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【特集】『アバター:フロンティア・オブ・パンドラ』プレイレポート。ルーツを絶たれたナヴィは伝承を取り戻せるのか?映画に繋がるパンドラの世界が目の前に

パンドラの「習わし(Way)」を会得して、ナヴィの魂を取り戻そう。

ゲーム プレイレポート

未だに破られない世界興行収入1位を記録し、映画の3D投影普及の立役者となった2009年の「アバター」から14年。第2作「ウェイ・オブ・ウォーター」の公開に併せて、映画と平行する物語を描くゲーム『フロンティア・オブ・パンドラ』が12月7日にリリースされました。

「アバター」のゲーム化は初作の時の『アバター THE GAME』に続く2作目ですが、映画に匹敵する表現力を実現した新世代機によって、映像で観たものと同様の色鮮やかな世界を自分の手で探検できるようになりました。他の大作のように関連作が多く出ているわけではないので、「アバター」の世界を本編以外で楽しめる貴重な作品でもあります。

「アバター」の物語は、惑星パンドラの種族「ナヴィ」と、資源を求めて土地を奪おうとする「RDA(Resources Development Administration)」の戦いが描かれます。ゲーム内では基本的な説明は省かれているので、隅々まで描写を把握するには少なくとも映画第1作めを観ていることが前提ですが、“自然を壊す悪い人間と戦う”という構図が分かればプレイ上問題ありません。

ナヴィは身長が3メートル近く(大体ドミトレスク夫人ほど)あるうえ、身体の頑丈さは常識外れ。多少高いところから飛び降りても平気で、人間の建物を移動するときは屈む必要があるなど、巨体を意識するアクションは人間とは違ったプレイ感覚をもたらしてくれます。

逆にメインの敵であるRDAは人間なので、自分よりもスケールが一回り小さい存在を相手にします。描写としては正しいものの、他のゲームと比べて映像的な迫力での物足りなさは否めません。あくまでも「ナヴィの視点」を体験できることに意味があるので、プレイに当たってはそのあたりの納得が必要です。人間視点から見たナヴィの矢の迫力は是非映画の方で。

プレイヤーは部族の生き方を知らない若いナヴィとして、パンドラの文化を学びながら侵略する人類への抵抗に加わります。元RDAの人間と英語が通じる若い世代のナヴィで構成されたレジスタンスでは、ナヴィと人間の技術を組み合わせた装備を製作しています。主人公が使える武器は伝統的な弓矢とアイテムスリングに加え、アサルトライフルやスタングレネードなどの現代FPSでお馴染みの武器(特注のナヴィサイズ)です。人間の武器は弾薬の補給が限られているので、主に使うのは植生から矢弾を作れるナヴィの武器になるでしょう。

パンドラの動植物の多くに利用方法があり、食事から武器防具の強化まで、狩猟採取の知識を体得することでプレイを大きく有利に変えていきます。ナヴィの強靱な体力にはこまめな食事が欠かせず、折を見て果実や肉を獲らなくてはなりません。

植物なら限られた植生場所、動物なら縄張りの範囲があるため、必要なものがどこに行けば入手できるかを徹底的に記憶しましょう。特に回復できる果実は持てる数が多くないので、危なくなったら水辺で補給するといった現地調達の思考に順応することが肝心です。

利用用途のあるもの以外の動植物にも「手引書」の項目が用意されており、ナヴィ語の名称や、ゲームや映画で描写されない慣習などの細かい説明が載っています。原作が膨大な設定で構築されているだけあって、インタラクティブな設定資料集としても楽しめます。

ナヴィは部族ごとに友好度が存在し、アイテムの納品やクエストの解決によって貢献が認められると、貴重なアイテムと独自の武器防具のデザインを受け取れます。強い武具はデザインを基に自分で集めた材料を使って組み立てるのですが、材料には採取の状況で変わるコンディションがあり、特に天候によって強さが変わります。状態の良い素材が取れるタイミングを見計らって集める工夫が必要です。

ナヴィの生活圏には目立った道はないので、ナビゲーションをオフにすれば景色と音を頼りに行動することになります。それらの環境を把握して有利に利用できるようになるには時間がかかりますが、繰り返していくうちに慣れていって、道なき道を自分の庭のように駆け回れるようになる。RDAの撃退という目標はあるものの、部族との交流を通じて狩猟採取の知識と技、則ち「生き方(Way)」を身に付け、ナヴィの魂を取り戻していく過程、それこそが本作におけるゲーム体験の肝なのです。映画を観てナヴィの文化に惹かれた人には、是非プレイして欲しい作品です。

「アバター」シリーズの物語は先住民族と欧州からの入植者の争いがモチーフ。『フロンティア・オブ・パンドラ』の冒頭ではナヴィの子供達を一族から引き離し、無理矢理人類の価値観を強制する教育を行っていました。RDAは彼らを少年兵として育て、パンドラ侵攻の戦力とすることを画策したものの、映画で起こったナヴィ蜂起により撤退。主人公はそこから脱出して、パンドラを荒らすRDAを撃退する反抗に加わります。

この場面のモデルになったのが、北米各地で行われた同化政策のひとつ「寄宿学校」です。アメリカ、カナダにおける歴史の闇であり、ここ数年の新しい動きで注目されているトピックです。

先住民寄宿学校(IRS)は開拓の障害となっていた先住民を弱体化させるため、若い世代を拉致同然に収容し、文化の継承を断つことを目的に設立されました。『メタルギアソリッドV』のコードトーカーが経験したのもこの寄宿学校。19世紀から1980年頃まで約150年間続けられ、入れられたのは15万人に上ります。

学校では虐待が横行し、非人間的な扱いを受けていました。カナダで記録されているだけでも4000人近くが死亡していて、さらに近年の跡地調査では1校ごとに数百人の遺体が新たに発見されました。カナダ議会は2022年に寄宿学校を「ジェノサイド」と認定。同年にローマ教皇が正式に謝罪を表明しました。ここで教育を受けた人たちは先住民のコミュニティにも戻れず、失われた文化の回復は大きな社会問題になっています。

映画で人間のジェイクが部族に馴染んでいく過程に似ていますが、『FoP』の主人公はナヴィでありながらナヴィでないという複雑な立場。RDAの手先ではないかと疑う視線が突き刺さります。滅んでしまった部族の伝承をさがす一方で、人間がもたらした便利な道具も手放せない。「二つの世界」の狭間で生きるナヴィのアイデンティティはどこにあるのか?新しい角度から描写されるパンドラにも注目です。


アバター:フロンティア・オブ・パンドラ -PS5
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《Skollfang》
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