■「シーダ」は下級職のまま!

しかし単なる強さだけなら、さほど驚くには値しません。まず注目したいのが「シーダ」です。前述の通り、シーダのステータスは全て最大値。しかし、彼女のクラスは下級職の「ペガサスナイト」のままでした。
ペガサスナイトは上級職にクラスチェンジできますが、『初代FE』だと「ドラゴンナイト」になります。馬に翼が生えた天馬と、強靭な飛竜。名前はもちろん、その見た目もまったく異なります。
シーダはヒロイン的な立場でもあり、ビジュアル的にもペガサスナイトのイメージが強いキャラ。それがクラスチェンジで飛竜に乗り換えた時は、プレイしていた方の多くが驚いたはず。中には、印象を変えないよう、下級職のまま使い続ける猛者もいました。

しかし、それも全て昔の話。よほど『初代FE』が好きだった人以外は、「シーダをペガサスナイトのままにしておく」というプレイスタイルの存在は、忘れてしまうか気づくことすらなかったか、そのどちらかでしょう。
一部ファンにとっては重要な、しかし一般的なプレイとしてはささやかな、ペガサスナイトのままでいるシーダ。こうした細かいネタも拾い上げる姿勢に、思わず唸らされてしまいました。
しかも、もうひとつ驚かされたのが、シーダの所持欄です。そこには、クラスチェンジアイテムの「ひりゅうのむち」があり、これを使えばいつでもドラゴンナイトになれます。“シーダはペガサスナイト派”への配慮だけでなく、“シーダをドラゴンナイトにしたい派”もフォローする完璧な対応。そのこだわりぶりに、頭が下がります。
■そう、「ジェイク」は強い! シューターに光を当ててくれた「クライマックスバージョン」

この「スペシャルバージョン」では、全キャラを仲間に加えた上で、生き残ったまま最終章を始められます。ですが、先ほど述べたように徹底した強さになっているキャラもいれば、ほとんど成長していない仲間も何人かいます。
成長している仲間の多くは、主要メンバーであったり、人気の高いキャラが多め。ですが強く育ったキャラの中に、「シューター」の「ジェイク」が含まれていました。
『初代FE』はスーパーファミコン向けにリメイクされましたが、その際に何人かのキャラがリストラされており、「リフ」や「ロジャー」などが姿を消しました。ジェイク(とベック)もリストラ組で、しかもクラスのシューター自体が味方側から消滅。敵専用の存在になってしまいます。
シューターは、移動力こそ低いものの攻撃力や防御力が高めで、前線に出しても倒れにくい移動要塞として侮れない活躍を見せてくれます。特に、弓系に弱いペガサスナイトやドラゴンナイト相手には猛威を振るい、確実に撃墜していく強さが頼もしいばかりでした。

しかし移動力が4で、全キャラクター中で最も遅い弱点を持ち、味方の進軍においていかれることもしばしば。そうした点がネックになったのか、一部の通なプレイヤーが愛用したものの、人気の面では決して高いとは言えませんでした。
筆者は『初代FE』を何度もクリアし、その中でジェイクに頼ったこともありました。しかし周囲で彼を使っていた人はおらず、彼の頼もしさを共有する機会が得られないまま時が過ぎてしまいます。
それなのに、まさか「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」の中で、逞しく育ったジェイクに出会えるとは! ジェイクの良さに気づき、使えるユニットとして用意してくれた誰かに、感謝したい気持ちでいっぱいです。
後のシリーズ作では、シューター的な役割で戦う場面こそありますが、クラスとしてのシューターを直接操作できるのは『初代FE』だけ。ぜひ一度、ジェイクの頼もしさを「クライマックスバージョン」で触れてみてください。