを楽しめるのです。
クスッとしちゃう、ギャグたっぷりな会話劇
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本作の大きな魅力は、隙あらばギャグやパロディが挟まれる軽快な会話劇です。キャラクターが突然脈絡のないギャグを言うだけでなく、会話の選択肢の中にも必ずと言っていいほどおかしなモノが存在します。もちろん、選ぶと訳のわからない会話が繰り広げられます。
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殺人現場のようなシリアスな場面であったとしてもギャグが挟まり、プレイヤーの気持ちを緩めます。前作プレイ済みの方にとってクスリとくる会話はもちろん、新規プレイヤーもけっして飽きさせないギャグも豊富。豪華声優陣による軽妙なギャグが盛りだくさんなので、「シリアスすぎるのは苦手」という方でもプレイしやすいはずです。
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重厚な物語と沢山の不可解な謎、その間に「これでもか!」とねじ込まれるオフビートなセリフの激流にも、ぜひ身を任せてみてください。ギャグ要素とミステリー要素が織り成す不思議なマリアージュ……これもまた『AI:ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』の醍醐味です。
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そして、会話劇の魅力を語ったのならば、時々ブチ込まれる下ネタについても語ることは避けられません!本作のシナリオはギャグやパロディの上に、下ネタまで入ったおふざけモリモリ状態なのです。
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「あいつはエロ本に目がない」というライトな下ネタから、「昔はラブホテルに回転するベッドがあったのよ」「四十八手を教えてあげるわぁ~」というようなちょっとハードめな下ネタまで、こちらも激流のように押し寄せてきます。
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ここは好みの分かれる部分かもしれませんが、『AI』シリーズの特徴的な部分でもあります。かなりくだらないギャグ・下ネタもあるので、肩の力を抜いて挑みましょう。
相棒の力で調査!ありえない怪事件に挑む捜査パート
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本作のゲームプレイにおけるベース部分と言えるのが「捜査パート」です。オーソドックスなポイント&クリック式で、気になるところや人物にインタラクションし、ストーリーを読み進めていきます。
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相棒(AI-Ball)である「アイボゥ」「タマ」を使って捜査を進める、本作ならではのシステムも要注目。壁の裏に隠れている人をサーモグラフィーやX-Rayセンサーで見つけたり、遠くにあるものをズーム機能で確認したりと、便利な機能が揃っています。X-Rayセンサーを使用時にはしっかり各人物の骨格が透けて見えたりと表現にも抜かりなく、捜査パートを彩ってくれます。ほかにも、相手の思考を読み取る機能“Wink Psync(ウィンクシンク)”や、事件の状況をドラマのように再現する“真相再現パート”など、新たなAI-Ballの機能も登場します。
実際に歩いて調査!不条理な現象が起こるソムニウムパート
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本作の特徴である、ソムニウムパートについてご紹介しましょう。ソムニウムパートでは三人称視点でキャラクターを操作し、様々なオブジェクトにインタラクトしながら手がかりを見つけていきます。
ソムニウムパートは「対象の夢(意識)の中に潜り込む」ということもあり、同じ人物が複数人いたり突然物が巨大化したりと不条理な現象が次々に発生。その異常事態の端々に隠されたヒントを見つけながら攻略していきます。
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ソムニウムパートは前作にも存在した要素ですが、本作では様々な機能が追加され、大きく進化しました。ソムニウム世界におけるルールがわかる「鍵則(きそく)」が攻略のヒントになっていたり、次の目的地を設定できるマップナビが追加され、遊びやすくなっています。
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そして、「変なこと」を指示できるのもソムニウムパートの目玉要素です。ソムニウム世界にいる人物の頭を撫でまくったり、取調室の鏡に対して「世界で一番美しいのはだぁれ?」と尋ねたりと、シナリオの不条理さに負けないくらいおかしな行動を選択できます。ソムニウム世界では各行動をすることで時間を消費するため制限時間を守る必要がありますが、難易度を下げておけば変な行動を堪能できそうです。
あなたの推しはどれ?かわいいキャラが豊富でスクショも捗る
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鋭い読者はもうお気づきかもしれません。何を隠そう本作は……キャラがかなりかわいいんです。キャラクターデザインを担当するのは、『ファイアーエムブレム 覚醒』や『ノーモア★ヒーローズ』で知られるコザキユースケ氏。氏の美しくほのかに上品なセクシーさが漂うキャラクター達の人間関係や物語を存分に楽しめます。
筆者のお気に入りは、主人公のひとりである“みずき”と、その相棒の“アイボゥ”。みずきは前作および本作の6年前パートでは12歳。現実世界でも見られるような、「妙にませててちょっと生意気な小学生」としての再現度がかなり高く、正直かなり推せます。現代パートでは18歳になり、しっかりと成長しつつも変わらない生意気な姿を見せてくれます。
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アイボゥは白髪でクールなビジュアルにもかかわらず、突然アホな行動をするギャップがかわいいです。人間の姿でないときはクマのような姿をしており、こちらもキュートですね。
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他にも、龍木の相棒であるドS女王様風のタマ、VTuber化も果たしたネットアイドル“あせとんちゃん”こと左岸イリスとその熱烈ファンの童顔なオタク・真津下応太など、かわいくて強烈なキャラがとにかく豊富。不条理なシナリオ展開やコメディタッチの会話劇だけでなく、「キャラのビジュアル」も本作をおすすめできる強い魅力のうちのひとつです。
人生相談?「たまご◯ち」?笑える息抜き要素(?)
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読者の皆さんの中には、ゲームをプレイしている最中に人生に不安を覚えた経験のある人もいるのではないでしょうか。そんな場合でも大丈夫!本作には、主人公の相棒たち“アイボゥ”と“タマ”による人生相談機能が搭載されています。時々飛んでくる通知を開き、タマから出される質問に答えていくと、人生を導いてくれる……かもしれません。シナリオ本筋とは無縁ですが、着せ替え要素まで備えられています。
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着せ替え要素つき人生相談以外にも、本作には「これ本編と関係ないんじゃね?」というような要素がなぜか搭載されています。他にも、「たま◯っち」を思い起こす「めだまっぺ」という育成ミニゲームも登場。こちらは20分間隔で出される質問に答えていくことでめだまっぺのステータスが変化し成長していきます。
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これらの機能は筆者がプレイした範囲では、シナリオ本編に全く関わってきませんでした。ちょっとおバカなおまけ要素で息抜きしてね、という開発陣からのメッセージなのかもしれません。もちろん通知をオフにすることもできるので、お話に集中したい!という場合にはオフにしておきましょう。
タマ&アイボゥを着せ替え!5種のDLCも用意
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一癖も二癖もあるキャラの中から、特にタマ&アイボゥがお気に召した方へ朗報です。本作には2人のコスチュームを変更する着せ替えDLCが用意されています!期間限定購入特典として、ちょいダサなTシャツ3種とホットドッグのきぐるみが付属するほか、有料のコスチュームDLCもリリース。こちらは各330円で、880円のセットバンドルも販売中です。
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さらに本作のSteam版にはデラックスエディションがあり、3種の有料DLCとデジタルフルサウンドトラックを付属。フルサントラは、ゲーム中の全BGMに加えボーカル曲は日本語・英語の2バージョンを収録した全68曲で、そのボリュームはなんと約4時間分!ジャケットはコザキユースケ氏による描き下ろしで、タマがギターを弾いている様子のイラストがとってもクールです。
シリアスで不条理な「殺人事件」を中心としたシナリオが語られる『AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ』。猛スピードで畳み掛ける怒涛の展開はもちろんのこと、同じく勢いよく交わされていく小気味良い会話や、それらを彩るキャラクターデザイン&ボイスアクト、要るのか要らないのかも分からない小ネタの数々は、まさしく本作を形作る重要な要素です。
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本作の家庭用機版は2022年6月23日、PC(Steam)版は2022年6月25日に発売予定。期間限定特典DLCとなる“アイボゥ”と“タマ”の着せ替え衣装「Tシャツ3点セット」「ホットドッグの着ぐるみ」は、7月13日23時59分まで提供されます。
詳細はこちら!
■製品概要
対応機種: ニンテンドースイッチ/PS4/Xbox One/Windows 10/Steam
希望小売価格: 6,800円+税
CERO: C(15歳以上対象)
言語サポート: テキストは日本語/繁体字/簡体字、音声は日本語(※Xboxハード、Windows 10、Steam版は英語音声/テキストも収録)