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コスプレイヤーが東南アジアに熱視線を送る理由―シンガポールの大人気オタクイベントでは日本の撮影ルールが通じない?

果たして、日本のカメラマンは東南アジアに風を起こせるか。

コスプレ イベント
新作「OZZON JAPAN」/しょこら
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  • コスプレイヤーが東南アジアに熱視線を送る理由―シンガポールの大人気オタクイベントでは日本の撮影ルールが通じない?
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  • コスプレイヤーが東南アジアに熱視線を送る理由―シンガポールの大人気オタクイベントでは日本の撮影ルールが通じない?
  • アリエル『リトル・マーメイド』/Charess(X:@charechii、Instagram:charechii)
  • ネロ『勝利の女神:NIKKE』/Hatnyang(Instagram:hatnyang)
  • 春麗『ストリートファイター』/Arin 様(Instagram:arin_samaaa)
  • 木之本 桜(黒猫メイドドレスver.)『カードキャプターさくら』/mimi(Instagram:shirumimi)

今やコスプレは日本だけでなく、世界中で楽しむ人が増えました。

毎年、日本で開催されるコスプレパフォーマンスの世界一を決める「コスプレサミット」では予選を勝ち抜いた各国の代表が集います。また、昨今は中国コスプレイヤーのクオリティの高さが日本でも話題のように、海外で開催されるアニメ・ゲームイベントも盛んで、各国の有名なコスプレイヤーをゲストに呼んだり、コスプレイヤーを起用した宣伝に力を注いだりする企業も多くなりました。

では実際に、海外イベントではどんなコスプレイヤーやカメラマンが参加しているのでしょうか?お隣の中国であれば、日本でも見かけるコスプレイヤーがいるので想像がつくかもしれません。しかし、東南アジアやヨーロッパ、アメリカだと未知数な部分も多いでしょう。



今回は、2023年11月24日~26日の3日間、シンガポールのサンテック・シンガポール国際会議展示場で開催された、東南アジア最大級のポップカルチャーイベント「Anime Festival Asia Singapore 2023(AFA SG 2023)」を通して、東南アジアのコスプレ文化やシンガポールでの撮影ルールを紹介します。15周年を迎えた同イベントは、東南アジア各地だけでなく、日本や韓国、オーストラリアなど世界各地から参加するコスプレイヤーが見られました。

サンテック・シンガポール国際会議展示場

東南アジアのコスプレイヤーをたくさん撮りたいなら「AFA SG」

筆者が取材する上で本イベントで注目しているのは、東南アジア中から様々な宗教や文化を背景に持つコスプレイヤーが一堂に介することです。シンガポールは中華系が74%の多民族国家であるため、中華系のコスプレイヤー、カメラマンが大多数でしたが、マレーシアやフィリピン、インドネシアの参加者が次いで多く、中にはイスラム教徒のコスプレイヤーもおり、人種の違いはもちろん、肌の露出一つとってもコスプレ表現の自由度が高い印象を受けました。東南アジア各国で「AFA」は開催されていますが、最大規模のシンガポールは東南アジアのコスプレイヤーが最も多く集まる貴重な場です。

アリエル「リトル・マーメイド」/Charess(X:@charechii、Instagram:charechii)/フィリピン
木之本 桜(黒猫メイドドレスver.)「カードキャプターさくら」/mimi(Instagram:shirumimi)/シンガポール ※ヒジャブコスプレ

メディアとしては現地の雰囲気を感じさせるコスプレイヤーをできるだけ多く取り上げるミッションがありましたが、コスプレ撮影にあたっては日本との大きな違いがありました。そもそも、同イベントの展示やステージは3階ホール内にあります。ホール外のエリアは基本的に待機列のためにあるのですが、空いたスペースにコスプレイヤーとカメラマンが集まってきます

朝イチからコスプレ撮影エリアに陣取るカメラマン。日本だとカメラマンの場所占有が非難される傾向にあるため、珍しい光景

主催者にコスプレ撮影は許されてはいますが、展示やステージ目当ての参加者とは一線を画します。ホール内に入る必要がないため、入場チケットがなくても撮影エリアは利用可能でした。そうした状況をうけてか、チケット購入者優先でコスプレ撮影エリアが急遽縮小されることがありました。

土日の入場待機列は1階入り口まで続いた

シンガポールでのコスプレ撮影ルール

日本と海外ではイベントでの撮影ルールが異なります。まず、世界から見ると日本の撮影ルールはややガラパゴス化していると言えるかもしれません。もちろん、ルールと言っても、イベント主催側が明確に定めた機材の使用や撮影許可確認などを除けば、コスプレ界隈の暗黙の了解とされている気がしますが……。

具体的には、日本だとコスプレイヤーさんが一箇所を占有して(それも一定時間が経てば占有をやめるケースが多い)、カメラマンが列を作って順番に並びます。

対して、多くの国では並んで撮影する習慣はなく、他のカメラマンがコスプレイヤーを撮影していたら、その囲みに加わって許可無しに撮ります。いわゆる囲み撮影が一般的なのです。

囲み撮影がデフォ。日本のように写真の掲載確認をすることがなさそう

また、日本はコスプレイヤーがスケッチブックなどに名前とSNSアカウントを記載して、「お写真掲載確認お願いします」と注意書きをすることが多いです。しかし、同イベントに参加したコスプレイヤーは、たまに名刺を配ることがあっても、聞かれなければ自分のアカウントを教える様子が見られませんでした。これはコスプレイヤーの確認無しにSNSに投稿して良いということでしょう。

もちろん、コスプレイヤーと関係性を築きたい、今後も撮りたいと思ったカメラマンは撮影後にSNSを確認していました。現地のコスプレイヤーが顔加工にこだわらないわけではなく、囲み撮影はファンサービス、良い写真を残したいなら良い条件で撮影できるカメラマンと使い分けているのでしょう。それでも、筆者が撮影後にコスプレイヤーと写真確認のやり取りをした際は、顔レタッチはカメラマンに任せてくれる人が多い印象を受けました。

日本ではコスプレイヤー本人が顔加工もしくは写真確認を重要視するので、戸惑う方が多いでしょう。カメラマンは逆にありがたいと感じるかもしれません。

次にカメラマンの場所の占有です。シンガポールではできるだけ良い場所を確保して、カメラ機材を展開し、コスプレイヤーを呼び込む姿が多く見られました。

有名なカメラマンでなくとも、良い場所を確保していたなら、コスプレイヤーに声をかけやすい気がしました。日本でカメラマンが同様のことをやったら、大きな批判を浴びそうです。

ピーク時のコスプレ撮影エリア

後々、この場所を占有できるというのが大きなアドバンテージを生みます。コスプレ撮影エリアは混雑時は足の踏み場もないほどです。陣地を設営できたカメラマンならば撮影を有利に進められます。カメラマンが場所を譲らなかったとしても非難される様子はありませんでした。これは、日本はイベント参加したカメラマン全員が“平等”に撮影チャンスが欲しい考え方に対し、中国やシンガポールなどは“競争”という考えが当たり前になっているからでしょう。

もちろん、これら撮影ルールの違いは一長一短あって、どちらが良い悪いの問題ではありません。ただ、海外イベントに参加する際は現地のルールを尊重してください。

東南アジアの流行りの撮影手法に驚き。ここまでやるか……
《乃木章》

現場に足を運びたい 乃木章

フリーランスのライター・カメラマン。アニメ・ゲームを中心に、親和性のあるコスプレやロリータ・ファッションまで取材。主に中国市場を中心に取り上げています。

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