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現在スマートフォンおよびDMM GAMES向けに配信されている、武装カスタマイズアクション『アリス・ギア・アイギス(以下、アリスギア)』。様々な作品とコラボしてきた本作ですが、2022年11月29日よりアニメ『ダーティペア』とのコラボイベントを開催しています。
『ダーティペア』は、今から約40年前の1985年に放送されたTVアニメ。いわゆる「美少女もの」というジャンルの草分け的存在であり、ハイセンスなオープニングアニメ、動きや作画の細かさ、そしてなにより主人公の美少女バディ、ケイとユリのかわいさと掛け合いから今なお人気のある作品です。
とはいえ約40年前の作品ということで、知らない方も多いと思います。実のところ、筆者もこのコラボをきっかけに作品を見るまで、名前を聞いたことがあるくらいの知識しかありませんでした。
そんな往年の名作である『ダーティペア』と『アリスギア』のコラボということで、今回はその真意と実装された諸々に関するこだわりを、開発を担当する株式会社ピラミッドのスタッフたちへ伺いました。今回お話いただいたのは、開発ディレクター・柏木氏、運営ディレクター・加賀氏、アートディレクター氏、リードデザイナー氏、リードアウトゲームプランナー氏の5名です。
◆なぜ40年前のアニメとコラボするのか
――今回のコラボに至った経緯というのは?
柏木:コロプラ側と「美少女もの」と『アリスギア』のコラボをしたいという話をしていて、いくつかリストもいただいていたのですが、社内で少し話をしてみたところ『ダーティペア』とコラボできないかという意見が出まして。リストにはなかったのですが、コロプラ側でも検討していただけるとのことでしたので、それではお願いしますと。
ただ、アニメの声優さんを当時のままでお願いできないのであれば実施しない方向で、と考えていました。歴史のあるコンテンツなので、きちんとした形でやりたいなと。
――そこで『ダーティペア』が出るのが『アリスギア』っぽいというか、なんというか……。
柏木:我々が携わっている美少女ものというジャンルの中でも、やはり草分け的存在だと思います。機会があればやってみたいというのは、これまでも話半分ですがチーム内で何度かありました。その声もあってのコラボでした。
――お話を伺ったときは驚きました。
柏木:そうですよね。『アリスギア』では比較的関連性のあるコンテンツとのコラボが多く、珍しいケースかもしれません。慎重に、時間をかけて調整を進めていましたね。
加賀:逆にどういう印象を持たれたのか聞いてみたいです。
――不勉強で恐縮ですが、実は私(32歳)の生まれる前の作品でして、こんな作品があったのかと。
加賀:そうですよね。チーム内でもそういうスタッフは多いです。
柏木:でも逆に、そういう方々に『ダーティペア』を知ってもらいたいという思いもあるんです。「こんなに面白い、すごい作品があったんだ」と。
――コラボのお話を伺ってから、アニメを見ました。仰るとおりで、面白かったです。
柏木:一周回って現代の最先端になっている気もします。デザインや技術、スタッフ面など時代の最先端のアニメでした。当時の私は中学、高校あたりでしたが、ビデオに録画して見てましたよ。
『アリスギア』も美少女もの、そしてSFというところで共通点も多く、コラボをするならきっと楽しいことができるのではないかと思っています。
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――オープニングが最高ですよね。今回のシナリオ内でもOPとEDが使われているとか。
柏木:そうなんですよ。一話完結式で、OPの「ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット」から始まり、昂ぶる本編を経て、EDの「宇宙恋愛(スペースファンタジー)」で少し哀愁を感じさせながら締まる、という流れがとても記憶に残っていましたので、これは絶対やりたいなと。今回のコラボでもシナリオ内でOPが流れ、そして最後はEDで終わるようになっています。
――これ、曲だけではなくOP/EDアニメが流れるんですね!?それは驚きです。
柏木:はい、HDリマスターされたノンクレジットのOP/EDアニメが流れます。ソーシャルゲームのコラボで、既存の作品のOP/EDが流れることなんてほとんどないと思いますし、それは不可能ですと言われることもあったのですが、今回はものすごく無理を言って実装してもらいました。これができないと我々が『ダーティペア』に抱いてる思いを伝えられないなと。
加賀:版元さんも含め『ダーティペア』好きな方々に全面的にご協力いただきましたね。実は私もこのコラボがきっかけで見たのですが、一話のボリュームが30分とは思えないんですよね。テンポの速さと密度と……これを毎週放送していたとは、驚きました。
柏木:本当にこのコラボを機会に知ってもらいたいですよね。なぜ我々がここまで熱い思いを持っているのかが、伝わると思います。
アートD:私もリアルタイム世代ではないのですが、知ってはいる作品でした。昔を懐かしむというよりは、いい作品があるから勧めたい、という思いが強いです。
――自分も今回のコラボで初めて作品を見て、すごいアニメだなと思いました。それにしても、ケイとユリが本当にかわいいです。
柏木:おそらく、当時は「美少女○○」のようなジャンルを表す言葉がまだなかったと思います。今でこそ美少女バディものというのはありますが、本当に元祖なのではないでしょうか。
――コラボシナリオを軽く拝見させていただきましたが、ノリがすごくそれっぽいですよね。
柏木:テキストから昭和感がにじみ出ていますよね。ライターチームは平均年齢も高く、『ダーティペア』リアルタイム世代も多いので、ノリの掴み方は完璧だと思います。
アートD:テキストチェックしていて、「『ダーティペア』の匂いがする」と思いましたね。
――薫子さんや安藤陽子さんなど、年長者はケイとユリを知っていて、若い子たちは知らないんですね。
アートD:実際の30代はリアルタイム世代ではないのですが、そこはちょっとしたイタズラですね(笑)。
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◆モデル製作について
――シナリオについてはネタバレになってしまうのでこのあたりにして、他のところを。キービジュアルではケイとユリに加えて、真理さんと杏奈さんが出ていますね。
アートD:ケイとユリはアニメ版のキャラクターデザインを担当された土器手司先生に描いていただきました。真理と杏奈に関しては、社内で土器手先生のタッチに合わせたものを用意しています。『アリスギア』の成人組でバディと言ったら、ということでこの2人にしています。
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――改めて見ると、すごい衣装ですよね。
アートD:ケイとユリで見慣れていたのですが、『アリスギア』の子たちに着せたら「こんな際どいの!?」と驚いてしまいました(笑)。全く同じ衣装なんですけどね。
――大丈夫か心配になりますね(笑)。そして、今回はケイとユリの2人がコラボキャラとして実装されると。
リードデザイナー:☆3の私服と、☆4のスーツの2種類ずつですね。☆3の私服に関してはまず選定がとても大変でしたね。
アートD:アニメだと、毎話衣装が違うというすごいことになっているので「ザ・私服」というのがないんですよ。選定はかなり難航しました。
リードデザイナー:並んで違和感がないものかつ、イメージするキャラクター像に合っているものを一着だけ選ぶというのは中々でしたね。
アートD:特にケイはパンツスタイルかスカートかで意見がぶつかることもありましたね。デザインは基本的に忠実に守りつつも、情報量を足すためにユリのスカートにグラデを追加したり、ベルトなどの小物、縫い合わせの追加などを行っています。当時のオシャレ感というのを感じてもらえればと。
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――顔部分もしっかりと『アリスギア』に落とし込まれていますね。
リードデザイナー:そうですね。顔部分は特に髪の毛をふたりともかなり調整していますね。ユリは前髪のボリューム感がなくなってしまうと印象がかなり変わってしまうので、『アリスギア』らしさとの兼ね合いはかなり大変だったのではないかと。
アートD:ユリは限界ギリギリまで前髪のボリュームを盛っています。もみあげ部分も最後の最後まで調整を続けていました。アニメだとカットによって長さが違って見えることもあるので、なるべく最大公約数的なものになるようにと。
ケイに関しても、そもそも立体化で難儀する髪型なので、フィギュアを参考にしながら進めていたりしていました。『アリスギア』にもあまりないタイプの髪型ですし、アニメだと毛の流れが捉えきれないので、それをどう解釈して髪型を成立させるかは難しいところでした。モデラーがとてもがんばってくれました。
リードデザイナー:ケイは肌の色が『アリスギア』のフォーマットから外れていたので、ケイ専用の褐色として新しく肌色が作られていますね。
アートD:またこの髪色にこの肌色というのが調整が難しくて。(髪と肌の色が)混ざってしまうんですよね。(原作は)よくこの色になったなぁ、と。作りながら思っていましたね。
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――ありがとうございます。☆4スーツに関してはいかがでしょう。
リードデザイナー:デザインとしてはシンプルですよね。オリジナル版と比べると、若干ですがセクシーすぎるところの布面積を増やしています。その分、キャラの肉感、むちっと感が出るように調整されています。
腰の銃もそれぞれモデリングされていて、演出中だと実際に手に持っている姿も見られます。
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――シンプルですが、この衣装を他の子に着せるのも中々大変そうですね。
リードデザイナー:それぞれモーションも変わってくるので、細かな調整はしていますね。今回に関して言えば、セクシーな印象になりすぎないようにするのが大変だったかもしれません。
水着とかとそこまで差がないのではと思っていたのですが、過激なんですよね、なぜか(笑)。
――今回はクリスマス衣装もあるんですね。
リードデザイナー:ありますね。ケイは黒タイツですが、4パターンのタイツの中から合いそうなものを選んでいます。
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――アクセサリーなどはあるのでしょうか。
アートD:『アリスギア』のキャラ用にケイとユリのレプリカイヤリングが用意されています。
リードアウトゲームプランナー:キャラはなるべくペアになるように選んでいますが、割り振りも難しかったですよね。アクセ同様、衣装のアサインもとても悩みました。全キャラに配布したいところですが、どうしても数は限られてしまいますので……。杏奈ちゃんと真理さんはキービジュにいるから必須として、ほかはなるべく2人1組になれてケイやユリと年齢が近めのアクトレスを中心に選ばせていただきました。
アートD:男勝りとおしとやかのペアとかならわかりやすいんですけど、ケイとユリってどちらもグイグイ来るタイプなんですよね。キャラ性も加味して『アリスギア』のキャラに落とし込もうとすると中々……。
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リードアウトゲームプランナー:アニメではこのイヤリングに通信機能がついていたので、『アリスギア』でもイヤリングをつけているとケイやユリと話ができる仕様にしようという話もありましたよね。
加賀:期間や実装難度の問題で没になってしまいましたが。
アートD:イヤリングで通信するモーションも用意したんですけど……。
――面白そうですね、通信機能。絆アクセはそれぞれどのようなものが用意されているのでしょう。
リードアウトゲームプランナー:ケイは緑色のバンダナとバンダナをOFFにできるアクセサリーですね。
ユリは、OPでかけていた黒いサングラスが用意されています。
――ギアのデザインは海老川兼武さんでしょうか。
柏木:今回も海老川さんにお願いすることになりました。
当時流行っていたラインやアニメの世界観をしっかり汲み取っていただきつつも、古い感じにはなっていないので、かなりいいものになってるのではないかと思います。
加賀:知らない方にもかっこよくみえますし、当時のファンの方にも納得いただけるデザインになってるのではないかと思いますね。絶妙な落とし所になっているのではないかと。
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◆専用モーション、多めです
――モーションにも特殊な演出などはあるのでしょうか。
リードアウトゲームプランナー:今回は出撃演出が特殊なものになっていて、アニメのOPをイメージしたものになっています。
アートD:この演出は若いスタッフが提案してくれました。もちろん、勉強としてスタッフもアニメを見てもらっていますが、若い人にも刺さるオシャレな演出なんだなと改めて思いましたね。
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加賀:やはりOPの印象がすごく強いんですよね。今回のコラボの話がはじまる前からチーム内のファンの方には「まずはOPを見ろ、最高だよ!」と言われていたので(笑)。今回もOPからインスピレーションを得ている部分は結構ありますね。
アートD:OPでユリが指で「バキューン!」とするところなんて、モーションキャプチャー撮影時にスタッフみなさん「キャ~」って黄色い歓声があがってましたからね。ここはユリのSP演出でもひろっていますので、ぜひカメラモードで見ていただきたいです。
柏木:当時のアニメスタッフたちもすごく力のある人が多く、志も高かったのではないかと思います。コメディシーンもお色気シーンも、ドキドキするけど下品な感じは全く無いですし。
――出撃演出かっこいいですね……。他にも色々と特殊なモーションが?
リードアウトゲームプランナー:モーションは今回多く撮ってもらいましたよね。
アートD:アニメのしぐさが派手でキレもあるので、どうしても『アリスギア』の汎用モーションだけではまかないきれないだろうなと……。2人で対になるタイプの専用のモーションや「ラブリーエンゼル」船内での掛け合い用モーションなど『ダーティペア』に特化した動きを用意しています。
柏木:モーション班と、それを設定するスクリプト班は大変だったかもしれません。
リードアウトゲームプランナー:バトルのモーションも、2人それぞれ個性が出ています。ケイは近接攻撃にアニメに登場する大型熱線銃を近接コンボの中に取り入れています。ミサイルを撃ちながらも突っ込んだり、大きなレーザーを発射したりと、豪快さを押し立てたキャラになっていますね。
ユリは正確な攻撃が得意としていて、ライフルやレーザー、ミサイルを多様するので、中~長距離での射撃戦が得意です。近接攻撃に関しても、格闘と射撃を織り交ぜて戦いますが、ケイよりも射撃が多めになっています。豪快なケイをサポートするような印象ですね。
SPは両者とも『ダーティペア』のわちゃわちゃ感と、景気よく派手に爆発感を出したく、アニメのシーンを参考にしつつキャラの性格にあったSPモーションになっています。
スカウトの登場演出ももちろん変わっていて、ここにもOPの冒頭で見られた、シルエットからガラスを割って登場する演出が盛り込まれていますね。
リードデザイナー:あのライトで照らされてシルエットが浮かぶ演出があると、レトロでカッコいい感じがしますよね。
アートD:最初は雰囲気だけ再現できればいいねという話をしていたのですが、結局演出担当のデザイナーとプログラマが「シルエットにもするしガラスも割っとくね」という……(笑)。
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――いつもの『アリスギア』の流れですね(笑)。
アートD:もちろん「こうしてほしい」とお願いすることもあるのですが、「どうしてここまで……」というものがいつの間にかできていることはよくありますね(笑)。
――他にも細かい部分が『ダーティペア』仕様に?
リードアウトゲームプランナー:スカウトの待機画面やシナリオ内では背景として「ラブリーエンゼル号」の船内も3Dモデルが使われています。他にも、事務所背景に今回は「ナンモ」と、アニメ作中に登場した通信機、そして「ラブリーエンゼル号」が登場します。事務所背景の「ラブリーエンゼル号」は着陸時にちゃんとランディングギアが出るようになっています。
アートD:事務所背景の通信機とか設定資料もないので、アニメで一瞬映っているのを見ながら作っていましたね。コードもちゃんとグルグルしています。
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リードアウトゲームプランナー:他にも撮影モードのフレームで『ダーティペア』仕様のものが用意されていたりします。
加賀:BGMも今回ZUNTATAさんに作っていただいてますね。
アートD:一発OKでしたよね。かっこいいし、どこかで聞いたことがある感じがすごい(笑)。
加賀:いつも難しいオーダーが多いので数テイク作っていただいたりもするのですが、今回は一発目からドンピシャなBGMでしたね。
――ありがとうございます。今回のコラボも全力ですね。では最後に、プレイヤーへ一言いただけますでしょうか。
加賀:プレイした方の感想が本当に気になるので、ぜひ、今回のコラボの率直な感想をSNS等で発信いただければと思います。
また、『ダーティペア』第1話はサンライズさんのYouTubeチャンネルにて公開されていますし、今回のコラボ期間限定ですが、特別セレクションという形で無料公開しています。『アリスギア』で初めて『ダーティペア』を知ったという方は、ぜひご視聴いただければと思います。
柏木:『アリスギア』ももちろんですけど、『ダーティペア』もぜひ布教していただきたいですね。
――ありがとうございました!
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『アリスギア』のコラボといえば、毎回のように特殊仕様満載の濃い内容になりますが、今回も全力を賭して作られています。前述のように、アニメ『ダーティペア』の第1話は無料公開されていますし、一部話数に関しては、コラボ期間中に無料公開されていますので、今回のコラボで初めて『ダーティペア』を知ったという方は、ぜひ作品に触れてみてください。
というか、全く知らなくても、コラボシナリオで流れるOPを見たら絶対見たくなりますよ!筆者も今回のコラボで『ダーティペア』を知った口ですが、勢いで全部見てしまいましたし……。
知ってる人も、知らない人も楽しめる『アリスギア』×『ダーティペア』コラボは11月29日~12月26日まで開催中です。
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