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『Fate/Samurai Remnant』をもっと楽しみたい人へ! 知っておくと考察が捗りそうな「Fate」作品を紹介

知っていると『Fate/Samurai Remnant(サムライレムナント)』を、より楽しめそな「Fate」シリーズ作品を紹介!

ゲーム PS5

本日9月28日に「Fate」シリーズ最新作、『Fate/Samurai Remnant』が発売されました。また、スマートフォン向けアプリ『Fate/Grand Order(FGO)』は、2023年6月に2800万ダウンロードを超え、7月30日には8周年を迎えています。今なお衰え知らずの人気を誇る「Fate」シリーズですが、なかには興味があるけど触れたことがない、『FGO』しかプレイしたことがないという方も多いのではないでしょうか。

元をたどればTYPE-MOONが2004年に発売した、PC向けビジュアルノベル『Fate/stay night』から連綿と続いているシリーズです。長年の展開のなかで複雑化している設定と、それを前提にした多数の派生作の存在。媒体がゲーム・小説・漫画・アニメなど多岐にわたっていることなどから、シリーズに触れたいと思っても、何から入ればよいのか見当がつかない人も多いと思います。

そこで本稿では、最新作『Fate/Samurai Remnant』の発売記念し、知っておくと本作がさらに楽しめるであろう「Fate」作品を筆者の独断と偏見でピックアップ。シリーズの原点『Fate/stay night』を軸に紹介していきます。気になっている作品から触れるのが一番というのを大前提として、この記事を通してシリーズ入門の足がかりになればと考えています。なお『FGO』はご存じの方も多く、紹介記事も多いため本稿では割愛いたします。ご了承ください。

◆ここから全てがはじまった! シリーズの原点『Fate/stay night』

2004年に発売されたシリーズの原点となるビジュアルノベル『Fate/stay night』、舞台は架空の地方都市「冬木市」です。7人の魔術師はマスターとしてサーヴァントと契約し、持ち主のあらゆる願いを叶えるという願望機「聖杯」を巡るバトルロイヤル「聖杯戦争」を戦い抜きます。主人公は「冬木大火災」と呼ばれる大災害のただ一人の生き残りである衛宮士郎。彼は夜の学校でサーヴァント同士の戦いを目撃したことをきっかけに、自身もマスターとして聖杯戦争に巻き込まれていきます。自宅にてサーヴァントの1人・セイバーの召喚に成功した士郎は、亡き養父・衛宮切嗣の「正義の味方になりたかった」という願いを受け継ぎ、犠牲者を増やさないために聖杯戦争を戦い抜くことを決意するという導入です。

PS Vita版『Fate/stay night [Réalta Nua]』

『Fate』シリーズの大枠は、伝説上の人物がサーヴァントと呼ばれる存在として登場し、マスターとともに「聖杯戦争」と呼ばれるバトルロイヤルを戦い抜くというストーリーです。この認識を持っていれば、各作品が理解しやすくなるでしょう。『Fate/stay night』で描かれ、その後シリーズ共通の魅力となった点は、伝説の存在同士を戦わせたらどうなるのかという歴史のifストーリーや、過酷なバトルロイヤルを通して描かれる善悪を超えた群像劇。さらには、突如共闘関係を強制させられたマスターとサーヴァントが獲得する絆と相互救済などが挙げられます。

本作はビジュアルノベルという媒体を活かし、ヒロイン選択に応じて分岐するルートが3つ存在しますが、どれがトゥルーエンドや正史というわけではありません。手を組む相手やシチュエーションにより変化する聖杯戦争の行く末や人間関係から、アンビバレントな理想と現実の狭間で揺れ動くキャラクターの内面を立体的に描くことに成功しています。その一方でどんな状況になろうとも変わらない、それぞれの根底にある理念や矜持が同時に浮き彫りになります。

『Fate/Samurai Remnant』
PS Vita版『Fate/stay night [Réalta Nua]』

『Fate/Samurai Remnant』においても、本作の演出がリスペクトされています。例を挙げるとへたり込んだ宮本伊織とそれを見下ろすセイバーの場面は、衛宮士郎とセイバーの出会いのシーンがもとになっています。この画面構成は通称「運命構図」と呼ばれており、シリーズを代表する印象的なシーンです。ほかの派生作品でも多数オマージュが行われており、『Fate』においてこの構図を用いることこそが、「運命の出会い」かつ「物語が動き出す」象徴となっています。そのほかにも、『Fate/Samurai Remnant』では伊織が遠坂凛と同じく宝石魔術を使用したり、縮緬問屋『巴比倫弐屋(ばびろにや)』の若旦那がギルガメッシュ(らしき人物)だったりと、『Fate/stay night』ファンがニヤリとする要素も多く見られています。また「逸れのランサー」クー・フーリンがはじめて登場したのも本作です。

『Fate/Samurai Remnant』

現在、そんな本作をプレイするには、iOS/Android向けの『Fate/stay night [Réalta Nua]』がよいでしょう。PCゲーム『Fate/stay night』に新規要素を追加したものとなっています。家庭用ゲーム機での展開は、2012年発売のPS Vita版が最後となっているため、手元にゲームハードがない方も多いでしょう。原作となるPC版をプレイすることも可能ですが、2004年まで遡り、対応OSがWindows XPまでのため起動の保証ができません。(2019年発売のPC復刻版も存在しますが、プレミア価格なので現実的ではありません)。また『Fate/stay night』の公式ファンディスクである『Fate/hollow ataraxia』は、スマートフォン向けにリリースされていないため、こちらもPS Vita版が最新となっています。プレイへのアクセスのしにくさはあるものの、『Fate』とはなんぞやという人は、まず『Fate/stay night』をプレイしてみるのはいかがでしょうか。

◆ストーリーの理解に役立つかも!? 聖杯“大”戦が描かれる『Fate/Apocrypha』

『Fate/Apocrypha』は、『Fate/Samurai Remnant』のストーリー監修の1人、東出祐一郎氏が手がけたスピンアウト小説です。『Fate/stay night』の並行世界が舞台で、イレギュラーな聖杯戦争「聖杯大戦」が勃発しており、7人ずつマスターとサーヴァントが赤と黒の陣営に分かれた群像劇が展開します。このサーヴァント計14騎+ルーラー1騎という構図は、『Fate/Samurai Remnant』において(「逸れのサーヴァント」など立ち位置の違いはあるものの)同じであるため、大規模な聖杯戦争が起きたとき戦況はどう移り変わるのかという参考になるかもしれません。

また作中でサーヴァント・天草四郎とジャンヌ・ダルクの活躍が描かれますが、『Fate/Samurai Remnant』には生前の天草四郎が指導者となった農民一揆、「島原の乱」の生き残りである地右衛門がマスターとして登場します。そして地右衛門のサーヴァントであるランサーは、ジャンヌ・ダルクの別側面であるジャンヌ・ダルク〔オルタ〕のように見えます。そのため『Fate/Samurai Remnant』において、『Fate/Apocrypha』はストーリーを読み込むための補助線になるのではないかと考えています。そしてスピンアウトということで、本作からでもシリーズに入りやすい点も今回取り上げた理由の1つとなっています。

『Fate/Samurai Remnant』

◆人気キャラクターが続々登場!『Fate/EXTRA』/『Fate/EXTRA CCC』

『Fate』シリーズ初のRPGとして登場した『Fate/EXTRA』は、舞台が近未来の月へと移りSF色が強くなっています。またビジュアルノベルであった『Fate/stay night』とは異なり、「アタック」、「ブレイク」、「ガード」という三すくみの関係であるバトルコマンドを使い分け、戦闘を行うRPGです。聖杯戦争という過酷な闘争を学園生活を通したトーナメント方式で描いており、王道の成長物語となっています。先述したシリーズの魅力も凝縮されており、『Fate』のなかでは特に万人受けするタイトルだと言えるでしょう。また人気サーヴァントであるネロ・クラウディウス玉藻の前、『Fate/Samurai Remnant』における「逸れのアサシン」こと李書文が、若き頃の姿で初登場したのも本作です。

ただ『Fate/Samurai Remnant』に大きく関わるのは、本編のifストーリーかつ続編の『Fate/EXTRA CCC』となります。こちらの玉藻の前エンディングで登場した8人の派生キャラクター「タマモナイン」、その内の1人タマモアリアが『Fate/Samurai Remnant』に登場するのです。『Fate/EXTRA CCC』では月の表側でストーリーが繰り広げられていた前作と異なり、突如閉じ込められてしまった月の裏側からの脱出を図るため。ダンジョン「サクラ迷宮」の踏破を目指すというシナリオとなっています。またサーヴァント・ギルガメッシュとパートナーになれるのも、現状『Fate/EXTRA CCC』だけのため、彼のパーソナリティの掘り下げにもうってつけです。

『Fate/Samurai Remnant』

「EXTRA」シリーズはPSPでのみ展開しているため、現状PSPソフトを手に入れるか、PS Vitaでダウンロード版を購入するしかプレイする方法はありません。そのため勧めにくい作品ではありますが、手元にハードがある方はぜひ手に取ってもらえたらと思います。また発売日は未定ですが、『Fate/EXTRA』のフルリメイク作品『Fate/EXTRA Record』が開発中ですので、そちらを待つというのも1つの手でしょう。


本記事では膨大なシリーズ作品のなかから、『Fate/Samurai Remnant』と特に関連が高いと考えられる作品をピックアップしました。今回はそれぞれゲームや小説などオリジナルの媒体で紹介しましたが、アニメや漫画でも展開しているため、自分が手に取りやすい媒体で触れてみてください。この記事でシリーズの魅力をすべて伝えきれたとは思わないですが、『Fate』の世界へ飛び込もうとしている方に向けて、背中を押すことができたらと思います。

(C)TYPE-MOON/コーエーテクモゲームス All rights reserved. 制作協力 アニプレックス

(C)TYPE-MOON / KADOKAWA SHOTEN

《SIGH》

RPGとADVに強いと自称するライター SIGH

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。

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