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『ドールズフロントライン2:エクシリウム』がついに本国でリリースされ、現在注目を集めています。bilibiliの人気ランキングでは『原神』『Fate/Grand Order』を抜き去り、App Storeにおいても根強い人気をほこるテンセントのMOBAタイトル『王者栄耀』にも勝利しました。
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「クレヨンしんちゃん」との謎コラボによって野原しんのすけブーストを得た『Project: Fun Party(元夢之星)』もアツいタイトルなのですが、やはり日本国内では『ドルフロ2』への高い関心が見受けられます。
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2021年6月ごろに開設され、長らく投稿もないまま放置され続けてきた日本版公式のアカウントと思われるものも、来年2024年ごろには何かしら動きを見せてくれたらなぁと思うところですが、果たしていつ動き始めることでしょうか...。さて、今週も注目のタイトルを3選ピックアップしていきます。
※本稿では、システム上の関係で簡体字で表記すべき部分もすべて繁体字に置換しています。
◆『FIRE WARRIA II』
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12月22日に中国でリリースされた『FIRE WARRIA II』。本作はアニメ調グラフィックのモバイル向けの5vs5チーム対戦シューターです。タイトルに「II」とあるように、シリーズ第2作目の作品となっています。
取材中に驚いたのは作風の方向性がシリーズ第1作目と大きく変化したという点でした。1作目はもっと人を選びそうな雰囲気のキービジュアルが多用され、キャラクターデザインも独特です。雑なまとめ方をすれば、(日本人から見ると)中国のゲームっぽさが強すぎたのです。
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それが『FIRE WARRIA II』からは、昨今の美少女ゲームトレンドに乗るように、女性キャラクターは皆美少女キャラクター化、男性キャラクターも首に手を当てて肩が凝ってそうなイケメン風に軒並みデザイン変更されています。
ゲーム内のグラフィックもアニメ調な3Dモデリングで大幅にパワーアップを遂げていますが、本作はFPSなので、戦う自キャラクターの姿をじっくり楽しむことができないのは少しばかり残念でもあります。
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アニメ調ライクなシューターといえば、以前インサイドで紹介した『CALABIYAU』のPC版が中国では人気を博しています。こちらは今後スマートフォン版も登場予定なのですが、現在は開発中の状態にあるようです。
ほかには既に日本上陸を果たしている美少女TPS『スノウブレイク:禁域降臨』も、長期的にbilibiliのランキング上位に君臨し続けています。
『スノウブレイク:禁域降臨』の方は、非常にハイクオリティな3Dゲームで、マルチプレイもしっかり楽しめるのですが、日本では伸び悩んでいるのが現実です。なお、こちらに関しては近々Steam版の配信も決まっています。
シューティングゲームはどの国でも比較的高い人気を誇るジャンルですが、その流れは中国でも同じといえるでしょう。
キャラクタービジュアル、ゲーム内グラフィックなど、諸々の要素を大きく一新した『FIRE WARRIA II』は、現在『ドルフロ2』『Project: Fun Party』に続く注目作の1つとなっています。
◆『ONE PUNCH MAN WORLD』
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『ONE PUNCH MAN WORLD』は、ONE先生を原作とする人気漫画「ワンパンマン」のアニメを題材とした新作タイトルです。来年2024年1月31日にリリース予定とされているアプリですが、TapTap(グローバル版)内の事前登録者数では上位に位置する注目作となっていました。
パブリッシャーは日本のアニメ作品を世界中に配信しているアメリカのCrunchyroll(クランチロール)です。「ワンパンマン」の世界観を楽しめるマルチプレイ対応のアクションゲームとなっており、そのクオリティは動画を見るだけでもかなり作り込まれたものだとわかります。
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ゲーム内では街中を探索したり、ミニゲームを楽しんだりと幅広い楽しみ方ができる様子。クランチロールはエイミングの『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』なども海外向けに配信しています。今後も日本のアニメ&漫画原作のタイトルをゲーム化させていく精力的な活動に期待が高まりますね。
◆ 『Infinity Combat』
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アメリカのApp Storeに登場し、ランキング上位に突如として躍り出てきた“アレなゲーム”です。「進撃の巨人」「鋼の錬金術師」「ソードアート・オンライン」「呪術廻戦」などなど、ほぼ間違いなく許可を得てないであろう日本の有名IPをゴチャ混ぜにした危険な一作品になっています。
本稿で取り扱うかは迷ったのですが、「正規のアニメ&漫画作品が流通した時代であっても、日本の知らないところで実はやりたい放題にされている」という現状を、あらためてお届けするのも必要なことだと思い至り、悪い意味での注目作として今回は取り上げてみました。
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ざっと確認したところ、アメリカやフィリピン、イタリアやドイツなどのランキング上位に入っているのを確認しています。対応言語に当然ながら「日本語」はありません。
公式サイトもそれはもう酷い有様で、AIで出力したような「進撃の巨人」のイラストをデカデカと背景に据え置く豪胆さ。これはもう怪しさMAXです。
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肝心のゲーム部分について、具体的な紹介がありませんでしたが、公開されている動画やスクリーンショットから見てもクオリティにはあまり期待ができなさそうです。イラストも無断盗用したものか、あるいはAIに学習させて出力したものがほとんどなのではないでしょうか。
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ちなみにアメリカでは配信から一時的にランキング上位に入りはしたものの、翌日中に大きく順位を落とした後、数々の低評価レビューを記録中です。
我々が知らないところで日本の人気IPを題材にした公式のハイクオリティなゲームもあれば、その全く逆も存在しているという事実を垣間見る機会になりました。
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昨今ではサブスクが世界中に浸透しており、一定の料金を支払うことでさまざまなアニメ&漫画が見放題な時代です。こういった日本のサブカルチャーの大々的なグローバル展開によって、ライセンスについても以前より厳しくなり、本作のように色々アウトな作品は相対的に減ってきていると考えていたものです。
しかし、今回堂々と一部の国のアプリストアで本作がランクインしてしまったのは、由々しき事態といえるかもしれません。再び今回のようなことが起こらないとは言えないので、引き続き動向をチェックしてみようと思います。
¥8,066
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)