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「人間を人たらしめるものとはなにか」を考えたことはありますか?
「男女の“自然な営み”によって生まれるのが人間である」は、答えのひとつとなるかもしれません。しかし、もし人の記憶や精神を完全にデータ化できるとしたらどうでしょうか? 生身の人類が滅亡した世界において、データで再現された人の精神を人工の体に埋め込んだ存在は人でしょうか? 人とはいえませんか?
そんなガチガチのSFストーリーを楽しめるのが、フリューから2023年7月27日(木)にPS5 / PS4 / ニンテンドースイッチ / PC(Steam)で発売予定のアクションRPG『クライマキナ/CRYMACHINA』です(Steamのみ2023年10月25日発売)。本稿では、本作のストーリーやキャラクター、アクション要素を中心にPS5版のプレイレポートをお届けします。
◆人格データが人たらんとする王道SFストーリー!
主人公のレーベンは、致死率100%とされる絶望的な奇病「離心病」に罹患し、17歳という若さで短い生を終えた少女です。
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そんな彼女は、ヘイロー(注:宗教画などで人の頭の上に描かれる光状の円盤のこと。平たくいうと"天使の輪")のようなものを頭上に掲げるアンニュイな美少女・エノアの呼びかけで目を覚まします。
そこはレーベンの死後に人類が滅亡してから、さらに2000年が経過したはるかな未来。エノアは「神機(じんき)」と呼ばれる自己進化機械のうちの一体で、レーベンはエノアたち神機が推進している人類再生計画の一環として再生された人格データ「E.V.E(イヴ)」のひとりとなっていました。
義体に人格データを搭載された自分は人なのか、人ではないのか。それすらおぼつかないまま、レーベンは同じE.V.Eである千菊ミコトや紫藤アミとともに、宇宙空間に広がる構造体エデンで繰り広げられる神機同士の争いに巻き込まれていきます。
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本作は序盤から独自の用語が飛び交いますが、右も左もわからぬままいきなり戦いに巻き込まれたレーベンが危機を脱したタイミングで「ちゃんとわかりやすく説明して!」とキレ気味になりながら周囲に突っかかってくれたため、彼女に共感しつつすんなりと物語に入り込めました。
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◆人類全肯定美少女AIのウィスパーボイスで脳が溶けた
本作はステージクリア型のアクションRPGで、箱庭と呼ばれる拠点から他の機神たちの勢力圏内である各ステージへ赴く形でゲームが進行します。
箱庭ではレーベンたちのレベルアップや装備変更のほか、エノアを含めた4人で特定のテーマについて話し合う「お茶会」を行えます。お茶会のテーマには「必要会話」と「自由会話」の2種類があり、必要会話をすべて見ることでストーリーが進行し、新たなステージが選べるようになります。
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もう一方の自由会話は「みんなが好きな動物」や「映画好きのミコトにオススメの映画を聞く」など束の間の日常を楽しむ話題がメインで、時にコミカル、時に華やかなガールズトークを楽しめます。
自由会話はストーリーの進行に必須ではありませんが、見ることでキャラの強化に必要な「EGO」を獲得できるので、見返りも用意されています。
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メインストーリー、時にシリアスな必要会話、ほっとひと息つける自由会話に耳を傾ける中で、特に筆者に刺さったのはレーベンたちを蘇らせた機神のエノアでした。機械らしく表情の変化に乏しい彼女は常にウィスパーボイスで話しますが、復活させるべき存在である人類を慈しみ、尊んでいます。
端的に言い換えると、レーベンたちをとことん全肯定します。「はなまる」「存在しているだけでえらい」「とってもいい子」…というセリフたちのバブみがあまりにつよい。脳がとろけるー!
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生前につらい思いをしたらしいレーベンはなかなかミコトたちに心を開かず、その一方で「機械はウソをつかないから」と、エノアにだけは甘いというか早いタイミングで警戒心を弱めるのですが、そんなところも共感できました。人類全肯定美少女AI、これはアリだ…。
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◆ボタンだけで出せるコンボが簡単かつ爽快感抜群!
エノアを推すだけで終わるわけにはいきませんので、アクション面についても触れていきます。本作はストーリー展開に応じて、レーベン、ミコト、アミのいずれかを操作して各ステージに挑みます。
3人は得意とする戦い方がそれぞれ異なり、槍型の武装を持つレーベンは手数で攻める近・中距離型、剣型の武装を持つミコトは距離を問わないオールラウンド型となっています。
基本となる攻撃は、最大4発の弱攻撃と最大2発の強攻撃。敵に間断なく攻撃を当て続けて「WEAK」状態に持ち込むと、強攻撃の1発目が打ち上げ、2発目が地表への叩きつけとなるので、弱攻撃×α→強攻撃で打ち上げ→空中で弱攻撃×α→強攻撃で叩きつけ…とコンボをつなげられます。
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地面に叩きつけられた敵は「DOWN」状態となり、その時にのみ出せる「フィニッシュアサルト」でさらに大ダメージを与えられます。打ち上げ時は操作キャラが自動でジャンプするので、ボタン操作だけでコンボを決められるのが爽快感抜群&ユーザーフレンドリーです。
次に防御行動ですが、本作にはガードがありませんので、敵の攻撃にタイミングを合わせて回避することで発動する「ジャスト回避」と、敵の特定の攻撃をいなしつつ反撃を入れる「カウンター」を使い分けて被弾を避けるのが基本になります。
ジャスト回避に成功すると「一定時間無敵になる」、「一定時間一方的に動いて攻撃できる」など強力な付随効果が発動します。ただ、回避を後ろ方向に出せば「ジャスト」でなくとも間合いを離すことで十分敵の攻撃を回避できるので、慣れないうちは早めに回避するといいかもしれません。
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◆「眷属機」がもたらす多彩なバトルスタイル!
アクションゲームによく見られる「タイミングよく操作しなければ発動しないパリィなどの防御行動」が苦手な方もいるでしょう。筆者もその一人で、ソウルライクゲームをプレイする時は、いつも防御力や盾を重視した戦い方で臨みます(そういう戦い方しかできないと言った方が正しい)。
そんな人の大きな助けとなるのが、レーベンたちが背面に2機装備できる兵装「眷属機」です。眷属機は、目前の敵に多段ヒットの攻撃を放つ近距離型、敵の足を止める砲撃を放つ遠距離型などさまざまな性能のものが用意されており、どれを装備するかで戦い方を何通りにも変えられます。
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もしストーリーを進めていて接近戦で勝てない敵がいれば、遠距離型の眷属機を2機装備して間合いを取りながら遠距離攻撃だけで倒してもいいのです。多少時間はかかりますが、1回勝てればそれで話は進むので問題にはなりません。勝てば官軍です。
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本稿執筆にあたってプレイした開発中のバージョンでは、起動させると自分の判断で動きながら敵を攻撃する自律型、周囲にシールドを展開して一対複数の状況でも各個撃破を狙いやすくなる防御型、周囲の敵に妨害行動を行う補助型など、さまざまなタイプの眷属機を確認できました。
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筆者は左背面に自律型の眷属機を装備して勝手に戦ってもらい、右背面に「敵がWEAK時に打ち上げ攻撃を出す」眷属機を装備するスタイルがお気に入りでした。公式サイトによると、眷属機は70種類以上用意されているそうですので、戦闘スタイルにもかなりのバリエーションを持たせられそうです。
硬軟織り交ぜられたガールズトーク(お茶会)と、爽快感のあるアクションで構成される『クライマキナ/CRYMACHINA』。今回の先行プレイでは体験できませんでしたが、製品版ではストーリーにより一層没入しやすくなるカジュアルモードがあるとのことですので、ストーリーや全肯定はなまるAI美少女エノアが気になるなら、アクションが苦手な人も楽しめるのではないでしょうか。
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(C)FURYU Corporation.
※記事で使用している画面写真は開発中のバージョンです。製品版とは一部異なる場合があります。
※UPDATE(2023/7/26 20:30):記事公開時、Steamのみ発売日が2023年10月25日である旨が記載されていませんでしたので該当箇所を修正し、再公開しました。Game*Sparkでのコメント欄でのご指摘、ありがとうございました。