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『スマブラ』でもおなじみリトル・マックのデビュー作!
1987年11月21日にファミコンで発売された『マイクタイソン・パンチアウト!!』は、任天堂が1984年にリリースしたアーケードゲーム『パンチアウト!!』をベースに、当時史上最年少の世界ヘビー級王者に輝いたばかりだった元プロボクサーのマイク・タイソン氏とタイアップしたソフトです。
ケンカっぱやい青年リトル・マックが元ヘビー級ボクサーのドック・ルイスに才能を見出され、ボクサーとして栄光の道を駆けあがっていく姿を描くアクションゲームとなっています。リトル・マックは『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にプレイアブルキャラとして登場しているので、名前やルックスは知っている方も多いでしょう。
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本作で戦うことになるボクサーはみんな身長がリトル・マックの1.5~2倍はあろうかというサイズで描かれており、「なるほど、だから「リトル(小柄)」なのか」と思いがちですが、なんと2009年にリメイクされたWii版では、リトル・マックの身長は172cmだと設定されました。対戦相手が極端に大きいだけ!? そして階級はどうなってるのー!?
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ボス戦(試合)をひたすら続けるストイックなゲーム
本作はストーリーが紡がれる会話シーンやリトル・マックの育成パートなどは一切なく、ひたすらにボクシングの試合を繰り返すストイックな作り。言うなれば「ボスラッシュのみで構成されたゲーム」です。
十字キー+3ボタン(ファミコン版ではアッパーカットの発動にセレクトボタンを使用)と操作はシンプルですが、敵選手1人1人に得意な攻撃手段や弱点が用意されているので、プレイヤーにいつが攻め時でいつが守り時なのかを意識させる巧みな調整が光ります。
「身を低くして一気に間合いを詰めてくる相手に対し、カウンター気味にボディブローを決める」、「相手のブローをかわして顔にストレートを一発当てて、ひるんだスキにアッパーカットを確定で決める」など、各ボクサーの攻略法が分かってくると、自然に見栄えのする動きになっていくのがニクいです。
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また、観客席にいるカメラマンが焚くカメラのフラッシュが敵の特定の攻撃に対してアクションを取るタイミングのヒントになっている場合もあり、2009年に公開された任天堂による社内インタビュー連載「社長が訊く『PUNCH-OUT!!』」でそのことが明らかにされて本作のプレイヤーを驚かせました。(該当記事はコチラ)
そして『マイクタイソン・パンチアウト!!』では、いくつもの試合に勝ってさまざまなタイトルを手にしたリトル・マック最後の敵としてマイク・タイソン(氏)が登場。筆者は発売当時に本作を遊び続け、やっとの思いでそこまでたどりつきましたが、マイク・タイソンのブローは一発一発がKO級の威力で、何もできずに倒されて終わった記憶があります。偉大なる王者はゲームでも強かった!どうやれば勝てたんですかね、あれは……。
ソフトのプレミアム感が逆転したユニークなタイトル
マイク・タイソン氏の強さに楽しく絶望(?)できた本作ですが、やがてタイソン氏と任天堂のタイアップ期間も終了。今日では、当時任天堂がキャンペーンの景品として配布した『パンチアウト!!』のみが配信されており、『マイクタイソン・パンチアウト!!』は当時のソフトを何らかの方法で入手する以外に遊ぶ手段がありません。
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当時の『マイクタイソン・パンチアウト!!』はゲームショップなどで一般販売されていましたので、1987年とはソフトのプレミアム感が正反対になっているのがおもしろいですね。
とはいえ、この2作はあくまでバージョン違いのようなものですので、差異はラスボスが異なる程度。この記事で紹介したゲームの魅力は『パンチアウト!!』でもタップリ味わえます。
筆者はNintendo Switch Onlineで久しぶりに本作をプレイしましたが、後半の敵が強者ぞろいで「よく当時の自分はクリア目前までいけたな…」と呆れてしまいました。アクションゲームは今の自分の方がうまいと思っていたのですが、気のせいだったかもしれません。
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