2月27日に配信された『エクスアストリス』。人気スマートフォンゲーム『アークナイツ』を手掛けたHypergryphによる買い切りゲームで、スマートフォンとは思えないグラフィックと広大な世界観を楽しむことが出来ます。
本稿では、そんな『エクスアストリス』のプレイレビューをお届けします。
◆惑星アリンドで繰り広げられる広大な冒険
エクスアストリスの舞台は、地球とは全く別の惑星「アリンド」。この星を調査するために、地球から送られてきた調査隊の1人が「雁(イェン)」です。
親も無く孤独な中、小さい頃から鍛錬を積んで育った雁。人体実験により、右腕がアリンドの物質で出来ている彼女は、新任の調査員に抜擢されアリンドの地に降り立ちます。
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地球からやって来た雁が出会うのは、アリンド人の「Vi3(ヴィー)」。偶然出会ったVi3と雁は、そのまま成り行きで共に冒険することになります。
調査員となったこと、Vi3との出会い、そしてこの先で巻き込まれる出来事。果たしてどこまでが偶然でどこまでが必然なのでしょうか……。
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アリンドの冒険は、列車に乗っていた雁が事故にあったところからスタート。操作方法は左手で移動、右手で視点操作。移動時にはそれ以外の複雑な操作も無く、分かりやすいです。
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建物の中を探索したり、自然の中を駆けまわったり。オープンワールドではなくそれぞれのマップの限界はありますが、美しいグラフィックで描かれる独特の世界を冒険するのは楽しいもの。
むしろスマートフォンで遊ぶゲームだと考えると、マップのボリュームもちょうどいいかもしれません。
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また、この世界ではジャンプが存在せず、高い所への移動ははしごやエレベーターなどの設置物を通して行われます。
低い所への飛び降りは可能で、これを利用したショートカット通路も。基本的な冒険は目的地まで進んだ後、飛び降りてすぐに帰る……といった遊びやすい設計になっています。
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同じ列車に乗っていたVi3を始め、道中で出会う個性的なキャラとのやり取りも魅力。場合によっては一緒に戦ってくれるメンバーとなることもあります。
最初はそっけない感じの雁でしたが、この先他のメンバーが大切な仲間となるのか……人間関係や心の成長も気になるところです。
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◆ターン制ながら奥が深い戦闘アクション
エクスアストリスのバトルはシンボルエンカウント形式となっており、マップ上で敵と接触することで、近くにいる敵と共にターン制バトルが始まります。
こちらがいくつかスキルを使い、敵の攻撃を弾いてかわす。一見シンプルな内容に見えますが、実はかなり奥が深い内容で、この戦闘にこそエクスアストリスの特徴が詰まっています。
筆者は戦い方を理解するのにかなり時間がかかりました……。
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まずはこちらの攻撃。キャラクターにはそれぞれスキルがセット可能で、画面下のAPを1つずつ消費することでスキルが発動できます。
ここで問題なのが、セットできるスキルの数はAPよりも多くなること。
このAPは一定条件下で回復するため、スキルをうまく組み合わせて多くのコンボを繋げる必要が出てくるのです。
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条件は、特定のスキルを1つ目に発動する、ダウン状態の敵に転倒追撃スキルを使う……などなど。
まず雁のスキルで始め、ダウン状態にしてからVi3で追撃を決めて……と、考えるとこんがらがってきますが、その分決まった時にはかなり気持ちが良い。
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敵の攻撃はタイミングよくブロック(回避)することが可能。敵が攻撃で光る瞬間、左下をタップすることで0ダメージに抑えることが出来ます。
この爽快感もエクスアストリスの魅力。最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れれば全ての攻撃を避けることも簡単です。
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さらに、攻撃やVi3によるブロックで相手のHPバーの下にある体勢値を削りきれば、一定時間味方のスキルが使い放題に。
この時間も爽快で楽しく、体勢値を削ってからタコ殴りが戦闘の基本となってきます。スキルには周りの敵を集合させて巻き込めるようなスキルもあるため、「APは回復できないけど範囲攻撃が出来る」といったスキルなどの取捨選択も考えたいところ。
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もちろん、こういったゲームには欠かせないド派手な必殺技「アルティメット」も存在します。
雁のアルティメットは敵に垂直方向の斬撃を叩きこむのに対し、Vi3のアルティメットは槍を投げ広範囲の敵にダメージを与えるなど、それぞれが異なる性質。
ボス戦なのか雑魚の殲滅なのかなど、戦闘状況に合わせて誰の必殺技を使うか選びましょう。
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◆かなり奥が深い育成要素
基本となる育成は、ボードにリソースを使って一つずつ能力を獲得していくタイプ。基本は一本道ですが、途中途中に分岐があるため、中央を優先して進めるか脇道も取っていくかは好み。
奥の方が強力な分、必要リソースも増えるため悩みどころです。
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ここでスキルを手に入れたら、キャラクターにセット。前述した通りこのスキルを使う順番がかなり重要な上、同一キャラクターはセット順にしかスキルが使えないため慎重に考えたいところです。
スキルは「波動」と「粒子」2種類のスロットにセット可能。筆者は現状脳死で1スロットしか使っていないのですが、戦闘中に切り替えが出来るため、コンボを繋ぐ用と体勢値を削った後用などで分けてもいいかもしれません。
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また、キャラクターにはそれぞれライラキーと呼ばれる装備をセット可能。これにより攻撃力などを強化することが出来ます。
こちらはゲーム内で手に入る素材を使って作成できるのですが……ランダム要素も存在し、いわゆる厳選が必要に。スタミナなどが無い分、無限に時間が溶ける部分です。
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加えてエントロピースという、戦闘中に使えるアイテムもあります。買い切りとは思えない要素の多さ……。
もちろんガチャでキャラが増えるなどの要素は無いですが、カスタマイズの幅が広く自由度も高め。自分に合ったスタイルの編成を目指しましょう。
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◆創りこまれた世界観を資料を通じて解き明かそう
メインとなるストーリーは遊んでいる中で分かるものの、折角の惑星「アリンド」。「アストリス」や「レイス」など、作品内で重要な情報はメモで確認が出来ます。
途中には雁たちによる注釈もあり、まるで一緒にアリンドを調査しているかのような気分が味わえますよ。
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それぞれの敵や、道中で拾える植物などの生態も確認可能。実は人工的な植物だったり、食べれるかのようで実は意味が無かったり、道の惑星の植物の生態は中々見ていて面白いです。
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そしてそんな植物たちは、移動に使う「ゼオライト号」の中などで料理に使うことが可能。
料理としての説明もありつつ、バフ効果も存在するのでしっかりと道中の素材を拾っておきたいところ。
ちなみにこの素材は「休憩」をすることで復活するため、無限に回収することもできます。
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◆スマホで遊ぶ大作として上手くバランスの取れた作品
元々『アークナイツ』といったソーシャルゲームを手掛けているHypergryph。『エクスアストリス』にはそのノウハウが活かされており、スマホゲームとして遊びやすいと感じました。
基本的に一本道の切り替えMAPに、難しい操作の要らない戦闘。コントローラーが欲しくなるようなゲームではなく、隙間時間に少し進めるといった遊び方もしやすいでしょう。
一方で、買い切りゲームとして物足りないかと言われると、そんなことは全くありません。頭を悩ませるスキル構成、ライラキーの厳選要素、サブクエの存在など、その気になれば無限に時間を溶かすことが可能。
もちろんサックリメインだけを進めたい人は、サブクエを放っておいて進むこともでき、それぞれのプレイスタイルに合った遊び方を楽しむことが出来るでしょう。
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買い切りゲームということで、好きな時に好きなだけ進められ、セーブやロードでやりたいことを試せるのも魅力。スマホで遊べるゲームとして非常に完成度の高い『エクスアストリス』を、ぜひ皆さんもプレイしてみてください。
『エクスアストリス』はiOS/Android向けに配信中。価格は1,500円(税込)です。
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