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3月11日、バンダイから「HG ヒュッケバインMk-II」というプラモデルが発売されました。実はこの商品、30周年を超えた『スーパーロボット大戦』の歴史の中で、大きな意味を持つのです。
◆既に市場では入手困難。なぜこれほど人気を集めるのか
本商品は、『スーパーロボット大戦OG』シリーズに登場するロボット「ヒュッケバインMk-II」を立体化したプラモデルキット。古くはPS『スーパーロボット大戦α』に登場した主人公機で、今なお人気の高いロボットのひとつです。
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既に売り切れというショップも続出しているようで、もはや市場では入手困難な状態に。発売当日のSNSでは「ヒュッケバイン」が日本のトレンドワードに浮上するなど、大変な人気となっていました。最近、立体化が相次いでいる『スーパーロボット大戦OG』シリーズ商品の中でも、特にファンの間でインパクトの大きかったキットであることが窺い知れます。近年立体化されることの多い『スパロボ』のオリジナルロボットですが、今回の異様な盛り上がり方は様相が少し違うような気がします。
なぜここまでの盛り上がりを見せているのでしょうか?なにせ、曰く付きの凶鳥。この機体を語る上で避けて通れないのは、やはり「ヒュッケバイン問題」かも知れません。
◆ある日を境に、「ヒュッケバイン」は世の中から姿を消した
実は「ヒュッケバイン」シリーズのプラモデルが発売されるのは、何もこれが始めてではありません。過去にもいくつかのキットが発売されており、古くは2000年頃発売のバンプレスト製の初代ヒュッケバインから。また、おなじみコトブキヤのS.R.Gシリーズでは、Mk-I~Mk-III、さらにはエグゼクスバインに至るまでがラインナップされていました。特にコトブキヤ製のキットは人気があり、今でも高額で中古市場に出回っているのを確認することができます。
さて、ここで「あれ?」と思った方は頻繁にプラモデルを触る人かも知れません。そう、コトブキヤは定期的に人気商品を再生産してくれるメーカーであり、例に漏れずS.R.Gシリーズからも人気スパロボ機体は何度か再生産が行われています。しかしヒュッケバインだけは、これだけの人気機体でありながら、まさかの「絶版」扱い。ラインナップカタログからも「ヒュッケバイン」の名前が消え去っており、番号は欠番扱いになっています。そこまでしなくても……。
そしてこの絶版が発表された当時、世間ではとある現象が同時に起こっていました。それがいわゆる「ヒュッケバイン問題」と呼ばれるものです。時期はちょうどPS2『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』が発売された頃。立て続けに発売された続編タイトル『OG外伝』はもとより、各種コミック展開や地上波テレビアニメ放送など『OG』シリーズの盛り上がりが最高潮というタイミングで、各メディアから一斉にヒュッケバインの姿が消えてしまったのです。
ゲームのPVではヒュッケバイン登場シーンが差し替えられ、TVアニメにはそのシルエットが登場するのみ、コミックではツインカメラに黒線を入れられ、まさしく腫れ物扱いといった有様。不安が広がる中、公式ブログの投稿記事本文の行頭を縦読みにしてようやく発せられた「ひゅつけハ出ます」というメッセージが、さらにこの問題を深く印象付ける結果となりました。
そして以後、ファンの間では「すべてはヒュッケバインがガンダムに似すぎていたために起こった悲劇」との言説がまことしやかに語られるようになったのです。
◆バンダイから、“凶鳥”は蘇る
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こうした顛末から、ヒュッケバインとガンダムの関係は何かと揶揄の対象となったのですが……、それももはや昔の話ですね。
『スパロボV』での衝撃的なゲストロボット参戦を始め、『スパロボ30』での主役機への抜擢。ROBOT魂シリーズでの相次ぐ立体化などなど、今やヒュッケバインは大手を振り日の下を歩いて、いや飛んでいます。
そして今回のプラモデル発売です。ガンダムのプラモデル「ガンプラ」に代表されるバンダイのHGブランドから、ヒュッケバインシリーズが堂々とラインナップしているのです。これはファンからしてみればかなりの大事件です。
肝心のキット自身も最新のプラモデル技術からのフィードバックがふんだんに盛り込まれた仕様になっており、合わせ目の出にくいパーツ分割、引き出し式の関節構造からくる広い可動域が見事な設計です。しかも、それでいてシンプルな組みやすさも両立。まさに「Mk-II」の決定版といえる傑作キットと言えるでしょう。
また、近年のOG展開に係わる設定や最新の機体諸元などのデータが寺田貴信氏の書き下ろし文章で掲載されていますので、こちらもOGファンならあわせてチェックしたいところです。
本キットの発売は、きっとファンの脳裏には、歴史的な和解のシンボルとして刻まれたに違いありません。
そして我々はあらためて教えられたのです。我らのヒュッケバインは、決して消えやしないということを。
(C)SRWOG PROJECT