ビデオゲームにおいてキャラクターや背景といった絵は、多くの場合2Dや3Dのコンピュータ・グラフィックスで表されます。しかし世の中には、実写の映像や画像を取り込んで作られたゲームが数多く存在します。
本稿では、そんな中でも「なんでこんな使い方したの!?」と驚くような実写の使い方をしている作品をご紹介いたします。“味のある”スクリーンショットばかりなので、ぜひじっくりとご覧ください。
『糸井重里のバス釣りNo.1 決定版!』(N64)
まずはこの作品。『MOTHER』シリーズのクリエイターとして知られるコピーライターの糸井重里氏が監修を務めるバス釣りシミュレーションです。スナック菓子「カール」のパッケージイラストで知られるひこねのりお氏の可愛らしい動物たちが目を引きますが、その実釣りゲームとしてはかなり本格的な内容になっています。
「糸井重里の」と付いているだけあり、作中には糸井重里氏が実写で登場して(若い!)釣り用語を教えてくれます。ひこねのりお氏の可愛いイラストと当時51歳の糸井氏がゲーム画面に登場する様はちょっとシュールです。
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『ウイニングポストEX』(PS/SS)
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シブサワ・コウ氏がプロデュースする本格競馬・育成シミュレーション『ウイニングポスト』第1作目をマイナーチェンジしたのがこの『ウイニングポストEX』です。オープニング映像や馬の画像は実写になってよりリアルさが増しています。レース中もカーブ時のみ実写が使われるため、迫力のある画になっています。
そしてなんといっても、シリーズの顔・有馬桜子も実写に。リアルになってもプレイヤーを支えてくれます。とはいえ、調教師など他の人物はほぼイラストなので、ちょっと浮いてますね……。
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『プリルラ』(AC)
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先程まではまだ序の口。『プリルラ』はややニッチなタイトルですが、タイトーが1991年にリリースしたベルトスクロールアクションです。不思議の国ラディッシュ・ランドを舞台に、悪者に奪われた“時の流れ”を取り戻すという、ちょっと奇妙で可愛らしい作品です。「イーグレットツー ミニ」の収録希望ランキングではアクション部門で1位に輝くなどファン人気の根強い作品です(その後追加SDカード第一弾に収録)。
本作においては、ステージ2に実写が登場します。笑顔でこちらに突っ込んできたり、なぜか鯉のぼりのように棒につかまっていたりと不気味です。かわいい主人公と同じ画面にいると、本当に同じゲームなのか?悪いコラージュ画像なのではないか?と疑ってしまいそうです。当時のスタッフの写真を取り込んだそうで、これが移植を困難にした原因であるとか……。ちなみに、このステージにはなぜかセクシーな脚も登場します。
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『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』(PS/SS)
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ガイルが主人公の実写映画「ストリートファイター」をゲーム化した作品です。実写取り込みの格ゲーは初期の『モータルコンバット』などがありますし、決して相性が悪いわけではありません。しかし、見慣れた『ストリートファイター』のキャラが実写になっているとどこか不思議な感覚を覚えます。
ちなみに本作には、キャプテン・サワダというオリジナルキャラが登場します。ハラキリで血を飛び散らせて対空攻撃するという強烈なキャラで、説明書にも「奇抜な技で注目を浴びたい君にピッタリ」と書かれているほどです。
このキャラは元々映画の台本に存在しなかったものの、俳優の澤田謙也氏がアドリブで演じたキャラだったといいます(現在の澤田氏HPでは確認できないので真偽不明)。『ストV』公式サイトのキャラ図鑑にも載っているため、もしかしたら『スト6』に参戦するかも?いや……ないか。
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『ツインゴッデス』(PS)
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こちらも実写を用いた格闘ゲームです。ニーナとシリンの2人の王女のどちらかを操作し、次々に現れる敵と戦っていきます。この2人とラスボスの「カーミラ」を除き他のキャラはアニメーションであるため、かなり味のあるゲーム画面です。全部実写の『リアルバトル オン フィルム』と比べて一目で「これ絶対変なゲームだ……!」とわかります。
格闘ゲームとしては比較的コマンドが簡単であるほか、試合前にHP回復や魔法を撃てるアイテムを購入できるのも特徴です。CPUはなかなか強く、アニメのキャラに実写のキャラがボコられる様はなかなかにシュールです……。
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『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』(ピピン@/PC/Mac/PS)
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ガンダム作品の中でも珍しい、実写を用いた作品です。主人公はアムロではなく、民間人のオリジナルキャラです。「ケツアゴシャア」が特に有名で、他にもブライトやガルマといったお馴染みのキャラが登場します。
ゲームとしては『ドラゴンズレア』『タイムギャル』のようなLDゲームとなっており、状況に合わせて適切なボタンを素早く押さなければなりません。タイミングが非常にシビアな上、ヒントも少ないのでかなり難易度が高くなっています。
モビルスーツは3DCGですが、こちらのモデルはなかなかクオリティが高いです。筆者はガンダムをほぼ知らないためファンのフレンドに見てもらいながらプレイしたところ、本作独自のストーリーやキャラクター解釈に驚く声が聞かれました。
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『卒業R ~Graduation Real~』(PC-FX/PC/PS)
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5人の問題児女子高生たちを育てて、一流大学合格を育て上げるゲーム『卒業 ~Graduation~』を実写にしてしまおう!としたのがこの作品です。ゲームとしては基本的にステータスとにらめっこするシンプルな育成シミュレーションなのですが、時折イベントシーンが挿入され女の子とのコミュニケーションを楽しめます。
メイクの雰囲気には時代を感じてしまいますが、2次元の原作のキャラをうまく実写に落とし込んでいるように思います。比較としてセガサターンの『卒業S』をプレイしましたが、ゲームとしても少しわかりやすさが上がっているように感じました。ただ、イベントシーンは画質が荒すぎて女の子の顔が見えづらいのが残念……。
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『超兄貴 究極無敵銀河最強男』(PS)
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この作品は超ド級。元々おバカなSTGとして知られる『超兄貴』ですが、それを実写にしたら何百倍にも強烈になっちゃった!というのが本作です。主人公の韋駄天・弁天はもちろん、オプションであるムキムキマッチョのアドン・バランや敵キャラ、メサイヤのマスコットであるうみにんでさえもほとんどが実写というまるで悪夢のようなゲーム画面になっています。
ゲームを始めるといきなりラスボス操作パート、と思いきや股間に弾があたってゲームオーバーになってしまうなど、開始時からブッ飛ばしています。巨大な人間の股間から棒状の人間が生えてくる「逞(たくま)と純也」や、パンツ一丁の男たちが組体操のピラミッドをする「教師と生徒の三角形態」など、ボスキャラも強烈なものばかりで、思わず頭がクラクラしてしまうほどの悪ふざけに満ちています。
一方で、葉山宏治氏が手掛ける音楽はドラムンベースのハイテンポな曲などいずれも秀逸なのが憎めないところ。これをプレイすると、他の実写ゲーは物足りなくなってしまうかも……?というほどアクの強い作品です。
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変なゲームは多いけど、そればかりじゃない!
本稿では珍作・怪作を中心に紹介しましたが、実写を利用している作品でも名作と呼ばれる作品は多数あります。海外では近年で実写を用いたFMVゲームは盛んで、最近では3本の未公開映画を巡る謎に迫る『IMMORTALITY』がリリースされました。国内に目を向けてみても小高和剛氏がシナリオ・ディレクターを務めた『デスカムトゥルー』や、実写という仕掛けをうまく利用した推理ADV『春ゆきてレトロチカ』といった作品がリリースされています。
今でも語り継がれる作品といえば、渋谷の街で思わぬ形で交差する主人公たちを描く『街 ~運命の交差点~』や、1つの大きな事件を複数の視点で追う『428 ~封鎖された渋谷で~』の2作品がまず思いつきます。いずれも10年、20年以上も前のゲームですが、「実写ゲーの名作といえばこれ!」という人も多いです。
筆者もゲームや3DCG上の「フォトリアル」とはまた異なる味わいがある実写ゲームが大好きで、『街』は人生ベスト級にお気に入り。ADVではないですが、実写の港街で井上トロと一緒に過ごせる『トロと休日』も好きな作品のひとつです。
一方で、「なんで実写にしたの!?」と叫びたくなるような、実写取り込みを奇妙な形で使うゲームは現代ではかなり減ったように思います。もちろん名作実写ゲームは大好きですが、こういうタイプの作品も復活してほしい……!この記事に挙がっていない「コレ!」という作品があれば、名作・珍作問わずぜひコメント欄で教えてください。