◆質疑応答コーナー
約1時間にわたるセミナーはここで終幕。その後は、事前に寄せられた質問を中心とした質疑応答のコーナーが設けられました。
Q.仕事をするうえで大切にしていることは?
榊原:繰り返しになってしまいますが、コミュニケーションを大切にしています。それと、現場でゲームを作ってくれているクリエイターたちの思いをきちんと受け止めること。プロデューサーは予算やスケジュールに目を光らせなければいけませんが、お互いに気持ちよく仕事をできるように心がけています。
中井:私はバックオフィス(人事総務)ですのでクリエイターの方たちとは目線が異なるかもしれませんが、自分が誰のために、何のために働いているのかを常に意識しています。私にとっては、自社のクリエイターは顧客のようなものです。人事総務は彼らがよりよい作品を作れるような人(入社希望者)の応募を集め、よりよいオフィスを整えるのが仕事です。
Q.ゲーム業界に入って必要だと感じたこと、やっておけばよかったと思ったことは?
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榊原:英語ですね。今のご時世、ゲームを作ったら日本国内で売って終わりということはありません。ローカライズして海外にも展開します。そうすると、海外に行く機会も増えるんです。仕事で海外に行くたびに「英語をもっとがんばっておけばよかった!」と痛感します(笑)。
Q.今のゲーム業界をどう思いますか?
榊原:近年は、スマートフォンゲーム一強という感じではなく、コンソールゲームのよさが見直されてきていると思うので嬉しいです。みなさんもぜひコンソールゲームであそんでください!
中井:コロナ禍は辛いものですが、巣ごもり需要でコンソールゲームのユーザーが増えたのは不幸中の幸いでしたね。「ゲームをじっくり遊ぶ」文化が改めて広まったのはよかったと思います。
Q.新入社員がやってしまいがちな失敗や間違いは?
榊原:「指示を理解できていないのに、思い込みで間違ったことをしてしまう」ことですね。分かっていないのに「分かりました」と言ってしまう子が一番怖いです。指示などが良く分からない場合は、気軽に聞き返すなり、質問なりをしてください。
もし「自分が分からないことすら分からない」場合は、何とかしてそれを分からないなりに言ってほしいです。モジモジと縮こまられると、こちらも助けようがないんです。そういう時は「すみません、よく分かりません!」でもいいんですよ。
中井:「待ち」の姿勢はよくないですね。積極的に聞いてもらえれば。
榊原:先ほどの中井さんの話にもつながりますが、学生時代に何か失敗をしておくと、こういう時の先輩や上司へのヘルプの出し方も分かりやすくなると思いますよ。
Q.最近遊んでおもしろかったゲームや、印象に残っているゲームは?
中井:『コーヒートーク』ですね。カフェのマスターになって、お店を訪れるお客さんたちとの会話を楽しむ……会話主体のシンプルなゲームですが、一杯のコーヒーを通して見えるさまざまな人間模様に引き込まれました。
榊原:印象に残っているゲームは、中学~高校時代に遊んだ『ライブアライブ』です。ユーザーを「いい意味で」裏切ることの大切さを学んだ気分です。最近発売されたリメイク版もオススメですよ!
Q.プログラマーやデザイナー志望は、どのようなソフトを使えればいい?
中井:直接の答えにはなっていませんが、学生のうちに「それを自力で調べられる力」を身につけておいてもらえればと思います。私たちはそういう方を歓迎します。「Unreal EngineやUnityでゲームを作るなら、どのようなツールを使えばいいか」は、ネットで調べればすぐに分かると思います。
デザイナーは「Maya」を使う方が多いですね。しかし、高価なので最初は「Blender」でもいいと思います。
Q.別の業界からゲーム業界に入るにはどうすればいい?
中井:大手企業がやっているスクールや、専門学校で学び直して入ってくる方は結構いますね。
Q.プログラマー志望です。専門学校、大学、独学…どのような進路がよいでしょうか
榊原:「最終的に何を作りたいか」ですね。ゲームを作りたいなら、専門学校の方が学びやすいでしょう。ゲームにかぎらずプログラムを突き詰めたいのなら、大学もいい選択肢だと思います。
ただ、一般的なプログラムとゲームプログラムには異なる特徴があります。ゲームプログラムは「ユーザーが気持ちよく/楽しく遊べるように動く」ことがもっとも重要で、単純にプログラムを突き詰めればいいわけではないということです。銀行で採用されるシステムなどのプログラムを手がけるのとは、そこが決定的に違うので意識しておいてほしいです。
中井:ずっと独学で続けていると、自分のプログラムを人が見た時の読みやすさがなかなか分からないと思います。人に見てもらったり、人と比較できたりする環境があるといいですね。
◆困難は多いが他では味わえない楽しみがあるゲーム制作
質疑応答もここで終了。最後に、榊原氏と中井氏からあらためてゲーム業界を目指す学生に向けたメッセージが語られました。
榊原:ゲーム業界に進む道は、一般企業に就職して歩む人生とは異なる楽しみ、異なる困難があると思います。気軽にオススメできるわけではありません。でも、ゲームを作って世に出すのは本当に楽しいですよ。覚悟があるなら一緒に苦労して、一緒に楽しみましょう!
中井:私たちがお話したことが、少しでもみなさんの参考になればと思います。
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