コナミデジタルエンタテインメントは、デジタルカードゲーム『遊戯王 マスターデュエル』における9月1日以降のリミットレギュレーションを発表しました。
新しく禁止カードに指定されたのは、「ティアラメンツ」で使われる「古衛兵アギド」「ティアラメンツ・メイルゥ」に、「No.86 H-C ロンゴミアント」「ブロックドラゴン」「究極幻神 アルティミトル・ビシバールキン」を加えた合計5種類。さらに制限カードとして「烙印融合」「スプライト・ジェット」「古尖兵ケルベク」等が指定されるなど、秋以降の環境が激変しそうな内容になっています。
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しかし、その中で個人的に気になったのが「宵星の騎士ギルス」の制限解除です。「オルフェゴール」最強のエンジンである、本カードの詳細を追ってみましょう。
◆「妹を救うこと以外何でもできる男」の本領発揮!「オルフェゴール」の初動に最適な「宵星の騎士ギルス」
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「宵星の騎士ギルス」は、「オルフェゴール」の他に「ジャックナイツ」の名も持つ下級モンスター。その正体は、遊戯王10期のカードストーリーでもメインキャラクターとして活躍した「ニンギルス」が転生した存在です。
レベル4 闇属性・機械族 攻撃力:1800 守備力:0
このカード名の「1」「2」の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。「1」:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「オルフェゴール」カードまたは「星遺物」カード1枚を墓地へ送る。このカードと同じ縦列に他のカードが2枚以上存在する場合、さらにこのターン、このカードをチューナーとして扱う。「2」:自分フィールドに他のモンスターが存在しない場合に発動できる。お互いのフィールドに「星遺物トークン」(機械族・闇・星1・攻/守0)を1体ずつ守備表示で特殊召喚する。
このニンギルス、ストーリー的に「オルフェゴール」モンスターを一人で作り上げるなどいろいろすさまじいことをしている一方、作中で妹の「イヴ」を救えなかったことから、「妹を救うこと以外何でもできる男」というあだ名が付けられています。いつ見ても酷い。
そして、このギルスも二つ名に恥じない優秀なカードです。ざっくりいえば、トークン生成能力を付けた「オルフェゴール」の「終末の騎士」といった感じでしょうか。もちろん強いです。
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何しろこのテーマには、墓地から除外するだけで好きな「オルフェゴール」をデッキから特殊召喚できる「オルフェゴール・ディヴェル」を皮切りに、墓地発動できるカードが揃っています。
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そのためギルスを先行1ターン目に召喚できた場合、好きな「オルフェゴール」を墓地に送りつつ、生成したトークンから「リンクリボー」をリンク召喚。さらにギルスとリンクリボーで「オルフェゴール・ガラテア」をリンク召喚。
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後は墓地に送った「オルフェゴール」の効果を使いつつ、ガラテアの効果を発動。万能カウンターの「オルフェゴール・クリマクス」を構えたり、相手ターンに「オルフェゴール」のカード効果を使えるようになる「オルフェゴール・バベル」を持ってきたりして、フィールドを強化するのが基本的な動きになります。
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ただし「オルフェゴール」の墓地効果使用時には、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できなくなる制約が付きます。しかし、闇属性モンスターの豊富さを鑑みれば、さほど苦にはならないでしょう。
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何より「I:Pマスカレーナ」を使えば、相手ターンに好きなリンクモンスターを呼び出すという脱法行為が可能です。おかげで「オルフェゴール」のエクストラデッキには、高確率で光属性の「双穹の騎士アストラム」が入っています。まるで「スプライト」みたいだぁ……。
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◆2022年のテーマに比べれば「オルフェゴール」もやはり挑戦者
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このギルスの制限解除によって、「オルフェゴール」と名の付くカードは全て無制限になりました。これは遊戯王史上、初めての状況となります。
というのもギルスが登場した2020年1月、「オルフェゴール」はすでに環境で結果を残しており、ディヴェルやガラテアが準制限に指定されていました。そんな状態でギルスを追加して大丈夫なんですかね?
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結論を言うと、まったく大丈夫ではなかったため、ギルスは2020年10月に制限指定をうけました。この規制は2023年8月の紙環境でも続いています。
そういうわけで、ディヴェル・ガラテア・ギルスを3枚揃って使える環境というのは、今回の『マスターデュエル』が初めてとなるのです。オルフェゴールを使用している私としても、その最大出力を発揮できる日が大変楽しみ……なのですが、一方で環境で活躍する未来はさほど抱けないのも事実です。
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何しろ、今回さらなる規制を受けたはずなのにまだまだ暴れられるという「ティアラメンツ」や、メラゾーマではなくメラの段階でも『マスターデュエル』の環境に業火を放ち続けている「クシャトリラ」を筆頭に、環境の厳しさは増すばかり。
ギルスはデッキの安定性を増すタイプのカードですから、これら異次元のカードパワーを見せつける最近のテーマと比較した場合、本気のオルフェゴールを持ってしても「こまった。ちょっとかてない……」という気分になります。
とはいえ、ギルス3積みにより上振れ要素をデッキに組み込みやすくなったのは間違いありません。自分としても、オリジナルのオルフェゴールを組めるよう努力したい所存です。
……しかし、こうまで環境が進むと「トロイメア・マーメイド」を解放しても良い気がするのが恐ろしいなぁ。
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