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『スーパーマリオRPG』のミニゲーム「ばくれつカブトムシ」は、ある意味で本編を超えてしまったのではないでしょうか。
物語の中盤、キノコ王国の宿屋の少年からコイン500枚で譲ってもらえる「ばくれつカブトムシ」は、シンプルながら極めて奥の深いシューティングゲーム。カンストの9,999万9,999点に挑戦するプレイヤーは、今も続々登場しています。
今回はこの「ばくれつカブトムシ」について、1996年発売のスーパーファミコン版と2023年発売のニンテンドースイッチ版を比較してみましょう!
◆大量連鎖を目指せ!
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「ばくれつカブトムシ」は自機の操作こそ「スペースインベーダー」に似ていますが、それ以外は全く異なる内容です。
星を撃ち出すカブトムシを操作して、降り注ぐ亀の甲羅を撃破していきます。この甲羅は破裂するとさらに星を出し、それが他の甲羅を撃破してさらにその甲羅から星が出て別の甲羅が……というように連鎖します。
連鎖による得点は倍々で、場合によっては瞬時に数万点もの得点を稼ぐことが可能です。
『スーパーマリオRPG』が発売された1996年当時、ゲームの中に別のゲームが収録されているということは子供たちを虜にする要素でもありました。もちろんその点はゲーム開発企業もよく心得ていて、当時のゲームソフトは「いかにミニゲームを盛り込むか」ということがある種の流行だった気がします。
ただし、作品によっては本当に「ミニ」ゲームというクオリティーしかない場合も多々……。いつの時代も、子供の目は厳しいもの。「子供騙し」は子供には通用しないものです。
しかし、「ばくれつカブトムシ」は別格でした。その証拠に、このミニゲームのスコアに挑戦する動画が現代にまで、数多くのゲーム実況者によって配信されています。
◆「ばくれつカブトムシ」の基本的攻略法
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そんな「ばくれつカブトムシ」、先日ニンテンドースイッチ向けに発売されたリメイク版ではグラフィックも大幅進化……しているわけではありません。むしろ、このあたりだけは保守的というか、オリジナル版とほぼ変わりのないグラフィック(の見た目)です。
では、どこが変わっているのか。
「ばくれつカブトムシ」の基本的な攻略法は、既によく知られています。まず、カブトムシを左右どちらかの端に寄せます。星を撃たずに程良い数の甲羅を画面内に集めて(集め過ぎるのは良くないとも)、できるだけ効率的な連鎖を狙います。
リメイク版でも、この攻略法は健在。シューティングゲームが苦手な人でも、上手くハマれば「ポコポコポコ」という快音と共に甲羅が弾け、あっという間に万単位の点数が発生します。いやー、気持ちいい!
◆オリジナル版につきまとっていた「処理落ち」
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さて、筆者は『スーパーマリオRPG』の記事を書くにあたり、スーパーファミコンミニ(いわゆるミニスーファミ)に収録されているオリジナル版を、リメイク版と同時並行でプレイしています。
それよりも古い記録、まさに少年時代の筆者が『スーパーマリオRPG』を遊んでいた時は「処理落ち」という現象がありました。大量連鎖を映像で処理し切れない、というものです。しかも、割と早い段階でそれが起こっていたような……。当時の子供たちの間では「処理落ち」などという専門用語は普及しておらず、それ自体がゲームの一部だと思っていたため、「おいおいおい、これ酷い処理落ちじゃねぇか!?」などと文句を言う奴はいませんでした。
このあたり、ミニスーファミとは別に当時のスーファミ版を持っていれば3機種の比較ができたのですが、いずれにせよリメイク版ではそのような問題は発生しません。徹頭徹尾快適な環境下でハイスコアを狙うことができます。時代は進化したものだ!
ただ、繰り返しますがそれ以外の要素はほぼオリジナル版と変わりません。即ち、本気でカンストを目指すとしたら数時間かかってしまうという意味でもあります。これはもう、やるとしたらまるまる1日潰す覚悟で臨まないと!
◆名作に収録された名作
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なおこの「ばくれつカブトムシ」というミニゲーム、作中ではマリオが少年から500コインで譲ってもらったということを上述しました。実はリメイク版では、「少年がこのゲームをどのように入手したか」が説明されています。とある人物が遊んでいたのを買ったとのことですが……それ以上の詳しいことは本編をプレイしていただけたら幸いです!
『スーパーマリオRPG』が登場した1996年、すでに家庭用ゲーム機は16ビット時代から32ビット時代に突入していました。先鋭的な子は「旧世代機」となったスーファミに見切りをつけ、プレイステーションやセガサターンにシフトする……ということも。その中において、それでも『スーパーマリオRPG』は名作として広く認識されました。「ばくれつカブトムシ」がその一因を担っていた、というのは決して考え過ぎではないはずです。
“名作の中に収録された名作”は、2023年においても不動の価値を放っています。