ゲームを遊ぶために私たちが当たり前に使っているコントローラーは、近年では概ね共通した機能を持つようになってきました。配置の違いこそあれど、2本のスティックと方向キー、4つのボタンとスタート・セレクト、LRボタンとトリガーといった要素が基本形と言えるでしょう。
しかしそれでも、果てしないロマンを追い求めて、はたまたこれでないと操作できないという必然性を備えて特殊なゲームコントローラーを作り上げた作品が存在します。
本稿では、これまでリリースされてきた特殊なコントローラーをピックアップしてご紹介。思わず実際に遊んでみたくなる特殊コントローラーの世界をご紹介いたします。
トイレットペーパーから伝説の剣まで!?特殊コントローラーを作り続ける開発者
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インディーゲーム開発者のタカヒロウ氏(@moaijp)は、特殊なコントローラーを用いてプレイするゲームを開発しつづけています。先日ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『紙がない!』は、ご家庭にあるトイレットペーパーにコントローラーを挿し、ダンボールの上で転がして遊ぶという作品でした。
同氏は過去にも、イベント展示という形で様々な特殊コントローラーのゲームを生み出してきました。お題と同じ重さになるように調整して勇者の剣を引き抜く『伝説の剣』やスプラッター映画の殺人鬼のごとく大きなハサミを開閉して戦う『シザザザザーン』、障害物を避けながらロープを引っ張って遺跡を登る『イセキクライマー』など、思わず「やってみたい!」という気になる作品ばかりです。
『バイオハザード 4』チェーンソー男になりきれ!音がなる血まみれコントローラー
リメイク作である『バイオハザード RE:4』の発売が迫っていますが、オリジナル版のコレクターズ・エディションに付属したチェーンソー型コントローラーの存在をご存知でしょうか。
これは海外のPS2版のみで発売されたもので、作中に登場するチェーンソー男が持つものを模したコントローラ尾になっています。スティックやボタンがついているほか、エンジンに着火するための紐を引っ張ると「ブルルン…」と音がなるという大興奮仕様になっています。
ただ、リメイク版に際してこのコントローラーが復刻することはないとのこと……!(IGN)残念ですが、ロマンを感じさせてくれるコントローラーでした。
ロボット好きの心がくすぐられまくる…!コックピットが家にやってくる『鉄騎』専用コントローラー
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さて、「ロマンのあるコントローラー」といえば、『鉄騎』専用コントローラーを挙げないわけにはいきません。本作のコントローラーはまるで、ロボットアニメ・映画のコックピットがそのままお家にやってきたようなものになっています。
無数のボタンやダイヤル、シフトレバーや制御用のスティック、そして蓋がついた緊急脱出ボタン……これでもかというほどロマンを突き詰めたコントローラーは、ロボット好きでなくとも遊んでみたいと思わせる魅力があります。これほどロボットマニアの心をくすぐるコントローラーは、後にも先にも出てこないのではないでしょうか。筆者はまだプレイしたことがないのですが、死ぬまでに1度はプレイしたいゲームです。
SF感が凄すぎる!手を動かして操作するパワーグローブ
「パワーグローブ」は、海外版ファミコンことNintendo Entertainment System向けに発売されたコントローラーです。数多くの連射ボタンが搭載されている上、ビジュアルまでSF感満載なのに、手や腕を動かすことによってゲームを操作できるという夢のような製品でした。
やはりというべきか操作性はかなり悪いようですが、そこはワクワク感でカバーしましょう。普段コントローラーを握って操作しているのに、右手で操作できるというのは不思議な感覚を覚えそうです。
スライムのおしりをイジイジ!?『ドラクエ』のキュートなコントローラー
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ここまで紹介したものは古めのコントローラーが多いですが、新しめのものもご紹介しておきましょう。ホリが2017年に発売した「ドラゴンクエストスライムコントローラー」は、その名の通り『ドラゴンクエスト』の有名モンスター・スライムの底面にあるボタンを使ってゲームを操作します。なお、2019年にはニンテンドースイッチ版も発売しています。
基本機能は備えているため、普段遣いのコントローラーとしても使用可。その丸っこく愛らしいスライムのおしりをイジイジしてゲームを遊ぶと、少し不思議な感覚に陥りそうです……。意外と操作性は悪くないらしく、専用のスタンドも付属するので、インテリアとして兼用するのもアリかもしれません。
楽器から……ポテトまで!?ユーザー手作りのコントローラー
ゲームメーカーが発売したものでなくとも、ユーザーが独自のシステムを用いて手作りしたコントローラーも存在します。例えば『CoD: ウォーゾーン』にてリコーダーを用いて敵をスナイプしたり、『ELDEN RING』のボス・マルギットをハープで操作して倒したりと特殊なプレイが見られます。
弊誌でも過去に、Raspberry Piを用いてジャガイモをゲームコントローラーにしてみようという企画を敢行。『Muse Dash』や『NKODICE』などシンプルな操作のゲームをジャガイモで遊ぶというなんともシュールな様子が確認できます。
もはや手を使うコントローラーは主役じゃない!?声で操作するゲーム
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ここまで紹介したものは手を使って操作するコントローラーばかりでしたが、ここで紹介するゲームたちの上ではもはや手は主役ではありません。世界初の音声認識ソフトとして宣伝されたNINTENDO 64用ソフト『ピカチュウげんきでちゅう』は、専用のヘッドセットを通じてピカチュウとコミュニケーションをとり、仲良くなることができます。
プレイヤーの声が主役のゲームは、意外にも多く存在します。不気味な人面魚を飼育する『シーマン』、“調べろ”、“撃て”と喋って指示を出す『オペレーターズサイド』など有名なものをはじめ、様々なシチュエーションで演技力たっぷりにセリフを読む『しばいみち』や、兵士や軍隊に声で指示を出す『大玉』『エンド ウォー(Tom Clancy’s End War)』など様々なものが存在します。まだまだ可能性のある分野かもしれませんね。
特殊なコントローラー専門のイベントもある!5月13日に開催予定
ここまで特殊な操作をするコントローラーや変な見た目のコントローラーをご紹介しましたが、これを専門にしたゲームイベントがあることをご存知でしょうか。make.ctrl.Japanは、通常のコントローラーとはひと味もふた味も違う「変わったコントローラー」ばかりが集うインディーゲームイベントです。
前回はファミコンカセットを叩いてゲームをバグらせることによってRTAの最速クリアを目指すゲームや、「桃太郎」のおばあさんになりきって洗濯板をこすり、鬼に水しぶきで攻撃するゲーム、肩にコントローラーを装着して操作するゲームなど家庭用ではなかなか味わえない、イベント展示ならではの作品が多く展示されています。
今年は5月13日から14日にかけて第5回目が開催予定。開催場所などはまだ決まっていませんが、「変わったコントローラー」の世界に足を踏み入れたくなった人はぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。