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『プリンセスピーチ Showtime!』は、ピーチ姫の魅力を再発見できる良作―豊富な仕掛けでアクションとしても満足度も◎【レビュー】

「ピーチ姫」の新たな良さに気づける作品。

ゲーム 特集

ピーチ姫は、1985年に『スーパーマリオブラザーズ』で初登場してから、『マリオ』シリーズにおいて常にヒロインの座に君臨しつづけてきました。ただ、誰が見ても可愛らしいヒロインとして信頼できるキャラクターである反面、どこか「華やかで可愛いらしいお姫様」というイメージが固定されているという面も少なからずあるのではないでしょうか。

3月22日にニンテンドースイッチ向けに発売された『プリンセスピーチ Showtime!』は、そんなピーチ姫の固定イメージに縛られない、自由な姿を見せてくれる作品です。本記事では、クリアしたうえでのレビューをお届けします。


乗っ取られた劇場を取り戻せ!

物語は、ピーチ姫がキノピオたちと共に「キラメキ劇場」に訪れるところからはじまります。しかし、突如現れた「グレープ劇団」と名乗る者が劇場を乗っ取ってしまい、劇の主演であった「キラリスタ」たちを封印してしまいます。

そこでピーチは、劇場を守る妖精「ステラ」と出会い、キラリスタの代役を務めながらグレープ劇団に立ち向かっていきます。

ステラの力を得たピーチは、リボンを使うことで「キラメキの力」によって落ち込むキラリスタたちを元気づけることができるという能力を得ます。この能力はステージ攻略でも重要な要素となり、Bボタンでリボンを使い、キラリスタやフィールド上のオブジェクトを動かし、ゲームを進めていくことになります。

また、ピーチ姫のもうひとつの能力として、それぞれの劇の役に応じた「キラメキ」を得て、その役になりきれるというものがあります。変身できるのは、パティシエからスーパーヒーローまでさまざまです。

それぞれの変身は、これまでのピーチ姫に縛られない個性豊かな見た目であり、さまざまな顔を見せてくれます。特に剣士やカウガールなど凛々しい役では声色も力強く、別人かと思うほどです。これまでの“お姫様”然としたイメージとは違った、あらたな魅力を感じさせてくれます。

高難度ではないが、高密度なアクション要素はみんなが楽しめる

本作の主な流れは劇場のホールから舞台に入り劇に参加するというもので、それぞれの劇は仕掛けが異なります。例えばカウガールなら投げ縄で掴んで投げる、パティシエならお手本通りにケーキをデコレーションする、名探偵なら隅々まで探索して謎を解くなど、ステージごとにバラエティに富んだ体験が楽しめます。ビジュアルやサウンドトラックの面でも異なる世界を上手く描けており、劇という設定をうまくゲームに組み込み、機能的に活かしているといえるでしょう。

各衣装につき3つのステージが用意されているのですが、どれもピーチ自身のアクションとステージの仕掛けという両面で高密度です。昨今の硬派なアクションゲームに比べれば、難度はさほど高くありませんが、密度の高さもあって幅広いゲーマーが満足できる仕上がりといってよいでしょう。

フロアにある劇をすべてクリアするとフロアの中央に謎のドアが開き、ボスに挑めます。このボスも球をタイミングよくぶつける、壁に隠れながら近寄るなど、アクションゲームとして楽しいものになっています。筆者は正直なところ、発売前のPV見たりや体験版をプレイしたりした範囲では「アクションとしては薄味かな……」と心配していたのですが、その心配は杞憂だったことに気付かされました。

難度が高くなくとも、アクションの楽しさや気持ちよさはしっかり押さえているのも好印象です。剣士であれば現代のアクションには欠かせない「ジャスト回避」の気持ちよさがわかりやすく味わえますし、ステルスが求められる忍者ではもどかしさに押さえつけられたプレイヤーの感情を、豪快に敵を倒すスピード感のあるパートで解放させています。

操作も難しいことは要求されず、基本的には左スティックとA/Bボタンだけで完結するのも素晴らしく、ゲームに不慣れでもすぐに楽しさがわかるはず。最初にチュートリアルを見せるのではなく、わからないときだけXボタンを押してガイドを読むという方式にしているのも、テンポを損なわない作りであると感じました。もしどうしても難しければ、体力を増やしてくれる「ハートのお守り」というアイテムも用意されているので、アクションに自信がないプレイヤーもきっと楽しめるはずです。

全体的なアクションは素晴らしいが気になる点も

全体的なアクションは素晴らしい完成度ですが、収集要素の仕様はやや首を傾げるような作りであると指摘せざるを得ません。各ステージには「スターストーン」という星型のアイテムがあり、隠しエリアを見つけたり強敵を倒したりすることで入手できます。

高密度に隠されている事自体は良いのですが、本作はエリアの後戻りができないため、思わぬ取り逃しがあることもしばしば。基本的にはある程度集めていればクリアすること自体は問題ありませんが、スターストーンを獲得するたびに取り逃したものをしらされることになるため、モヤッとさせられます。

もうひとつ気になる点は、グラフィックの品質です。どのピーチもかわいい、かっこいいと思わせることに成功し、劇自体も目に楽しい一方で、グラフィックのジャギー(キャラの輪郭などに現れるギザギザ)が目立つ瞬間があるのです。ニンテンドースイッチというハードがもう8年目ということを考えれば致し方ない部分もありつつ、ビジュアル的にも大変楽しい本作の魅力を若干邪魔しているように感じます。


これまでも過去に主役を務めた『スーパープリンセスピーチ』や、たださらわれるだけではない『スーパーマリオ オデッセイ』、ゲームとは異なる解釈で描かれた「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」などピーチの描き方に変化のある作品はありましたが、『プリンセスピーチ Showtime!』別格です。

プレイ時間としてはそれほどボリューミーではないものの、ゲーム体験の密度はとても高く、プレイ後は満足できるはず。ゲームという面でも、キャラクターの描き方という面でも、ピーチ姫という既存キャラの新たな活躍を決定づけるような力強さを持つ作品でした。

『プリンセスピーチ Showtime!』は、ニンテンドースイッチ向けに発売中。ニンテンドーカタログチケットにも対応しています。


ニンテンドープリペイド番号 9000円|オンラインコード版
¥9,000
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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