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『グラブル リリンク』は原作を知らなくても楽しめるの? 「ありがちなファン向けゲーム」に留まらない3つの魅力を先行体験【プレイレポ】

『グラブル』をほとんど知らないライターが、『グランブルーファンタジー リリンク』をプレイ! 原作未経験でも、ファンタジーのアクションRPGとしてしっかり確立されたゲーム性に魅了されました。

ゲーム 特集

■世界の描写は濃密で豊か、フィールドは必要十分で没入感も抜群

今回取り上げる最後の項目は、「街やフィールド」です。ゲームを進めると、買い物や武器の強化、クエストの受諾などを行う施設が揃った街に辿り着きます。そこでは人々の生活が垣間見えたり、住民の困りごと(サイドクエスト)を引き受けたりと、この世界の日常が直接感じられます。

中盤までのプレイで、拠点となる2つの街に訪れましたが、まず特筆したいのはその描写力。「アニメ調のファンタジー世界」をここまで力強いグラフィックで描いている作品は、ほかでも中々見られません。

生活感溢れる市場の通り、明るく開放的な広場、自然と一体化した家々、池のほとりで寛ぐ人々。その全てが的確に描写され、牧歌的な空気感すら感じられそうなほどの雰囲気を醸し出しています。

ビジュアルの感想なので個人的な主観になりますが、ひとつひとつの細部にこだわるよりも一定以上の水準で種類と密度を増やした結果、ビジュアル全体が濃密になり、存在感と活気を与えることに成功していると感じました。

これは街やフィールドだけでなく、キャラクターの3Dモデルにも共通しています。繊細で美しいキャラクターイラストと見比べても遜色なく、かなり高いレベルで再現できています。もちろん見た目だけでなく、戦闘時のアクションや移動中の待機モーションなどもいい出来なので、観察のし甲斐があります。

街の広さ自体はほどほどですが、作りが凝っているので、ただ歩いているだけでもちょっとした充実感を覚えるほど。住人たちの仕草も豊かなので、ここでの生活が容易に想像できます。意外な場所に宝箱があったりと、ちょっとした探索要素が楽しめるのも嬉しいところです。

会話できる住民が、施設の人やサイドクエスト関係に絞られているので、ある程度満足したら慣れてしまう部分ではありますが、それでも「ファンタジー世界にいる!」という没入感が続くのは大事な要素のひとつ。本作はそこを、かなり高いレベルでクリアしている印象です。

『グラブル リリンク』のフィールドに関しては、人によっては残念に感じる部分があるかもしれません。本作は、「広大なフィールドがあり、そこを何度も行き来して物語を進めたり、未知の場所を見つけたりする」といったタイプではなく、「ストーリーが進むごとにその場所へ赴き、目的を果たしたら(=クリアしたら)街に戻る」という構成です。

フィールド上にも探索要素が用意されていますが、オープンワールドのような広大さはないので、この点に期待すると肩透かしを食らうかもしれません。ですが、広ければいいとも限らず、ここは人によって好みが分かれる点でしょう。

「広大な世界を自分の手で開拓していく」という要素はありませんが、物語の展開に合わせて訪れる各フィールドは変化に飛んでおり、緑の深い森林、緩やかな高低差のある草原、吹雪く極寒の地、焼け付く砂原など、向かう島ごとに異なる顔を見せてくれます。

広さと引き換えに多彩さを選んだと考えれば、島々を巡る『グラブル』の世界を表現するのに適した選択と言えるかもしれません。もちろんフィールドのグラフィックも、世界観を感じられる筆致で描かれており、没入感を促してくれます。


あくまで個人的に感じたものですが、『グラブル リリンク』は『グラブル』の世界観を引き継ぎながらも、未経験者でもほとんど戸惑うことなく楽しめました。バトルは本作独自のものですし、舞台となる空域も完全新規。用語解説があるので、独自の世界観についてもフォローされています。

各キャラの関係性は『グラブル リリンク』以前に出来上がっているので、最も大きいネックはここかもしれません。しかし「フェイトエピソード」などで十分補完でき、ここも大きな壁ではないでしょう。

そのため、『グラブル』の知識がなくても疎外感はなく、完全新作のファンタジーアクションRPGとしてプレイしても遜色なく楽しめるほどです。むしろ、『グラブル』の世界を知る入門用の一作としても優れているので、『グラブル リリンク』で初めての一歩を踏み出すのも悪くありません。

『グラブル』ファンはもちろんのこと、アクションRPG好きにとっても本命に成りえる『グランブルーファンタジー リリンク』で、あなたの空にも冒険が広がりますように。


《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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