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最近、中国のSNS「Weibo(ウェイボー)」をチェックしていると、イケメンたちの裸体イラストをやたら見かけることが増えました。これは筆者の使い方が悪いだけなのかもしれませんが、日本でも人気のRPG『恋と深空』のキャラクターと思われる人物の裸体ばかりがタイムラインに表示されて、正直困っています。
しかしながら中国では非常に人気の高いタイトルであるということが、身を持って体験できる貴重な機会と半ば割り切っている自分もいます。なんだか奇妙な前置きになりましたが、今週も注目作を3タイトルご紹介していきます。
※本稿では、システム上の関係で簡体字or繁体字で表記すべき部分も異体字に置換している場合があります。
◆『落日山丘 Sunset Hills』
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biliblilで予約数を急速に伸ばしてきたタイトルが本作『落日山丘 Sunset Hills』。2022年にTGSでも出展されていた、Cotton Gameが開発中のパズルアドベンチャーです。
かつて兵士として戦争を経験していた作家の主人公・ニコが、とある理由から世界中を旅しながら、各地で戦地を共にした仲間たちと再び出会い、交流する様子を描くロードムービー的なストーリーが展開されていきます。
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ブリティッシュテイストというか、アメリカントラディショナルというか、古き良き欧米の街並みを絵本のようなアートスタイルにて表現し、登場するキャラクターは確認できる限り“全て犬”という異彩を放つ一作品に。作中の街を歩くだけでも十分楽しそうな雰囲気ですが、本作は一応頭を使うパズルゲームです。
bilibiliではAndroid向けにリリース予定の本作ですが、PC向けにもSteamでリリース予定で日本語にも対応するとのこと。現状スマートフォン版は中国でのみの展開になりそうですが、Steam版のセールスやユーザーの反響次第では日本向けのモバイル展開も期待できるかもしれません。なお、正確な配信時期は判明していませんが、Steam版は近日公開とされています。
◆『硬核機甲启示(HARDCORE MECHA)』
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『硬核機甲启示(HARDCORE MECHA REVELATION)』は、3月1日にbilibiliとTapTapで登録が開始された近未来SFメカアクションです。キービジュアルから察する通り“美少女×人型ロボット”な作品となっています。開発はSteamやコンソールでリリースされ人気を博した『ハードコア・メカ』を手掛けたRocketPunch Gamesということもあり、シリーズ化した新たな展開と見てまちがいなさそうです。
開発陣は『スーパーロボット大戦』シリーズや日本のロボットアニメに大きな影響を受けていることもあってか、前作は日本でも大きな注目を集めていました。ちなみに前作はシンプルな2D横スクロールアクションでしたが、公開された映像を見る限りは、前作で好評を博したアクション要素を踏襲しつつも奥行きのあるステージでアクションを繰り広げることになりそうです。
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そんな本作は先日、TapTapで開発スタッフの穆飛Louiky氏が投稿したコメントが物議をかもしており、悪い意味で中国のネットユーザーたちから注目を集めていました。
それはTapTapのユーザーコメント欄に投稿された「『ハードコア』の名の下に女性キャラしかいないようなオタク向けのゲームなら遊ばない」という意見に対するものです。氏はこのコメントに対して同意する形で「媚宅(※)で中二病的な感じは自分でも鳥肌が立つほどに作りたくない」と直接返信しましたが、後日この返信を削除するに至っています。
※ 媚宅要素=ストーリーや世界観を無視して一部のユーザーウケを狙ったいち要素を指すネットスラング
中国のネットユーザーからは「自分がプレイしているゲームがオタク向けではないと思って、自分自身がオタクでないと考える人もいるかもしれない」「メカ自体もある意味、オタク文化に媚びていると言える」などなど、様々な意見や考察が飛び交っていました。
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作り手の意図とプレイヤーの受け取り方が交錯するエンターテインメントにおいては、多様な価値観を認め合い、豊かな表現を築き上げていくことが本来重要なことだと思われます。
しかしながら、昨今は美少女キャラクターばかり押し出した作品が過剰に増えているのも事実です。たとえ硬派で泥臭いおっさんが戦う作品が好きであっても、時代の潮流に逆らえず、美少女要素を入れざるを得なかったケースなのかもしれません。
いずれにせよ本作が『ハードコア・メカ』のモバイル向けタイトルなのか、完全な新作なのか、現時点では公式からのアナウンスがないので判然としませんが、既に募集が始まったAndroid向けのベータテストの情報を見る限り、iOS版やPC版でのテストも追ってアナウンスされるとのことです。今後の動向にも注目が集まります。
◆『One Piece: The Dream Pointer(航海王:梦想指針)』
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2022年4月1日にbilibiliで事前登録をスタートした『One Piece: The Dream Pointer(航海王:梦想指針)』が、ちょうど“2年後”となる今年2024年4月1日にサービス開始を迎えます。
本作は「ONE PIECE」の正式ライセンスを受けて製作され、開発には3年の期間を要したタイトルです。昨今アニメ原作の3Dゲームにおいては欠かせない存在になってきたアニメ調のモデリングで、初期のイーストブルーから2年後のストーリーまで、人気のエピソードを中心に追体験できるそうです。
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ゲームシステムはスマートフォン縦持ちスタイルのターン制RPGで、手札のカードをフィールドに出すとカードに対応したキャラクターが攻撃を行うカードバトル形式を採用しています。
公開中の映像を見ていてもモデリングのクオリティ自体は非常に高く、スマートフォン縦持ちでサクサク遊べるなら、手軽に「ONE PIECE」の世界を楽しめそうに思えます。また、公式ライセンスの作品なので集英社や東映の厳しい監修が行き届いている感じがしており、ファンにとっても大きな安心感に貢献しているのではないでしょうか。今後の続報に期待が高まります。