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2023年9月1日、いよいよ待ちに待った『Starfield』が発売されます。開発会社としてのBethesda Game Studios、いわゆる「ベセスダ本体」がガッツリ手掛けるオフラインの大型RPGとしては『Fallout 4』ぶりの新作ということで、かなり期待してきたゲーマーも多いと思います。もちろん、筆者もそのなかの一人で、久々に“ベセスダ式のオープンワールドRPG”をシングルプレイでゆったり遊べる日を心待ちにしていました。
今回は、そんな『Starfield』を光栄にも事前プレイできるということになりましたので、そのプレイレポートをお届けします。ストーリーのネタバレや、プレイヤー自身が発見したほうが面白そうな要素には触れないつもりですが、記事の性質上どうしても「展開が気になる方は閲覧注意」な内容になってしまうことにご留意ください。というか、筆者としては「なんか『Skyrim』みたいなゲームの新作が出るらしい」以上のことはマジでなんの情報も入れずに遊ぶのが一番のおすすめです。
しかし、まあ、それだと話がすべて終わってしまうので、大作RPGを先行プレイしてきた身として、プレビューの内容を紹介していきます。本記事では、前半部でゲームの全体像や総評を述べ、後半部では「細かいところまで踏み込んだレポート」を届けていきます。
また、筆者は記事執筆までに50時間ほど『Starfield』を遊んでいましたが、この程度のプレイ時間ではどれほどのコンテンツが潜んでいるのかまだまだわからないので、あくまで「先行体験した上でのプレイレポート」としてご覧ください。なお、今回の事前プレイはPC(Steam)版となります。
……と、言い訳めいたくだりが多くなったことをお許しください。だって、『Fallout 4』から8年経ってるんですよ……!?
前半: 『Starfield』の全体像から紹介。宇宙版『Skyrim』と言える“足し算”の傑作だった
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2021年のXbox and Bethesda E3 showcaseにて、ディレクターであるトッド・ハワード氏は本作を「宇宙版『Skyrim』のようなもの」と例えていたそうです。
もちろんその言葉は“『Oblivion』や『Fallout 3』や『Fallout 4』のようなもの”という意味も含んでいるでしょう。Bethesda Game Studiosのもっとも代表的でわかりやすいタイトルが『Skyrim』だから、そこで引き合いに出されているのだと思います。なので、筆者も本記事では「過去のベセスダ作品の象徴」として『Skyrim』を引き合いに出しています。「いやいや『Morrowind』のほうが……」とか言いたくなるのはわかるんですが、そういうのはいったん飲み込んでください。よろしくお願いします。
筆者が『Starfield』をプレイした感想として、本作はほんとにそういうゲームです。もちろん本作ならではの新要素も多く、コンテンツ量は増加しているはずですが、基本的な土台は『Skyrim』的なもの。あとの要素は足し算して作られているので、どこまで行っても「宇宙版『Skyrim』」なのが本作の最大の特徴であり、ある意味で最も分かりやすい表現でもあります。
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そのため、最先端のスペックを必要とした最先端のゲームのはずにも関わらず、少し昔のRPGを遊んでいる印象があります。これはただ「新しさがない」と批判しているわけではなく、僕のような『Skyrim』を愛好してきたプレイヤーはそういった作品をプレイしたいのですから、最大の褒め言葉でもあります。
『Skyrim』は、2023年の今になって考えると「オーパーツ」のようなゲームです。発売されてから10年以上が経過しているのにもかかわらず、今現在をもってしてもコンテンツ量的に『Skyrim』に匹敵する作品は、マジでわずかしか発売されていないように思えます。そして『Skyrim』以降、シングルプレイのオープンワールドゲームはなにかにつけ『Skyrim』と比較されてきました。
そして、これからの10年にわたってシングルプレイのオープンワールドゲームは『Starfield』と比較されるのだと思います。あえて言うなら、『Starfield』と比較される他のゲームにしてみたら、たまったものではないでしょう。『Starfield』もまた「オーパーツ」のようなゲームであり、本作に匹敵するコンテンツ量のゲームが今後10年間でそういくつも発売されるとは思えないからです。
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『Starfield』の規模の大きさについて、プレイ開始時にはかなり気が遠くなりました。さすがに50時間もプレイするとだいたい何ができるのか想像はついてきますし、なんとなく全体のクエストの量なんかも「これぐらいじゃないかな?」と察しはついてきます。しかし、筆者としては「まだ一切触れていない、何も分かっていない部分」がたくさんある可能性がまだまだ潜んでいるように感じられるのです。
我々が10年以上『Skyrim』をなにかにつけ起動してきたように(みんなもそうですよね?)、『Starfield』もなにかにつけ、今後10年以上遊ばれ続けるゲームとなるでしょう。総評として『Starfield』は傑作であり、ここ数年でベストなゲームというだけではなく、筆者にとって最も新しい「人生ベストゲーム」のひとつとなりました。こんだけ途方もないゲームをプレイしたのは、記憶している限りだと『レッド・デッド・リデンプション2』ぶりですね。
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ここまで大きく持ち上げると過度な期待を煽りそうですが、実際のゲームプレイはマジで『Skyrim』や『Fallout 4』に近く……近いっていうか、部分的にはほぼ同一ですらあります。なにかものすごく新鮮なことがあったりするわけではなく、「ああ知ってるわ、こういうゲーム」なんて感じる方も多いはずです。
『Starfield』は、「『知ってるゲーム』の現代で最もすごいもの、しかもなんか急に他のゲームを置き去りにして10段階ぐらいすごくなってる」みたいなゲームです。『Skyrim』や『Fallout 4』が人生ベスト級に好きな筆者にとっては筆者にとってはそれがなにより最高のことなのですが、もしかしたら「いやいや、ガワが違うだけで中身は同じじゃん!」と感じる人はいる……のかも。でも、足し算で「正面からコンテンツ量を増やす」というのはおそらく一番大変なことです。
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プレイ前に不安を覚えるかたも多いでしょうから念のため触れておきますが、例によって例のごとく筆者環境ではかなりの不具合が発生していました。もちろん筆者は発売前のバージョンを遊んでいるので、発売時点では改善されている可能性も大いにありますが……。NPCについていくクエストでNPCが動かなくって進行不能になったり、クエストギバーがゆっくりと浮遊しだして天井の中に行っちゃったために進行不能になったり、宇宙船の中でクルーが生き埋めになって話しかけられなくなったとおもったら飛び出してきたりと、物理的干渉によると思われるバグが高頻度で起こりました。
こういった不具合にはゲームを再起動することで解決したり、クエストギバーが天井に完全に埋まる前に足に話しかけるみたいな力押しで対処できることもあります。このバグを力押しでなんとかしていくあたりも「昔のゲームみたいだな~」と感じる理由のひとつです。現在のところ「キャラクターの位置にまつわる不具合」がすべてで、それ以外の致命的なバグにはまだ遭遇していないので「今までで一番バグが少ない」というのは本当かもしれません。
余談ですが、筆者が『Skyrim』を最初に遊んだときはメインクエストが進行不能になったので、それよりはたぶんマシになってるのだと思います。バグに慣れちゃうのってよくない気もするけど、「よくなかったとしてもまあ慣れてはいるので気にならない」という感じです。しかし近年の『TES』や『Fallout』を遊んだ経験がない方は、面食らう可能性がおおいにあります。Day Oneパッチでいろいろ解決してくれることを願うのみです。
後半: 『Starfield』実際のゲームプレイについて
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さて、ここからが記事の後半部です。奥歯に物が挟まったような曖昧で抽象的な説明はこれまでで、『Starfield』のゲーム内容を直接紹介していきます。ネタバレや筆者的に「これは知らんほうがいいだろう」ということは割愛してますが、ほんとに注意して読んでくださいね……! 以降は項目ごとに分けているので「これについてはまだ知りたくない!」なんてことがあれば、思い切って読み飛ばしてください。
■キャラクタークリエイションについて
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本作のキャラクタークリエイションはかなり細かく、面白いです。プレイアブルキャラクターの顔が作れるのはいつものことですが、「特徴」をつけることができるのが面白く、特に“熱心なファン”をつけることができる「崇拝される英雄」や、ゲーム内に自キャラの両親が登場するようになる「子供」が面白く感じました。
他の特徴も会話パターンが追加されるなどありそうなので、何回も最初から遊びたくなること請け合いです。外見はお金さえ払えば「エンハンス」という施設でいつでも(性別を含めて)変更できます。
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また、名前に加え三人称代名詞を設定可能で、 ノンバイナリーの三人称代名詞である「They」に相当するであろうと思しき「彼ら」を選択可能。ただし日本語における“ノンバイナリーの三人称代名詞”として「They」の直訳である「彼ら」を用いるのには違和感があります。「彼」は一般的に男性を指しますが、正式リリース版でも同様の訳になるそうです。
筆者はゲーム内で三人称代名詞で呼称された覚えがないので、キャラクターがどのようなジェンダーとして扱われるかをここで決めているだけかもしれません。つまり、NPCのセリフなどで(こちらは一人で冒険しているにもかかわらず)「彼らがまた活躍したらしいよ!」と噂される……というイベントは起こらないのではないかと考えています。
■宇宙船について
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本作は宇宙を舞台にしたゲームなので、宇宙船を買ったり、組み立てたり、操縦したりすることができます。宇宙船を組み立てるのはなかなか大変で、操縦も筆者には簡単ではありませんでした。今でも宇宙海賊に襲われるなどすると、かなりテンパります。宇宙空間での戦闘は、場合によってはかなり難しく感じます。
移動用途としては基本的に宇宙空間でしか使うことが出来ず、例えば『No Man's Sky』のように地表をふんわり浮いて移動するみたいなことは今のところ出来ません。おそらくできるようにならないと思います。
『Starfield』の宇宙船で行えるのは「星系間をジャンプすること」「星や構造物の近くを飛ぶこと」、場合によっては「他の宇宙船やステーションと戦闘すること」「宇宙船やステーションとドッキングすること」。そして「星の表面に着陸すること」です。
めちゃくちゃいろいろなことができる! というわけではなく、あくまで「RPG的なフィールドの亜種」という印象なのですが、割り切ったシンプルな作りでもなく、意外と戦闘が大変だったり、宇宙空間を移動してがんばるクエストもあったりします。ですが個人的に、宇宙船で飛んでいるパートはあくまで味付けと感じています。
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宇宙船を組み立てる要素はめっちゃワクワクして楽しいので、筆者は、宇宙空間については「自分が作った“自慢の宇宙船”を実際に動かす、おままごと要素」と納得しています。宇宙船は何台も所有できるので、本当に金食い虫です。最終的にどのぐらい巨大な船が使えるのか、筆者はまだわかってないです。
■戦闘について
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本作の宇宙船外での戦闘は、一般的なシューター/FPS系。『Fallout』シリーズのように「V.A.T.S.」もないのでかなり純粋なFPSですが、ゲーム進行によって照準をアシストするような機能が登場することもあるのかもしれません。
そのため、探索はかなり「ルーターシューター」っぽいプレイフィールになっています(『Fallout 3』や『Fallout 4』の頃は「ルーターシューター」という語がなかっただけで、前からそういう要素はありますが)。FPSとして出来がいい/めっちゃ楽しいみたいなことは特になく、AIもめっちゃ賢かったりはしないので、ほんとうに至極普通なのですが、武器の種類のバリエーションが多いためなかなか楽しめます。武器は改造したりもできるため、お気に入りの銃をぶっ放す!ってだけでもある程度の面白さは確保されてますよね。
人間型の敵を倒した時に欠損表現などは確認できませんでした。とはいえ『Fallout』のように荒涼、殺伐とした世界観というわけでもないですし、残酷性に注目したゲーム性ではないので、あんまり気にはならないです。近接主体だと、もう少し表現が過激なほうが刺激を感じられたかも……とも思いました。規制によるものかどうか確認したところ「どのエディションにおいても、日本版と海外版で表現変更はない」とのこと。ポジティブな雰囲気の宇宙冒険ものである『Starfield』に過度の暴力表現は必要ない、という判断なのでしょう。
■探索/クエストについて
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本作の最大の魅力は「探索要素とクエストの多様さ」です。最初に訪れることになる大都市ニューアトランティスは本当に巨大で、地下にも区画があるため、見た目よりも様々な施設があります。
ニューアトランティスに匹敵するほどの超巨大都市はおそらく他には存在しないのですが、ちょっと規模が落ちるが十分に大きい都市が他に2種類は確認できました。もうちょっと規模の小さい中規模、小規模の拠点は現時点でかなりの量見つけられています。自動生成のような、特に名のついていない拠点に関しては、無数にあると思われます。通常、自動生成されたコピペ的な拠点を探索して……というようなゲームプレイは作業的になりがちですが、本作は作られた部分がかなり多いためあまり気になりません。というか、「やることがなくなってしまうよりは、繰り返しでもやることがあったほうがありがたい」と個人的には思います。
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宇宙船や銃を作ったりしているとゲーム内でやたら金欠になるため、発見した施設を探索しゴミ漁りをしたりクエストの報酬をもらうことが重要になってきます。なんかあんま興味ないな~と思ってもひとまず立ち寄って人の話を聞いてみると、意外と面白い展開に発展したりするので、めんどくさがらず、ゆっくり、隅から隅まで歩いてみるとよいでしょう。
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探索やクエストについては完全なるネタバレになってしまうので、具体的なことは述べませんが、あなたが宇宙SFに求めている“ユニークなもの”が、きっと『Starfield』内でも発見できることでしょう。早く皆さんとそのことについて話したくてたまりません。おもしろイベント、おもしろキャラ、おもしろクエスト、おもしろスポットが無数にあり、知的好奇心を刺激されっぱなしの50時間でした。それでもまだまだ発見が尽きていないことに心底驚かされます。
もしやることが尽きてしまっても、本作には「強くてニューゲーム」的な要素があるので、ほぼ無限に遊べます。強くてニューゲームの詳細については語れませんが、非常に独特な要素なので、本作を気に入ったプレイヤーなら誰でも2周目をやりたくなる作りになっています。引き継がれるのは主人公のレベルぐらいで、お金とか宇宙船とかも無くなっちゃうっぽいので、充分に遊び尽くしてから挑むが吉です。
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後半部でもまた期待をめちゃくちゃ煽ってしまいました。前述の繰り返しになりますが、自動生成(らしき)部分や何もない場所もかなり多いため、スカスカだと感じる方もいるかもしれません。見た目や事前の情報で感じられたほどの「無限に近いほどの巨大」ではなく、今のところはそれこそ『Skyrim』などから想像できるコンテンツ量をそれほど逸脱してはいません。というか、現段階で想像するぶんには「単にテキストが用意されている物語の総量としては『Skyrim』のほうがやや多い」ぐらいかもしれないです。まだ50時間遊んだだけなので全然わかんないんですけど。
よって、「『Skyrim』の10倍ぐらいクエストがあるのでは!?」なんて期待はあんまりしないほうがいいかもしれないです。もちろん、それでも現代のゲームとしては他に類がないほどのボリュームです。前述のように強くてニューゲームがあるので、「『Skyrim』ぐらいの有限物語量のゲームを無限回遊べる」みたいなものと考えるのがよさそうですね。
おまけ: 言っておきたいこと矢継ぎ早シリーズ
ここからは『Starfield』について“ちょっと言っておきたい”ことを、矢継ぎ早に述べていきます。書くことが尽きなくて困る~!!
■拠点制作やハウジングについて
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着陸できる地表であれば『Fallout 4』や『Fallout 76』みたいな感じで拠点を作ることができますが、筆者はあまり進行できていません。すみません。なにせ、お金も素材も相当に必要なので……。
あと、物件を買って中に家具置くこともできますが、あんまり触ってないです。宇宙船も作って、家も作って、地表に拠点も作って……無限か? 拠点を作る利点もいまいち理解できてなく、例えば「街」のような規模で作れるかも分かっていません。強くてニューゲームするとおそらく作った拠点も消えちゃうので、「いつガッツリとした拠点制作に取り組むか」はちょっと考えておいたほうがいいかもしません。
■宇宙の広さについて
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行ける場所はものすごくたくさんありますが、そのうちのほとんどが“通りがかるだけ”で、少なくともクエスト的な物語を含む冒険を期待する場合、着陸する価値がある星はさほど多く無いように感じられます。明確に言及するとネタバレになるので抽象的な言い方になりますが、とあるクエスト……というか収集要素的なもので非常にいろいろな星に着陸することになるのですが、それもまあちょっと星の表面を歩いたらすぐに他の星に行く、みたいな感じです。
ハウジングや宇宙船改造、武器改造のための素材集めをガチでやろうとすると、いろんな星を探索しなきゃいけなくなるのかも。
■ロマンスについて
ロマンス要素は確認できました。かなり丁寧に描写されており、相手への思い入れが深まりやすいです。このあたりは過去作を超えていて非常にうれしかったです。もちろん“友人のまま”を選択することもできます。何人ぐらいロマンス対象がいるのかは未確認です。今のところ、めっちゃ多いわけではないと思われます。
■人間以外の知的生命体について
50時間遊んだ中では、出会っていません。クエストもほぼすべて人間にまつわるもの。これから出会うのかも不明ですが……このテーマ性だと、めっちゃ出てきそうなものですよね。
『Starfield』はPC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|Sを対象に、9月6日午前9時に発売予定。Game Passにも対応しています。Steam版のプリロードは、現地時間8月30日から可能であり、一部エディションの購入者は9月1日午前9時より先行してプレイできます。