2024年1月26日、ついにシリーズ最新作『鉄拳8』が陽の目を見ることとなります。本作の発売に先駆けて、バンダイナムコ未来研究所にてメディア体験会が行われました。
『鉄拳7』から9年……「全力」×「破壊」をコンセプトにあげる次世代の戦いの模様を一足先にお届けします!
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今回の「鉄拳」はひと味違う! メーカーからプレゼン
1994年にアーケードに登場し、来年30周年を迎える鉄拳は、全世界で5500万本ものセールスを記録しており、3D格闘ゲー厶の頂点に君臨しています。本作ではフォトリアルな破壊表現と、快適なオンライン対戦に主軸が置かれており、誰でもすぐに遊べるような工夫が随所に盛り込まれているといいます。
特に「スペシャルスタイル」という入力方法を選択すると、ボタン連打でコンボが出たり、ワンボタンで切り返し技が使えたりと、初心者を意識した調整がなされているとのこと。32人のキャラクターと16のステージを誇る本作……その中身が実際どうなっているか、ひとつずつ見ていきましょう!
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濃密な『鉄拳』の世界! ストーリーからキャラクターカスタマイズまで幅広く体験
今回の試遊会では、Story Mode、Arcade Quest、Character Customizeなどの項目に分けて体験しました。
Story Mode
Story Modeを起動すると、まず『鉄拳』から『鉄拳7』までの戦いをダイジェストストーリーで振り返ることができます。『鉄拳8』では当たり前のように歴代キャラクターたちがドラマに登場するので、できれば観ておいたほうがいいかも?
前作で三島平八を亡き者にし、三島財閥と世界を牛耳った一八。各地で紛争を起こす一八を止めるために、風間仁がバイクで登場して彼を急襲します。
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ここからがプレイアブル。仁と一八が殴り合うカットシーンと、仁を操作して一八を倒すバトルが交互に遊べます。
本モードでは先述したスペシャルスタイルの使用がおすすめされ、それだけでなくStory Mode内限定のスペシャルスタイルとして一部の動きが変更されているようです。(相手との距離や、押すボタンによってさらに細かく変わっているとのこと)初心者だけでなく、鉄拳の既プレイヤーも、ここは敢えてスペシャルスタイルに身を任せてみましょう!
演出もバッチリで、叩きつけられる度に地面が細かく割れ、エフェクトが画面を覆い、大技はいちいちスローモーションがかかります。『鉄拳7』よりもさらに輪をかけた超ド派手な破壊表現を堪能できました。
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筆者が「おっ!」と思ったポイントは、カットシーン中の一八の攻撃に対して「回避」と「反撃」の2種類のQTEが選べるという点です。その後のシーンが少し変わるだけでしたが、ただのQTEでも2種類あると受ける印象が変わりますね。
仁を退けた一八は、強き者が統べる時代を取り戻すために、「The King of Iron Fist Tournament」の開催を宣言します。なんと今回は、負けた選手の国が滅ぼされてしまうというヤバすぎる条件付き! 「それって出ない方が得なのでは」というツッコミが頭をよぎりましたが、めちゃくちゃブチアガる設定なのは間違いないですね!
こちらのStory Modeは風間仁を主に使用する形になりますが、他にも多くのキャラクターがプレイアブルとして登場するとのことです。お楽しみに!
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Arcade Quest
続いて、Arcade Questをプレイしました。こちらは仁や一八といったキャラクターたちがドンパチしてる世界とは異なり、『鉄拳8』がビデオゲームとして売られている世界で、1人の格ゲーマーとしてのし上がっていくストーリーになっています。
ゲームを始めると、打撃やガードといった超初歩的なところからチュートリアルが入ります。格ゲーをまったくやったことがない人でも、すぐに入れるような配慮がなされています。
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ここでのポイントは、チュートリアル項目が長すぎないところでした。とても簡単なシステムの説明だけしたら「じゃあCPUと対戦しよう」ということになり、さっき覚えたことを試すことに。あまりに多くを教わると全部忘れてしまうので、この辺の塩梅も素敵ですね。
地元のゲーセンで基本を覚えたら、次は遠征し、何やら怪しげなエリアへ……そこでは「Super Ghost Battle」というモードが遊べます。
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なんとこのモードは、プレイヤーの今までの行動をAIが覚え、その動きを反映するというもの。遊べば遊ぶほど自分の癖が見えてきて「あー、起き上がりにこれしがちなのか……」といった具合に、自身の弱点がわかる仕様になっています。
反面教師であり師匠でもあるGhost君との戦いは、オンラインマッチとはまた違った面白さがありました! フッ、なんだその見え透いた“ぶっぱ”は……あ、俺が覚えさせたのか……。
本当に面白いモードだったので、すべての格ゲーに採用して欲しいくらいですね。
Customization
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また、対戦以外の面では、キャラクターカスタマイズが面白いです。今作は最初から32キャラもいるにも関わらず、1キャラごとに専用コスチュームの別パターンがあり、尚且つ何十種類もの汎用衣装やアクセサリーも用意されています。おバカなコーデにするも良し、さらにゴテゴテするのも良し、カッコよくも可愛くもできるのはかなりの好感触です。
本作からの登場となる新キャラクター「麗奈」のカスタマイズをいじりながら「対戦中は強気な発言ばかりしてるけど、普段着は女の子っぽいっていうの、マジでイイじゃん……」とニヤニヤしていましたが、メーカーの人に横から見られていたかもしれません。
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『鉄拳8』はどう進化していくのか? メディア合同インタビュー
試遊後、メディア合同インタビューの機会がありました。開発秘話や気になるポイントを、『鉄拳8』開発プロデューサー兼ゲームディレクターの池田幸平氏と、「鉄拳」シリーズマーケティングプロデューサーの安田直矢氏が余すことなくお話してくださったので、その模様をお届けします。
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画像左:『鉄拳8』開発プロデューサー兼ゲームディレクター 池田幸平氏
画像右:「鉄拳」シリーズマーケティングプロデューサー 安田直矢氏
Q.本作では自分のリプレイを見ながらすぐにプラクティスに移行できるのが素晴らしかったです。この発想はどこから来たのですか?
A.自分は元々ゲームメディアで格闘ゲームの攻略DVDを作っていたことがあります。そんな経験もあり、コンボや確定反撃をリプレイの中でプレイヤーに教えたいという意識が芽生えました。『鉄拳7』にも似たような機能はあったのですが、プラクティスにわざわざ行かなきゃいけなかったので、その点を改善しました。
Q.スペシャルスタイルで遊んでいたのですが、プラクティスでゲーム側に提案されたコマンドがアーケードスタイル(従来の入力方法)のものでした。これはどういう意図でしょうか?
A.『鉄拳8』のスペシャルスタイルはあくまで、初心者が鉄拳の世界に入る時の足がかりになるものを目指しております。
なので、Arcade Questは基本的にアーケードスタイルで遊んでいただくように作りました。とはいえ、要望があればご質問いただいた点についてアップデートすることも有り得るので、まずは皆さんの反応を拝見させていただければ幸いです。現状は、ワンボタンでいつでもスタイルを変えられるので、それで対応していただければと思います。
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Q.初心者に対する遊び方の想定をお聞きしたいのですが。
A.まずはスペシャルスタイルでStory Modeを遊んでいただき、続いて32人いるキャラクター全てに固有のストーリーもありますので、そちらの気に入ったキャラクターも触って欲しいです。そして、Arcade Questでアーケードスタイルに触れて、鉄拳の世界にハマっていってほしいと思っております。
Q.今作から鉄拳シリーズを始めた人はストーリーに出てくる固有名詞が分からないと思うのですが、用語集などはありますか?
A.GALLERYモードから鉄拳シリーズナンバリングタイトルの大まかなあらすじがわかる動画を観ることができます。
用語集も要望があれば作りたいと思っております。今作を開発するにあたってスタッフ間で参照するための用語集は作ったので、それを直して皆さんにお見せすることも有り得るかも知れません。何せ大体の設定は原田の頭の中にしかなくて、彼もよく忘れているので(笑)。
Q.選択肢などによってストーリーは分岐しますか?
A.ちょっとしたセリフは変わりますが、大きくは分岐しません。
Q.今作も多様な格闘技を取り入れ、専門家にモーションキャプチャーや指導を頼んでいるかと思われますが、今回は格闘技界のこういったトレンドを追いかけたということでしょうか?
A.トレンドを追いかけているつもりはなく、あくまでキャラクターコンセプトに合ったイメージが先にあり、その中で実在の格闘技の先生に協力をお願いしているという形です。逆に言えば、1,000年前の格闘技を再現しようとしてもモーションキャプチャーの取りようがないので、そう見えるのかもしれません(笑)。
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Q.今作のStory Modeのボリュームを教えてください。
A.『鉄拳7』の1.5倍はあります。キャラクターエピソードも多いですし、予算もエグいです(笑)。伝えておきたいのは、ストーリーを始めとするオフラインのシングルプレイモードだけでも、何十時間も遊べるほどボリュームがあるということです。
Q.来年の30周年企画について、用意しているものがあれば教えてください。
A.まだ多くは語れませんが、我々はゲームやeスポーツの面では長きに渡ってコンテンツを提供できていましたが、たとえば音楽やイラスト募集などの外側のコンテンツについてはまだまだご用意できてないと考えています。その辺りについて発表出来るものがあるかもしれません。
Q.GhostのAIの挙動なのですが、こちら側が上達したら向こうも下手だった頃のコンボを忘れたりするのでしょうか?
A.はい。当然AIの記憶容量に限界があるので、その際に古いものは忘れていきます。
Q.アズセナのステージに宇宙人がいて笑ってしまいました。こういう遊び心は他のステージにもありますか?
A.はい。実はそいつはグレイというキャラで、『鉄拳7』にもいたのですが、その時は背景アーティストが勝手に描いただけでした。今回は我々からお願いして、色々なイースターエッグを入れておりますので、ぜひ探してみてください。
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Q.Character Customizeはオンライン対戦でも反映されますか?
A.はい。ランクマッチで相手の動きが見づらくならないように調整し、その問題がない装飾品だけが実装されています。
Q.試遊でオフラインのCPUと戦っているだけで段位が上がってしまったのですが、こちらはオンライン対戦の段位とは別ですか?
A.別です。安心してください。普段はオフラインしか遊ばないプレイヤーでも、オンライン対戦と同じように自分の段位が上がっていく喜びを感じて欲しいと思い、実装しました。
Q.今作では純粋な殴り合いだけでなく、銃やヌンチャクを使うキャラクターも見受けられました。これはどういった意図がありますか?
A.鉄拳もキャラクターが増えてきて、似たような攻撃や似たような技が出てきてしまったので、今一度キャラクターの個性を見直しました。ニーナだったら「デス バイ ディグリーズ」で銃を使っていたように、それぞれのキャラに合った武器を用いております。
Q.キャラクターごとのエピソードにも、メインストーリーと同じような豪華なカットシーンはありますか?
A.リアルタイムレンダリングではありますが、キャラクター同士の掛け合いなどは存在します。キャラとキャラの関係性などをより深く味わっていただければと思います。
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以上、『鉄拳8』メディア体験会レポートをお送りしました。凄まじい迫力、大ボリュームのコンテンツ、入り込みやすいチュートリアル、あまりに意欲的なAIゴーストなど、格ゲーに新たな旋風を巻き起こすのは確実の内容でした!
キャラクターも出揃い、あとは発売を待つだけ。今から『鉄拳7』で予行練習だ!
『鉄拳8』は、2024年1月26日にPS5/Xbox Series X|S/Steamで発売予定です。