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2017年に発売された『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』から始まり、2021年4月放映開始のテレビアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』や、2021年10月に発売された『BLUE REFLECTION TIE/帝』など、幅広い展開を見せている「BLUE REFLECTION」シリーズ。
その活躍は今も留まるところを知らず、『BLUE REFLECTION RAY/澪』と『BLUE REFLECTION TIE/帝』の間を埋める時間軸上に置かれる『BLUE REFLECTION SUN/燦』(以下、ブルリフ燦)が、iOS/AndroidおよびPC(DMM GAME PLAYER)向けに2月21日にリリースされる予定です。
正式サービス版では、昨年実施したクローズベータテスト(以下、CBT)を通して寄せられた意見をもとにブラッシュアップされ、より遊びやすい作品として登場します。
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今回、正式サービスに先駆け、バージョンアップ版に触れる機会に恵まれたので、本記事では改善点を中心としたプレイレビューをお届けします。CBTと比べてどのような変化を見せたのか、その手ごたえをご覧ください。
なお、『ブルリフ燦』が持つ特徴については、CBT時点のプレイレビューで取り上げていますので、気になる方はそちらも合わせてどうぞ。
■バージョンアップ版で、ロード時間やUIなどのプレイ環境を改善
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今回はバージョンアップ版なので、ゲームとしての基本的な部分やプレイ内容自体は、CBT時の『ブルリフ燦』と大きな違いはありません。“灰の滅び”が迫る中、特別な力を発現させる少女たちと共に挑む戦いと、彼女たちと過ごす平凡で特別な日常、それらを表現するバトルとコミュニケーションを軸としたゲーム性は健在です。
そして、物語やキャラクターの魅力とは異なる“ゲームシステム面の手触り”について、このバージョンアップ版で大小様々な変更が行われています。こうした部分は、プレイを続けるモチベーションにも深く影響するため、決して軽視できません。
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まず、負荷の軽減やロード時間に関する対策が施されており、全体的なテンポが改善されました。といっても、ロード時間が極端に短くなった、といった劇的な変化とまではいきません。クエスト選択後から開始するまで、ガチャを実行してから演出が始まるまで等、相応の読み込み時間は存在します。
ですが、少なくとも筆者の環境では、以前よりもプレイしやすい印象を受けました。CBT当時の正確なロード時間との比較などはできませんが、どちらも同じスマホでプレイしたところ、体感的には今回の方がスムーズに感じます。
もっとも、ロードが長めに感じるタイミングはあるので、今後の改善にも期待したいところです。ただ、この点に関してはスマホの性能に左右される面も大きいので、筆者よりも優れたデバイスで遊ぶ場合は、待ち時間がもっと短いかもしれません。
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なお筆者は、そろそろ買い替えを考えている2018年に発売されたスマホでプレイ。多くの方がこれより優れたスペックかと思いますし、スマホの性能が不安な人はゲーム内の設定を調整することで遊びやすくなるでしょう。
プレイ環境の改善は、ロード時間や負荷軽減だけに留まらず、UIの一部も変更されました。また、システム周りに限った話ではなく、登場する敵のデータ(ステータスや編成など)も見直されており、手触りにも違いがあります。
この点もCBT時の正確なデータがないため直接比較はできませんが、以前よりも全般的に進めやすいと感じました。例えばCBTの時は、第1章を攻略している途中で戦力的に一度行き詰まり、そこで育成に切り替えましたが、今回は第2章のクリアまで割とスムーズに進行。事前登録特典と同様の特典が配布されたこともあるとは思いますが、体感的にかなり戦いやすい印象です。
■「戦力の確保」もやりやすくなった『ブルリフ燦』
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今回は、CBTと同様にプレイできる時間が限られていましたが、システム面の改善とバトル面の調整は想像以上に功を奏し、プレイ環境の向上が確かに感じられました。前述したシステムの改善も無論ですが、戦力面で時に大きかったのは、☆1と☆2──いわゆる「低レア」なキャラクターの底上げです。
バトルの中心になるキャラクターたちは、主にガチャを介して入手します。ガチャで入手できるキャラクターのレアリティは、☆1~☆3の3段階。同一キャラクターを獲得することで得られるピースを使用することで、☆の段階を最大で5まで上げることが可能です。最高レアリティの☆3が出なくとも、☆1や☆2のキャラの上限を突破させ、戦力の穴を埋められるシステムになっています。
この仕様自体はCBTの時にもありましたが、☆の上限突破に必要な素材の量が多く、なかなか上限突破させることができませんでした。この点について緩和されたので、以前と比較して戦力を整えやすく、特に戦力が欠けがちな序盤の苦労がある程度軽減されています。
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武器の装備やフラグカードによるスキルの着脱などでキャラクターを強化するといったシステムは変わらないものの、☆2の時点でフラグカードの装備スロット枠が追加される仕様に変更。これによってステータスが上げやすくなり、☆2と☆3の強さの差が相対的に小さくなりました。
もともと「☆が少ないキャラクターに強力なフラグカードを装備することで、その強さを補える」といったシステムがありましたが、☆2の装備スロット枠追加により、この対策が強化された形になります。
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もちろん、最初から☆3のキャラクターと、☆1や☆2の上限を突破して☆3になったキャラクターでは、基本的に前者の方がステータスは高く、専用スキルが強い傾向にあります。低レアのキャラで完全に互換できるわけではなく、強さを突き詰めていくと、自ずと最初から☆3のキャラクターが中心になっていくでしょう。
しかし、本作のバトルは☆のレア度以上に、属性が大きな効果を持ちます。敵味方は全員、4属性のいずれかに属しており、その相克で有利・通常・不利の関係が生まれます。例えば、「火は水に弱く、風に強い」といった感じです。この場合、火同士や火と土は、有利でも不利でもない通常の状態として扱われます。
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有利な相手には与ダメージが増え、さらに被ダメージも減少とメリットしかありません。不利だと全て逆になるので、この状態だと格下の相手でも手こずります。☆のレア度で生まれる差よりも、属性で受ける有利・不利の方が戦闘に与える影響は大きいので、勝敗で最も重要な要素と言っても過言ではないでしょう。
手持ち次第ですが、☆のレア度だけを重視して編成すると、パーティ内の属性がバラバラになることもしばしば。特に手駒の少ない序盤だと、有利属性かつ高いレア度で固める編成は至難です。しかし、☆1や☆2から昇格するキャラクターも視野に入れれば、有利属性で固める編成の難易度はかなり低くなります。
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今回のバージョンアップで低レアの限界突破がしやすくなり、☆2の装備スロット枠が増えたことで、パーティの編成がやりやすく感じました。また、☆2キャラクターでも有利属性相手に十分な活躍を見せてくれますし、限られた範囲のプレイでも☆2→☆3の昇格を味わうことができ、戦力の穴を埋めていく「育成の楽しさ」も味わえました。
バトルが進むと、敵の編成が複数属性になるので、単一の属性で染めればいいという単純な話ではなくなりますが、各属性のキャラクターを用意しやすくなっているため、対応しやすい点も嬉しいところです。
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それぞれの改善点は、一見すると地味ですが、小さな効果が積み重なり、プレイ全体をいい方向へと導かんとする舵取りだったと個人的に感じました。
敢えて厳しい言葉を選ぶなら、ロード時間で待たされる部分はまだありますし、序盤の育成や戦力の確保はしやすくなったものの、段階が進むにしたがって育成のハードルは上がっていきます。ユーザーの視点で見ると、改善を望みたい部分がゼロになったとは言い切れません。
ですが、極端な話をすればCBTの時点でも、『ブルリフ燦』はひとつのゲームとして成り立っていました。手をかけなければ、既に『ブルリフ燦』はリリースされていたかもしれません。改善に取り組めば、その分だけ開発期間がかかりますし、開発費用も嵩みます。
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CBTに参加したユーザーの声を聴き、より遊びやすいゲームを目指して開発を続け、バージョンアップ版で一定の成果を上げる。その内容もさることながら、『ブルリフ燦』はこうした取り組みを行うゲームだと提示されたことが、最も大きな収穫だったように感じます。
ゲーム自体が面白いことも非常に大事な点ですが、基本プレイ無料ゲームの場合、正式サービス以降の展開も重要です。運営や開発の姿勢次第で、プレイ意欲も大きく左右されます。
『ブルリフ燦』が実際どのように発展していくかは未知数ですが、今回のバージョンアップ版への対応を見る限り、十分な希望を持てるように感じました。だからこそ、今後も弛まぬ改善に励んでほしいものです。
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※画面は開発中のものです