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東京ゲームショウ2023の注目ブース!
今回筆者が目をつけたのは、インディーパブリッシャーGamera Gamesです。ブースで公開されていた個性的な作品群からいくつかを選んでプレイしてみました!
「宝箱」が主人公のRPG
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「もしもRPG世界でこんな職業だったら」という内容のアニメが、いくつも登場しています。
たとえば、もしも主人公が宝箱だったら?
「それってミミックじゃないの?」と返されてしまうかもしれませんが、そうではありません。ほら、ミミックってのはあくまでも宝箱みたいな見た目のモンスターで、凶暴そうな牙を持ってるでしょ? そうじゃなくて、正真正銘本物の宝箱がRPGの主人公になったら……。
自分でも何言ってるか分からなかったりするのですが、そんな「宝箱が主人公」の『俺は宝箱だ、君は?』というタイトルのRPGゲームが存在します。
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野外にぽつんと置かれ、誰がいつそれを開けるのか分からない状態の宝箱。大したものは入っていなさそうな感じですが、ともかくそんな宝箱がある日突然しゃべれるようになり、さらに自由に行動できるようになってしまう……というところから物語は始まります。
生まれて初めて自由を手にした宝箱くん。しかし、宝箱故に出くわした勇者からモンスターと間違えられ、そしてモンスターからも不審がられます。
ちょうどいい「おふざけ感」
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登場キャラも個性的……というより、「ああ、現代日本人の好みをよく捉えてるな」といった感じのキャラが出てきます。
人(というより宝箱)の話をまったく聞こうとしない血気盛んな勇者、そして自分自身が勇者になりたいと考えているスライム……。小説投稿サイトを見ればいくらでも出てきそうな設定と書けばそれまでですが、しかしこのゲームにはちょうどいいレベルの「おふざけ感」があります。
誰にとっても程よく笑えるコメディー作品、と書けばいいでしょうか。
懐かしのピクセル風アクションRPG
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その一方で、シリアスなトーンのRPGも展示されていました。
『ガーラント:冒険物語』は、大災害で荒廃した世界が舞台のアクションRPG。主人公はギルドでの仕事をこなしつつ、荒れ果てた村の再建も手掛けます。
この作品は各メディアでは「ピクセル風RPG」と呼称されていたりしますが、それは90年代前半のPCゲームを思わせる画風に由来します。フィールドから背景、題字、イベント毎の一枚絵、そしてキャラの顔グラまで全てピクセルアートだった時代のゲームを彷彿とさせる画風です。
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もしかしたら、Z世代にとってはむしろ新鮮なタッチではないでしょうか。ピクセルアートというのは文字通り「職人芸」で、全国各地の伝統工芸と同じく「失われつつある技術」でもあります。
アクションシーンも、古き良きスーパーファミコン時代を思い出させる感じで90年代育ちの筆者は好感を持てました。こんなゲームがあったのか!? とついつい唸ってしまったほど。
今後要注目のパブリッシャー
Gamera Gamesのブースでは、その他にも「個人制作者による注目作」の試遊が行われていました。
脱出ホラーゲーム『文字化化』は、女性向け恋愛アドベンチャーと言語解読要素が加わった怪作として知られています。アツマールとBOOTHで試作版が公開されていた本作ですが、現在はSteamで序章をプレイすることができます。
このように、パブリッシャーとしてのGamera Gamesは「インディーゲームの宝箱」のようになっています。大きな可能性を秘めつつも、まだ広くは知られていない作品を上昇気流に乗せる役割を担っている……と表現すれば適当でしょうか。
それは、世に知られず埋没するにはあまりに惜しいゲームがまだまだ存在するということでもあります。また、ゲーム業界におけるパブリッシャーの役割を改めて実感することもできます。ゲームというものは「作る人」の他にも「配信する人」が必要です。このあたりはゲーマーにとっては常識ですが、そうでない人には殆ど知られてなかったりも……。
意欲的なパブリッシャーが送り出す作品に、今後も要注目です!