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ファミコン黎明期の戦う美少女ヒロイン!
『マドゥーラの翼』は1986年12月18日にサンソフトから発売されたファミコン用アクションRPGです。まず目を引くのは、やはり美麗なパッケージイラストでしょう。
本作が発売された時期は、最終的に1,000タイトル以上リリースされることになるファミコンソフトのうちまだ200タイトル程度しか世に出ていない頃で、ルシアは『シティコネクション』のクラリス、『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』のワルキューレに続く3人目のファミコンヒロインと言ってもいいかもしれません。
パッケージイラストだけでなくドット絵のデキもよく、軽快に走る姿やちょっとポップなジャンプ音などもかわいらしく表現されていました。
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また、同社からは本作の1年5カ月前(1985年7月)に『いっき』がリリースされたばかり。同じメーカーであっても、異なるタイトルであればイラストやキャラクターデザインのタッチが変わるのは当然ではありますが、約1年半でここまで出るギャップには驚かされました。
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生き残りは自分のみ!後のない戦いが始まる
ルシアの境遇はなかなかにヘビーです。タイトルにもなっている「マドゥーラの翼」は作中において「手にした者は世界を支配できる」とされる鳥像のことで、人々はこの至宝をめぐってたびたび大きな争いを繰り返してきました。時の王は「マドゥーラの翼」が争いの火種にしかならないことを強く懸念し、洞窟の奥深くに封印。ルシアたちラメール族にその守護を命じます。
しかし、ある時に一族の若者ダルトスが裏切って翼を強奪。翼の力で「魔者」の軍勢を呼び出してアレクス城に立てこもります。ラメール族の戦士たちがこれに対抗するも、一族で唯一魔法を使えるルシアを残して全滅。しかし彼女はそれでも臆することなく、ダルトスと「魔者」の軍勢に単身で戦いを挑む……というのが本作のあらすじです。重いー!
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マドゥーラの翼を奪還してダルトスを倒し、倒れていた青年を助けると晴れてエンディングに。ルシアは平和になった世界でその青年――王子と結ばれたことが分かります。
ちなみに、この王子の登場はなかなかに唐突感がある(説明書に掲載されているストーリーにも存在が言及されていない)のですが、シンプルに考えるならラメール族に翼の守護を命じた王の嫡子なのでしょう。ゲーム内でダルトスが城に立てこもっている時点で王城は陥落しているわけですから、王子がみすぼらしい恰好で倒れているのにも納得感があります。
そんな『マドゥーラの翼』は2022年11月現在、ニンテンドー3DSのバーチャルコンソールとレトロゲーム配信サイト「プロジェクトEGG」で配信中です。また、サンソフトは2022年夏に『いっき』の新作となる『いっき団結』と、過去にリリースした『へべれけ』、『ギミック』の配信を発表しています。その勢いで『マドゥーラの翼』もきませんかね!?