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『ダンガンロンパ』『レインコード』の小高和剛氏と『レイトン』シリーズの日野晃博氏が語る“心に残る推理ゲームの作り方”とは【TGS2023】

『ダンガンロンパ』シリーズの小高和剛氏と『レイトン』シリーズの日野晃博氏が“心に残る推理ゲームの作り方”について対談した様子をレポートします。

ゲーム イベント

「推理ものの作品」は、近代文明の象徴と言えます。

人類が高度な文明を構築すると、そこに住む人々の学識レベルも向上します。すると、犯罪のレベルも「単なる殺人や傷害」から「いかに警察にバレずに目的を成し遂げるか」という具合に高度化されていきます。そして、誰よりも優れた頭脳を持つ犯人のトリックを見抜く役割――即ち「探偵」が職業として確立していきます。

東京ゲームショウ2023のレベルファイブブースにおいて、『ダンガンロンパ』シリーズで有名なトゥーキョーゲームス代表の小高和剛氏とレベルファイブ代表取締役社長の日野晃博氏による対談イベント「心に残る推理ゲームの作り方」が開催されました。我々の頭、そして心にもその印象が刻まれるゲームの作り方とはどのようなものなのでしょうか?

◆『Life is Strange』や『Detroit: Become Human』など3Dのリッチなゲームを意識して作られた『超探偵事件簿 レインコード』

対談の最初のテーマは「最新作へのこだわり」。

小高氏といえば、最近は『超探偵事件簿 レインコード』のヒットが話題になりました。本作について小高氏曰く、

「海外では『Life is Strange』や『Detroit: Become Human』といったタイトルがありまして、僕はそういう3Dのリッチなゲームを作りたいと思っていました」

とのこと。その上で、作中に使われるトリックはどのように考えたのかという話題にも言及します。

「小説家の北山猛邦氏と一緒に考えました。『ニューダンガンロンパV3』の頃から北山氏とは一緒にやっているのですが、僕の考えたプロットを出して北山氏にネタを出してもらうという感じのディスカッションでトリックを作り上げます」

◆心に残っている推理ゲームは?

小高氏は、自身の手掛けた『レインコード』に対してこのような想いを語ります。

推理ゲームをやったことない人もやってほしい、という思いがあります。大抵の人が考える推理ゲームというのは、“文字ばっかり”の地味な感じの内容です。しかし、『レインコード』では、ダンジョンを進みながら謎を解いていきます。何ですかね……ディズニーランドのアトラクションの中を進みながら謎解きをする感じです

そんな小高氏の姿勢は、次の議題である「心に残っている推理ゲーム」でも見て取ることができます。

「僕は『クロス探偵物語』が心に残っています。このゲーム、かなり残酷なんですよ。死体が鯵の開きのようになったり、熱湯シャワーで死んだり。爽やかな絵柄なんですが、結構グロいんです。僕が推理ものを好きになった原体験は江戸川乱歩なんですが、そういう“怖いけどハラハラしながら謎を解く”というのが好きなんです」

一方の日野氏は、「心に残っている推理ゲーム」として『ポートピア連続殺人事件』を挙げました。

「僕はPC版でプレイしましたが、あの作品は面白かったです! 犯人が意外な人物でしたね」

『ポートピア連続殺人事件』は、その犯人が今でもネタとして取り上げられることのある名作です。日野氏と同様に、衝撃的な結末に驚かされた人は少なくないはずです。

なお、日野氏はPCプレイ勢でしたが小高氏はこのゲームをファミコンでプレイしていたとか。

「僕はファミコン版でやりましたが、意外な人物が犯人というのはこの『ポートピア連続殺人事件』が初めてではないでしょうか? ここからアドベンチャーゲームが流行したんですよね。僕は『さんまの名探偵』も好きです。キャラゲーと思いきや、『さんま』も結構怖い場面があります」

◆ゲーム作りでこだわるところ、こだわらないところ

アドベンチャーゲームの制作は「こだわり」の世界です。

どこにこだわり、どう造形を施していくか。「ここだけはゆずれないゲーム作りのポイント」という議題で、両氏のこだわる部分についても大いに語られました。

「こだわるところ、こだわらないところを見極めないといけない」と話す小高氏。

「僕は中堅企業にいたため、予算がない中でゲームを作らなければならない経験をしました。従って、こだわるところとこだわらないところを見極めないと予算内でゲームを作ることができないわけです。こだわるところはこだわりますけど、そうでないところは“もういいよ”です」

それに対して日野氏は、こう付け足しました。

「それは先ほどの『ポートピア』を手掛けた堀井雄二氏もそうです。あの人は、取捨選択をはっきりするんですよ」

アドベンチャーゲーム制作は、煮詰めようと思えばどこまでも煮詰めることができるジャンルでもあります。しかし、それではやはりキリがないようで、開発陣は取捨選択をきっちりしなけばならないとのこと。

次に、日野氏の「こだわり」に対しても話が及びました。

「僕はプレイヤーにはエンディングまで観てほしいとは思ってますが、たとえ10時間しか遊んでもらえなかったとしてもその10時間を濃密なものにしてあげたいと思っています。その世界観に入るまで、その世界観を好きになってもらえるまでの展開を大事にしています」


以上、内容の一部ではありますがアドベンチャーゲームの巨匠による対談の様子を書き起こしてみました。

ゲームの技術的進化は、それまで「地味なジャンル」だったアドベンチャーゲームに新しい可能性を与えています。今後、どのようなアドベンチャーゲームが登場するのか。このジャンルの動向には要注目です!

《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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