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2月に予定されている『Apex Legends』シーズン20の詳細が、アメリカ・ロサンゼルスのRespawn Entertainment本社で発表されました。
今回の発表で最も大きな変更点となるのが、「進化型ボディシールド」(以下「シールド」と表記)の仕様です。敵にダメージを与えることで性能が向上するシールドですが、これは装備しているレジェンドの能力アップにつながる効果も帯びるようになります。
同時に、新アイテム「シールドコア」が実装。自分が今着ている進化シールドを一時的に性能アップさせる「オーバーチャージ」の効果があるとのこと。この記事では、そんな「新しくなったシールドシステム」についての解説をしていきます。
シールドシステムの変更点
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『Apex Legends』のシールドは、敵に攻撃を当てることで経験値が貯まり、進化していきます。
それ以外にも、サプライボックスや道中の地面、そして倒した敵からもシールドを手に入れることができます。戦闘の苦手な人は、サプライボックスから上位のシールドを入手することが大半ではないでしょうか。運が悪いと、いつまでも白のまま……ということもあります。
しかし、シーズン20からはデフォルト装備のシールドを成長させることでしか上位シールドを入手する方法はなくなります。つまり、ボックスからシールドは出てきません。
「そ、それじゃあ直接戦闘が苦手な人はどうすんだ!?」と言われそうですが、代わりに用意されているのが「直接戦闘以外での経験値」です。味方に対するサポートや、倒れた味方のバナーを拾って復活させる行為にも経験値が発生します。なお、仲間の復活&戦線復帰の場合は全員に経験値が加算されます。
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銃撃戦そのものが苦手でも、立ち回りや展開によってしっかりシールドを進化させられる仕組みになっているようです。
新アイテム「シールドコア」
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また、シーズン20からは上述のように「シールドコア」という新アイテムが登場し、これを使って自分のシールドを一時的に強化できる「オーバーチャージ」という効果も付与されます。
これは図で説明したほうが早いかもしれません。
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ここに白シールド(レベル1)のレジェンドと青シールド(レベル2)のレジェンドがいます。展開が白シールドのレジェンドに有利に働き、見事青シールドのレジェンドを撃破しました。
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この時、青シールドのレジェンドのデスボックスにはシールドそのものではなくシールドコアが入っています。これを白シールドのレジェンドが入手すると、一定時間白シールドの性能が青シールドと同等になります。白シールドが青シールドに進化するわけではなく、その後ダメージを受けるとオーバーチャージ分の耐久力は回復できません。
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なお、自分ではなくチームメイトが敵を倒し、そのデスボックスからシールドコアを入手するという手段もあります。どちらにせよ、シールドは徹頭徹尾「進化によってレベルを上げていくしかない」ということですが、代わりに回復や復活によってチームを支えた場合にも経験値が発生します。
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レジェンドの能力アップも
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そして、シールドのレベルアップはレジェンドの能力にも影響をもたらします。
ここでは、ライフラインを例に取ります。彼女の着ているシールドが白から青になった場合、「パッシブアビリティの『戦闘復活』の作業速度を2割早くする」か「戦術アビリティの『D.O.C.ヒールドローン』のクールダウン時間を10秒減らす」かを選択できます。要するに、シールドが進化する毎にアビリティの性能が向上するということ。
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シールドのレベルは下から白、青、紫、赤。白から青、青から紫へレベルアップする際にアビリティ性能向上はありますが、紫から赤へレベルアップする段階でのアビリティ性能向上はありません。
簡略化されるレプリケーター
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それと同時に、装備やアイテムをクラフトするレプリケーターの機能が大幅に簡略化されます。
具体的には、レプリケーターから入手できるアイテムが医療キット、シールドバッテリー、弾薬、そしてバナーの4つだけになります。今までのようにみんなで材料をたくさん集めてレア装備を生成する……ということはできなくなるようです。
これらの変更点を鑑みると、今後の『Apex Legends』は例えるなら“ラグビーのようなゲーム性”になっていくかもしれません。個人プレーによる加点はそのままに、チームを下支えする行動にも何かしらの恩恵を与えようという方向性です。
チームプレーに恩恵が
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Respawn Entertainment本社で行われたメディア向け試遊会には、各国からのメディア関係者が来訪しました。
まずはシステムの変更点に関するプレゼン、その次に1人1台割り振られたPCでの試遊という流れで実施された此度のイベント。しかし実のところ、シールドシステムの変更点はプレゼンでは分かりづらかったということがありました。筆者以外の記者も、眉間に皺を寄せながら首を捻っていたり……。
しかし実際に先行体験版をプレイしてみると、開発者が目指す理念が一気に見えてきます。先述したように、誰かがやられてしまった時に他のチームメイトがバナーを回収し、復活させると全員に経験値が加算されます。これは見方を変えれば「諦めなかった人に対するご褒美」。シーズン20はみんなで強くなる方向性だということが分かると、記者同士の話も大いに盛り上がります。
そこへ休憩時間。1時間のランチはRespawn Entertainmentの休憩所にて、大きなサンドイッチを囲みながら先ほどのプレーについて語り合います。
自分自身の活躍がチームメイトの経験値にもなり、それによってみんながレベルアップするシステムはまさに「スポーツ競技」と呼ぶに相応しいルール。バレーボールで言うところのリベロのような役割のプレイヤーに、ようやく日の光が当たるようになったと書くべきでしょうか。そして、「あの時あの彼がバナーを拾ってくれたからシールドが進化した」というような会話も大いに弾みます。
日本の子供たちに向けてメッセージ
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Respawnから日本の皆さん、特に『Apex Legends』に夢中になっている子どもたちに向けたメッセージがあります。
これはQ&Aセッションで筆者が「『Apex Legends』をプレイしている日本の青少年にメッセージをお願いします」と質問したことに端を発します。日本では今や「エペる」という言葉まであるほど、子どもたちの間で『Apex Legends』が浸透しています。
質問に答えたのはRespawn Entertainmentでアニメーションディレクターを務めるモイ・パーラ氏とナラティブデザイナーのアシュリー・リード氏です。
パーラ氏「日本の子どもたちに我々の作品が浸透していることは、大変嬉しいことです。私も自宅では子供たちと『Apex Legends』をプレイしますよ。特に8歳の息子は、今や私よりも上手です(会場大笑い)」
リード氏「大人と子どもが“好きなレジェンド”や“プレーの仕方”について意見交換できるということは、素晴らしいことです。ですから、我々から日本の子どもたちにこう伝えたいと思います。『Apex Legends』より愛を込めて!」
カジュアルプレイヤーへのタッチ
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今回の海外取材で、筆者は「ゲームを通じた国際交流」の重要性を強く実感しました。
筆者はお世辞にも『Apex Legends』が上手くなく、試合のかなり早い段階でやられてしまうことがほとんど。しかしアメリカでは日本以上に「カジュアルプレイ」としてのeスポーツが盛んで(これは他のスポーツ競技にも当てはまります)、「個々の熟練度が違うのは当たり前、それを含めて試合を楽しむ」という考え方が定着しているようです。
そして、開発者もカジュアルプレイヤーへのタッチに様々な工夫を凝らしている事実は明確に記載しなければなりません。『Apex Legends』は、あらゆる性格の人が楽しめるタイトルとしてその道を進もうとしています。
(提供:エレクトロニック・アーツ)