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現在大きく注目を集めるVTuber・バーチャルタレントシーンにおいて、強烈な存在感でシーンを牽引している事務所・ホロライブ。日本・海外合わせて54名のメンバーが活動しており、生配信での活気ある活動を中心に、音楽活動・ライブ出演・テレビ出演・企業PRなどにも積極的で、その強いタレント力でシーンに新しい道を作り続けてきました。
そんな「生配信での活気ある活動」のお供になるのが、多種多彩なゲーム作品。プロと見まがうほどに上手な方もいれば、「どうしてそんなプレイを?」と思えるほどに苦手な方もいたりと、所属タレントによってさまざまです。
なにより彼女らの配信を通じてゲーム作品に触れる人も大多数いるので、「ゲームを楽しむ入口」として確かに機能しています。そこでインサイドのバーチャルタレント連載では、今後はホロライブ所属タレントにもフィーチャーし、多彩な魅力について記していきます。
初めに紹介したいのは、大空スバルさんと『テイルズ オブ ジ アビス』です。
◆ホロライブ加入当初は声優や二次元のコンテンツへの理解は乏しかった
ホロライブの二期生として加入したスバルさんは、2018年8月23日Twitterにて初ツイート、同年9月16日にはYouTubeで初配信、今月にはちょうど4年目から5年目へと自身のキャリアを進めるところです。
ネットカルチャーのド真ん中ともいえるVTuber・バーチャルタレントのなかにあって、デビュー時のスバルさんは日本のオタクカルチャーへの感度の低さや知識の疎さがあり、なんと「ドラゴンボール」ですらあまり上手く理解していないような節もあるほどでした。
ホロライブへの面接やデビューを通して、社長である谷郷元昭さんは「声優や二次元のコンテンツへの理解は乏しかった」と感じていたとも口にしています。
ですがそれは逆に、ホロライブ随一の明るい性格とツッコミ役にも回れる常識人な彼女が、これまでほとんど触れてこなかったアニメ・マンガ・ゲーム作品に触れてどのようなリアクションや感動を表現するのか?ということにも通じてきます。
そのピュアな反応やツッコミの数々をみれば、初めてそのゲームに触れる人は様々な仕掛けに驚きながら見ることができ、すでにプレイしている人にとっては新鮮に感じられることも多いでしょう。
ホロライブの同僚やファン・リスナーの影響を受けて「オタク」化していくスバルさん。2021年4月1日の配信では2期生で同期である湊あくあさんから「スバル…変わったね?」と言われ、そのほかのメンバーからも同じようなことを言われたと告白しました。
そんな彼女は、『ファイナルファンタジーVII(2020年4月に発表されたリメイク版)』『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』『MOTHER2 ギーグの逆襲』『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』などなど、この1年ほどの間で名作ゲーム・RPGに積極的に触れてきました。
「ドラクエシリーズは1から連続してやったほうがいい!」などといった声が上がりそうですが、面白そうだと思ったゲームをパツっとやる思い切りの良さも、どこか「最近ゲームを好きになったひと」らしさがうかがい知れます。
◆テイルズ オブ ジ アビスのシリアスで重いストーリー展開に心が大きく揺るがされていく
そんな彼女が最近になってプレイしたのは、『テイルズ オブ ジ アビス』です。『ファイナルファンタジーVII』を終えてリスナーと会話している際に、次回プレイするゲーム作品が『テイルズ オブ ジ アビス』だと発表すると、期待の声が次々と上がる一方、「アビスは覚悟した方が良い」「内容がヤバイ」「テイルズの戦闘システムは慣れたほうがいい」などのコメントも続々と流れていきます。
「いうてさ!そんなにヤバくないでしょ?ビビらせないでよー!」とゲーム開始前には揚々と答えていたスバルさん。
ゲームを始めて中盤へと進み、クセのある登場人物たちによる仲違いが目立っていくと、「いやそりゃナイだろー!」とツッコんでいた彼女も、「いやぁ…そうだけど…」「えええ…?それはパーティみんなのせいじゃん?いじめじゃん…?」とキャラクターの心境にドンドンと入り込み、シリーズ中でも屈指とも呼ばれるシリアスで重いストーリー展開に心が大きく揺るがされていくことになります。
最終盤におけるルークvsアッシュのバトルシーンとBGMによる演出やセリフ運び、ルークの世話役として共にしてきたガイ・セシルの半生、アニス・タトリンの裏表激しい性格と言動の数々など、「アタシでも擁護できないかもしれない」「こんなのってないよ……」と常識人かつツッコミ役な彼女でも受け止めきれなくなり、泣いて、怒って、笑ってと、心から楽しんでいく姿を見せてくれます。
・公式スタッフや声優陣がTwitterで反応!配信コメントには公式チャンネルも
人気者である彼女のプレイングは、公式スタッフや声優陣にも伝わっていきます。同作品のメインシナリオを執筆したシナリオライター実弥島巧さんやティア・グランツ役として出演したゆかなさんにも噂が届き、実弥島さんとスバルさんはTwitter上で交流しています。
他の配信では、配信の締めにストーリーを噛みしめたうえで自身の解釈や気持ちを語っていると、「公式チャンネルのアカウントがコメントしていたよ!」とコメント欄から知らされ、「なんでみんな教えてくれなかったの!いつもは変な指示ばっかりするくせに!」と冗談交じりにリスナーに声を荒げつつ、大いに動揺してしまいます。
公式チャンネルがコメントしたタイミングは、ストーリーの様相やキャラクターの立場が大きく変わってしまう流れだったこともあり、スバルさんはセリフの一つ一つを食い入るように読んでいたタイミングでもあります。
リスナーらは「公式チャンネルだ!!」と登場に大賑わいななか、スバルさんはコメント欄の賑わいを横目に、『テイルズ オブ ジ アビス』に夢中になっていたわけです。
声を荒げることはあれどもプレイングは決して荒くなることはない彼女ですが、毎配信終われば心がズタズタになって荒れ模様。プレイ中・プレイ終わりに関わらず、ストーリーやキャラクターに関してアレやコレやと口にすると、既にプレイ済みのリスナーからは「新しい解釈が知れた」「勘が鋭い」と褒められることも多々あります。
◆元非ゲーマーならでの変化と反応に今後も注目
8月6日にはこれまた名作ゲームである『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』をプレイし、翌日の8月7日の猫又おかゆさんとのコラボ配信中にこんな風に話しています。
「こんなにゲームにハマるとは思っていなかった」
「裏でもゲームやってるくらいなんだよね。『Dead by Daylight』をやってるのをおかゆとトワ(ホロライブの同僚である常闇トワさん)が見ててくれた」
「むかしホロライブの運営さんに『スバルはゲームしません!』って言ったのに、いまは死ぬほどゲームしてるんだよね」
今後も、ゲームを通じてカルチャーへの造詣を深め、登場人物が抱える人情の機微に触れて気持ちを交わしていくなかで、持ち前の「察する」力を存分に活かしたゲーム配信を届けていくでしょう。
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