人生にゲームをプラスするメディア

パーフェクト・アイドル 黛冬優子とその奥ゆかしさは『シャイニーカラーズ』だからこそ描ける―アイドルマスター楽曲5選を1曲ずつピックアップPart5

「アイドルマスター」シリーズのサブスク公開に合わせて、各シリーズからオススメ曲を1曲ピックアップ!

ゲーム 特集

2022年12月28日、「アイドルマスター(THE IDOLM@STER)」の楽曲がApple Music、Spotify、YouTube Musicなどのサブスクリプション型(定額制)音楽ストリーミングサービスから配信されました。

これにより、『シャイニーカラーズ』『SideM』『ミリオンライブ!』『シンデレラガールズ』とあわせて、アイマス5大ブランドの楽曲が配信されることになりました。

これまで5大ブランド全てあわせて1300曲以上の楽曲が誕生し、かねてよりファンたちは「アイマス」のサブスク解禁を待ち望んでいました。

今回の流れでは制作されたすべての楽曲が公開されたわけではありませんし、楽曲によっては短いバージョンで公開されていますが、人気曲は軒並み公開され、今後も順次公開されていくことに期待していきたいところ。

今回はそれに合わせて、5つのブランドがこれまで発表してきた数多ある楽曲の中から、1ブランド1曲ずつ、筆者の独断・偏見も込み込みで選んでみました。最終回となる今回は、「シャイニーカラーズ」から1曲チョイスしました。

◆SOS - 黛冬優子(CV:幸村恵理)

アイマス5大ブランドのなかでもっとも後発・新しいプロジェクトといえば、283プロダクションを中心にして進められている『アイドルマスター シャイニーカラーズ』です。

2018年4月24日にサービスを開始したこのゲームは、『シンデレラガールズ』『ミリオンライブ!』『SideM』のようなソーシャルカードゲーム/リズムゲームではなく、「765PRO」以来となる育成シミュレーションブラウザゲームとして登場しました。

これまで多少なりとも世界観を共有していた4ブランドでしたが、本作の登場人物や設定はシリーズ他作品から完全に独立しており、283(ツバサ)プロダクションに所属するアイドルたちをうまく育成、オーディションを勝ち上がっていくことでストーリーを読み進めることができる…というまさに王道中の王道なゲームです。

イルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリア、ストレイライト、ノクチル、シーズの計7グループ・25人のストーリーはアイドル一人ひとり/ユニットごとにカラーが異なっていますが、そのリアリティ性や後味は他の4ブランドとは大いに異なります。

たとえば「Straylight.run()」「薄桃色にこんがらがって」「ストーリー・ストーリー」ではアイドル業界の闇の部分を描いてみたり、「many screens」「天塵」ではそれぞれのユニットがどのように繋がっているかがしっかりと受け取れます。

白瀬咲耶の「幸福のリズム」、三峰結華の「NOT≠EQUAL」、浅倉透の「10個、光」、樋口円の「ギンコ・ビローバ」「ピトス・エルピス」などアイドル個々人のシナリオでは、「この言動はいったい何を意味するんだ?」と想像させてしまう立ち回りの数々から、数々のモノローグで重ねられていく自省・自白、そこからハっとさせられるセリフを突きさしてくるアイドルたち。

それに応じてプレイヤーに読ませるはずのシナリオ文もリリカルかつポエトリーになることも多いのが特徴。「美少女育成ゲームをしているはずなのに小説を読んでいるかのよう」「ゲームをしているはずなのに呼吸するのもつらくなるほどに激重なストーリーの数々」で、他ブランドとは一線を画す魅力を放っています。

SOS - 黛冬優子(CV:幸村恵理)

そんな『シャイニーカラーズ』から選ぶのは、黛冬優子の「SOS」です。

軽やかにハネていくようなエレクトロポップ、一途な恋心をキュートに歌い上げたこのポップソングは、サウンドや歌声のクオリティはメジャーレーベルで頑張る実際のアイドルらと遜色ないクオリティでしょう。

頭からつま先までカワイイ系アイドルの王道を征く黛冬優子ですが、本作ゲームをプレイすればもちろん彼女の裏側を知るはずです。本作をプレイしたあとにこの曲をきけば、なぜここまで抜け目なく「アイドルらしいアイドルソング」へと仕上がっているのか、理由が分かるかと思います。

この曲にはストーリーを知る・知らないで印象が大きく変わるほどに、奥ゆかしい魅力があるのです。

キャラクターソングだからといってこれ見よがしにすべてを語ろうとすることなく、また別の角度からアイドル本人を表現することができる。男性・女性問わずアイドルへの深い理解がすすんだいまの日本のポップカルチャーからの好影響をうけながら、アイドルへの深い理解力・造形を基にした楽曲を制作できるようになった「アイマス」に、筆者は変化を感じずにはいられないのです。






《草野虹》

福島・いわき・ロック&インターネット育ち 草野虹

福島、いわき、ロックとインターネットの育ち。 RealSound、KAI-YOU.net、Rolling Stone Japan、TOKION、SPICE、indiegrabなどでライター/インタビュアーとして参加。 音楽・アニメ・VTuberやバーチャルタレントと様々なシーンを股に掛けて活動を続けている。 音楽プレイリストメディアPlutoではプレイリストセレクター(プレイリスト制作)・ポッドキャストの語り手として番組を担当している。

【注目の記事】[PR]
コメント欄を非表示
※一度コメントを投稿した後は約120秒間投稿することができません
※コメントを投稿する際は「利用規約」を必ずご確認ください

    編集部おすすめの記事

    特集

    ゲーム アクセスランキング

    1. 『モンハンワイルズ』“歴戦王レ・ダウ”と戦えるイベクエ詳細解禁!新たな防具「レダゼルトγシリーズ」もカッコイイ

      『モンハンワイルズ』“歴戦王レ・ダウ”と戦えるイベクエ詳細解禁!新たな防具「レダゼルトγシリーズ」もカッコイイ

    2. あっちの方が強そうじゃない?『SDガンダム Gジェネ』新作で「マチュ」がジークアクス以外に乗り出す―「俺のマチュ、ビグ・ザムで暴れ出した」

      あっちの方が強そうじゃない?『SDガンダム Gジェネ』新作で「マチュ」がジークアクス以外に乗り出す―「俺のマチュ、ビグ・ザムで暴れ出した」

    3. 『SDガンダム Gジェネ エターナル』正式サービス開始!GQuuuuuuX、白いガンダムら「ジークアクス」の機体も早速参戦

      『SDガンダム Gジェネ エターナル』正式サービス開始!GQuuuuuuX、白いガンダムら「ジークアクス」の機体も早速参戦

    4. ストリーマーやVTuberの新作TCG『Xross Stars』始動!第1弾では「CR」「ぶいすぽっ!」「Neo-Porte」から総勢24名がカード化

    5. 『モンハンワイルズ』チャレンジクエストの「ランキング報酬」廃止へ―不正行為・不具合で“健全な順位”を提供できていないため

    6. 『ギルティギア』超美麗グラフィックの裏側!アークシステムワークス解説動画が、クリエイター志望必見のクオリティ

    7. 「スイッチ2、発売日にどのゲームを買えばいいの?」─ローンチタイトルは20本越え!豊富なラインナップから“お勧め”を独断で厳選

    8. “アズズの挨拶バグ”修正か?『モンハンワイルズ』4月16日にアプデ実施、「不具合を意図的に利用する行為は禁止」とも改めて注意喚起

    9. CRおじじ「夢が叶った」、CR Gaming Spaceにも対戦スペース設置など気になる情報も飛び出した…新作TCG『Xross Stars(クロスタ)』発表会レポ

    10. 「えっち」「ロックマンX?」『モンハンライズ:サンブレイク』女性ルナガロン装備の開発原画公開!

    アクセスランキングをもっと見る